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A thousand probabilities do not make one truth.

 

 規則や定式 (法則) や手続きは 「単純」 であるほうが良いでしょうね。ものごとを単純にできないひとを揶揄して、「KISS (Keep It Simple, Stupid.)」 という 「単純な」 訓戒もありますから。

 事態を 「単純に」 定式化する際、反対例が内在しないように、前提の数と規則の数を減して一般化するのは、とても、難しい。TM (T字形 ER手法) は、2つの前提 (個体および個体の性質) と 4つの規則 (関係文法) という 「単純な」 手続きとしてまとめましたが、手続きの単純さを実現するために、いっぽうで、数学・記号論理学・哲学の文献を 多数 読んで、モテ゛ル (意味論・構文論) の観点から 「構造上の不備 (structural inconsistencies)」 が起こらないように検証したり、財務管理・生産管理など--モテ゛ル から観れば、それらは 「領域 (domain、あるいは universe)」 になるのですが--の文献を 多数 読んで、モテ゛ル 適用の的外れ (maladjustment) が起こらないように照査したり、実際の事態のなかで使って、モテ゛ル の 「ききめ (effectiveness)」 を験証してきました。

 「単純さ」 は、手続きでは、「使いやすい (easy to use)」 ことと同義でしょうね。しかし、作図記号の数が少なければ--「記述作法 (diagramming)」 の規約が少なければ--、モテ゛ル が 「単純」 であることにはならない。というのは、記述の作法 (diagramming) は、「可視化 (give visibility)」 のための作法にすぎないのであって、「単純に」 言い切ってしまえば、以下の作図記号があれば、作図 (diagramming) は事足りる。

  (1) 個体を示す記号
  (2) 個体の性質を示す記号
  (3) 量化記号 (all、some)
  (4) 関係を示す記号
  (5) 論理定項 (OR、AND、NOT、IF) を示す記号
  (6) 概念の階構成を示す記号 (the class of all things such as that...)

 この程度の数しかない記号を使って、或る一人の (あるいは、数人の) ひとが描いた 「構造」 を、その domain に関与している ほかの人たちが合意して使うのが モテ゛ル (modeling) ではないのであって、その domain のなかで 「関与している人たちのあいだで、すでに合意されて伝達されている 『意味』 の構造」 を記述するのが モテ゛ル なのである。

 
 (2006年 4月16日)

 

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