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Once over the borders, one may do anything.

 

 「葉隠」 (1716年頃に成る、山本常朝 著)に以下の文が綴られています。

    三十年来風規相変わり、若武士共の出合の節に話すことの、皆な
    金銀の噂、損得の考へ、内証事の話し、衣裳の吟味、色慾の雑談
    のみにて、此事なければ一座しらけて見ゆるは、誠に是非もなき
    風格になり行き候

 290年くらい前に綴られた事態が今も同じように継続しているというのは、こういう事態というのは人性なのかしら、、、。ただ、山本常朝は、「三十年来風規相変わり」 と綴っているから、かれが観てきた以前の武士社会は違っていたのかもしれないですね。かれの聞書を歴史年表と照らしてみれば、「三十年来風規相変わり」 というのは、元禄宝永時代の華美な風俗を嘆いているのでしょう。

 故・福田赳夫首相は、「昭和元禄」 という語を作りましたが、さしずめ、現代は 「インターネット 元禄」 かしら──顔を互いに見たこともない人たちが、山本常朝の嘆いた類の話を ネット 上で公に交わしているというのは尋常な感覚ではないでしょうね。「旅の恥は かき捨て」 という古い言い伝えは、国境のない ネット 上でも言えることなのかもしれない [ しかも、匿名で発信できるのであればなおさらのことでしょうね ]。

 
 (2009年 1月 8日)

 

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