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Don't cross the bridge till you get to it.

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations の セクション anticipation のなかで、以下の文が私を惹きました。

    To travel hopefully is a better thing than to
    arrive, and the true success is to labour.

    Robert Louis Stevenson (1850-94) Scottish writer.
    Virginibus Puerisque

 
 この英文を読んで、類似の アフォリズム として 「結果よりも過程のほうが大切だ」 を思い起こすひとが多いかもしれない。でも、Stevenson は、travel という語を使っている、その点が味噌でしょうね──しかも、travel hopefully、目的地に辿り着けるという希望を持って旅を続けることだと。

 今から 17年くらい前、私が 「T字形 ER法」 を作るために旅立ったとき、travel hopefully という気持ちを抱いていましたが、その旅路たるや荒野でした。幸い、先人 (E.F. コッド 氏) がいたので、道を迷うことはなかったのですが、旅立ちは一人旅でした。孤独な旅でした。そして、再び幸いにも、直ぐさま、ITS 社の皆さんが同道してくれました。さらに、2004年から 「TM の会」 の会員たちが同行してくれました。

 ひとつの オアシス に到着したとき、私は、そこが到着地だと思い込んでいました──「T字形 ER法」 が完成したと思っていました [ 「黒本」 出版時 ]。しかし、オアシス というように、そこは休息地であって、到着地じゃなかった。そして、更なる旅路に足を進めました。この旅路は、当初の旅に比べて、とても辛い道程でした──過去形で綴ってしまいましたが、実は、今も その旅路を歩いている最中です。蜃気楼が幾度も見えて悩まされています。蜃気楼が見えているからには、到着地が あながち遠い訳ではないと思っているのですが、苛烈な旅が続いています [ 思考が 時々 袋小路に入ってめげることがあります ]。

 荒野の長旅では歩き続ける体力を持っていなければならない。モデル を作るという旅で云えば、ロジック (数学基礎論) と英語は、基礎体力です。こういう体力のないままに旅に出れば、途中で倒れるに決まっている。長旅に向けて私は周到に用意をしていました。ただ、いまだに、the true success is to labour ということを実感できない。私が旅路のなかで流した汗の量 (labour) は、はたして旅費を贖 (あがな) うに値するのか、、、そうだと言い切れない点に なんらかの惑乱があるようです。

 
 (2011年 4月 1日)

 

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