この ウィンドウ を閉じる

All things can corrupt perverted minds. (Ovid)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション corruption のなかで、以下の文が私を惹きました。

    For sweetest things turn sourest by their deeds:
    Lilies that fester smell far worse than weeds.

    William Shakespear
    Sonnet 94    

 
 んー、スゲー (すばらしい表現) としか言いようがないですね (!) この引用文を読んだ時に、私の頭の中で様々な映像が走ったのですが、それらを掴まえ切れなかった、、、読み手の気持ちを そういう状態にしてしまう文が きっと名文 (名詩) なのでしょうね。「百合の花であっても腐った臭いを放つのであれば、雑草よりも ひどく悪い」、Lilies と weeds を自由変数にして、x that fester smell far worse than y という代入文を作れば、x と y には色々な 「概念」 を入れることができますね──たとえば、「美」 についてなら、「美人と醜人」 を代入して、美人であっても いわゆる 「性格 ブス (性質の悪さ)」 を誹 (そし) ることができるし、「善」 についてなら、「道徳家と無頼漢」 を代入して、道徳家であっても杓子定木であれば他人 (ひと) の気持ちを忖度することができないので、道徳も悪になることを糾弾できるでしょう。

 こういう比喩表現は、ロジック のうえで使うのは (推論を曖昧にするので) 危ないのですが、逆に、論点の鮮明な印象を われわれの頭の中に刻みますね。一番目の文 For sweetest things turn sourest by their deeds は私にも綴ることができるけれど、それを比喩に転化した二番目の文は シェークスピア の天才が物した文でしょう。独自性とは 「表現の固有性」 に存するということを まざまざと見せてくれる文ですね。こういう vivid な比喩を読めば、corrupt な状態に対して強烈な嫌悪感を呼び起こされますね──下手な訓諭よりも ききめ がある。尤も、ききめ があるかどうかは、その文を云う人の character 次第ですが。

 
 (2012年 3月 8日)

 

  この ウィンドウ を閉じる