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Donsmanship...'the art of criticizing without actually listening. (Stephen Potter)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション Inattention の中で、次の文が私を惹きました。

    Thank you for the manuscript: I shall have no
    time in reading it.

    Benjamin Disrael (1804-81) British statesman.
    His customary reply to those who sent him unsolicited
    manuscripts
    Irreverent Social History, (F. Muir)

 
 Inattention は、attention の否定形。その日本語訳は、「不注意」「怠慢」「無愛想」──日本語訳は それぞれ ニュアンス が違うのですが、英語の語義は not paying attention な状態のこと。英語 コメント 欄に記述されている unsolicited の意味は、「求められていない、頼んでもいない」(not asked for)、コメント 欄の日本語訳は、「頼んでもいない原稿を彼に送りつけてくる人たちに対する 彼の いつもの返事」──その返事が 「原稿を ありがとうござます。ただ、私には それを読む時間がありません」。日本でも、謝絶をするときに使う慇懃な社交的常套句ですね。

 頼んでもいない原稿を勝手に送りつけて意見を欲しいと言われても、送りつけられた人は困惑 (あるいは、不快) を感じるだけでしょう。こんなことは言わずもがなと私は思っているのですが、そういう 厚かましい (迷惑な) ことを詫びれもせずにやらかす人たちが実際に居 (お) ります。私も 幾度か そういう人たちから メール を送りつけられたことを体験しています──他人の或る論説 [ 念のために、私が述べた論説ではない ] に対する反論を送りつけてきて、私の意見を伺いたいと メール を送りつけられた出来事が幾度かあります。そういうとき、私は その論説を読まないで直ぐさま返事します──「メール を ありがとうございました。いつものことながら貴兄の研究ぶりには敬服させられます。さて、私の意見を伺いたいとのことですが、実は先月から取り掛かっている仕事があって、お送りいただいた論説を読む余裕がない状態です。貴兄の論説を真剣に読まないで意見を述べることは失礼だと思いますので、申し訳ないのですが、今回は私の意見を断念せざるを得ません。このような実情でありますから、あしからず ご諒承のほど お願い申し上げます」 と。こういう社交的常套句の例を数多く記載した書物が出版されているので、「断り」 の例文から コピペ して一部を修整して返事すればいいでしょう。当たり障りのない返事を送ったあとで私は送られてきた メール を削除して 「ごみ箱」 に入れます、勿論 送りつけてきた人の意見など読まないで (I shall have no time in reading it)。

 丁重に断ったあとで困るのが、「逆 ギレ」 されることがあるということです。たいがいの人は丁重な社交上常套句の 「断り」 を読めば、図々しい (厚かましい) ことをした自らの行為を恥じるはずなのですが、自らの非を認めず 「逆 ギレ」 して、「(あいつ は) 生意気だ、人が せっかく頼んだのに」 と逆恨みを言いふらす ヤツ らが いる。こういう ヤツ らは、私の返事に応えないで、私の人格を非難攻撃するようですね。こういう輩 (やから) は、こちらが なにを言っても ムダ なので、無視するにかぎる。いちいち対応していたら、こちらが疲れる。私と初対面の人が次のように言いました──「生意気だという噂を聞いていたのですが、直接に会ってみると、全然 温和なので ホッとしました」、私について いったい どういう噂が流れているのかしら (苦笑)。

 
 (2019年11月 1日)

 

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