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As long lives a merry man as a sad. (Proberb)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション Merrymaking の中で、次の文が私を惹きました。

    I love such mirth as does not make friends
    ashamed to look upon one another next
    morning.

    Izaak Walton (1593-1683) English writer.
    The Compleat Angler, Ch. 5

 
 引用文の大意は、「翌日、友人たちと顔をあわせて互いに恥じないような バカ騒ぎ (浮かれた騒ぎ) を私は愛する」 ということかな。

 私は、まいにち Facebook 上に英語 ジョーク を一つずつ アップロード しているのですが──それらの アップロード は 来月で 4年目に入るのですが──、最近 (8月 6日) アップロード した ジョーク Murphy's Laws on Sex に次のような一篇があります──

    Sow your wild oats on Saturday night
    Then on Sunday pray for crop failure.

 この ジョーク の大意は、「土曜日の夜には血気さかんに思慮分別を失って乱痴気をやって、日曜日には不作を祈りなさい」。sow one's (wild) oats の意味は、「若気の至りから道楽をやる」。sow と oat と crop が縁語になっていますね、sow すれば、豊作を願うはずなのに、不作を願うってのが、この ジョーク の ミソ かな。先の引用文とは逆の表現を使って、いわゆる 「若気の至り」 (血気さかんに乱痴気なことをして、後々 後悔していること) を揶揄していますね。

 私も自らの若い頃 (20才代) を振り返ってみれば、乱痴気騒ぎを数々やらかしてきました (苦笑)。69才になった今であれば、そういう乱痴気騒ぎに対して、きっと眉を顰 (ひそ) めるでしょうね。しかし、当時の私が今の私を見れば、きっと 「爺むさい」 というふうに毒突くでしょう。その乱痴気騒ぎは、社会 (形式的秩序) に対する反抗の形態でした──いわゆる 「疾風怒濤 (シュトゥルム・ウント・ドラング)」 を歪な形で表したものかもしれない。当時の私は、「論語」 よりも 「若き ウェルテル の悩み」 のほうを好んだ。そして、今 「若き ウェルテル の悩み」 を封印しています。封印しているという意味は、若い頃を振り返って感情に駆られていたことを恥じて触れたくないということではなくて、今でも ウェルテル に共感するので その感情を掻き立てないためなのです。69才にもなれば、社会のなかで生活していく知恵はそれなりに習得していますが、いっぽうで若い頃の感情は未だに消え入ることはなく燻 (くすぶ) っている。「なかなかに消えは消えなで埋み火の」 (新古今和歌集 (冬))、その埋み火が再び烈火となることを私は恐れているのです。

 
 (2022年 9月15日)

 

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