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Many strokes fell great oaks.

 
 上手にできなければ、上手にできるまで、なんども、繰り返してやればいい。
 物事を成そうとするには、しつこさがいる。 「一回の愚行は愚行ではない。二回 繰り返すと愚行である。」とは、多々、云われる戒めであるが、修身の ことば ではない。 言外の自嘲と喜悦を感じとることが大切である。 十数回は愚行を重ねたであろう作者の秘かな喜びを。 修身を一義にして道徳を修めた人が、かって、いたのだろうか。 上手にできるようになるまで、愚行を繰り返せばいい。 愚鈍・愚直・変人 と呼ばれるだろう。 だが、一事を成した人は、おおかた、変人であった。

 愚行は試行錯誤である。 それぞれの仕事には、それぞれの匠があり、そして、それは、いつでも、時の流れの底に潜んでいる。
 しかも、しばしば、堅い殻に覆われた貝のように。

 
 (2004年12月 1日)


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