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Little by little one goes to a long way.

 



 私は ロジック (論理学) に魅了されて学習を続けています。ロジック を学習して良かった点の一つは、「真」 とされる前件 (前提) から 「真」 とされる後件 (結論) を導く際に、いくつもの無矛盾な推論を作ることができるという点を学んだことです。すなわち、考えかたには、「これしかない」 ということはない、ということを学びました。そして、「真」 とされる前件を定立することが、とても難しいことも学びました。

 推論の際、最大の敵は 「省略」 です。もし、腑に落ちない点があったら、それが、たとえ、小さな疑惑であっても、省略してはいけない、ということも、痛感しました。私が、仕事上--TM (T字形 ER手法) を作っている途上で--、犯した間違いは、たいがい、「省略」 か 「思い込み」 が原因でした。言い訳するつもりはないのですが、多忙なときとか、疲れているときには、ついつい、集中して考えることが嫌になって、些細な疑問を 「省略」 してしまいます。
 ラッセル (B. Russell) は、以下の ことば を遺しています。

    People don't seem to realize that it takes time and effort and
    preparation to think. Statesmen are far too busy making speeches
    to think.

 もっとも、「下手の考え休むに似たり」 という故事もありますね。
 ウィトゲンシュタイン (L. Wittgenstein) は、以下の ことば を遺しています。

    In order to draw a limit to thinking, we should have to be able
    to think both sides of this limit.

 さて、「思考の限界 (In order to draw a limit to thinking)」 とは、どういうことかしら。そして、思考の上限・下限のあいだで、適切に考えるということは、どういうことかしら。もし、あなたが、そういう疑問を考えたら、あなたは、もう、哲学の一歩を踏み出しているでしょうね。

 
 (2007年 8月23日)


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