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... prophets are never welcomed in their hometown. (Luke 4-24)

 



        郵便局の窓口で

        僕は故郷への手紙をかいた。

        鴉のやうに零落して

        靴も運命もすり切れちやつた

        煤煙は空に曇つて

        けふもまた職業は見つからない。

 
        父上よ

        何が人生について残つて居るのか。

        僕はかなしい虚無感から

        貧しい財布の底をかぞへて見た。

        すべての人生を銅貨にかへて

        道路の敷石に叩きつけた。

        故郷よ!

        老いたまへる父上よ。

 
        僕は港の方へ行かう
                 そうろう
        空気のやうに蹌踉として
        は と ば
        波止場の憂鬱な道を行かう。

        人生よ!

        僕は出帆する汽船の上で

        笛の吠えさけぶ響をきいた。

 

               (萩原朔太郎 「底本 青猫」、「郵便局の窓口で」 から)

 
 (2008年10月 8日)


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