anti-daily-life-20200215
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For what seems to be God's foolishness is wiser than human wisdom, (1 Corinthians 1)

 



 小林秀雄氏は、「匹夫不可奪志」 の中で次の文を綴っています。

     自分は悧巧だと己惚れたり、あの男は悧巧だと感心
    してみたりしているが、悧巧というのは馬鹿との或る
    関係に過ぎず、馬鹿と比べてみなければ、悧巧には
    なれない。実に詰らぬ話であるが、だんだんと自分の
    周囲に見付かる馬鹿の人数を増やすというやり方、
    実に芸のないやり方だが、ただそういうやり方一つで
    世人はせっせと悧巧になる。

 仕事をもたない学生であれば、他人と比較して個性を誇示したり悧巧であると自惚れることはあるでしょうが、仕事をもった──すなわち、成すべきことを為すという職責を負った──社会人が他人と比較して悧巧だとか馬鹿だとか断言して己れを上位に置くことは浅ましい。今風に言えば、マウント したがる ヤツ は それこそ下衆 (げす) い。

 私は、気の置けない仲間と酒を呑んでいる時や懇意な友人たちと話している時には、その場にいない・大嫌いな人たちを阿呆呼ばわりして非難することが時々あることを正直に言っておきます (苦笑)──そういう人たちを馬鹿だ阿呆だと直截に云うのは芸がないので、MM (Modest Minds) と隠語めいた言いかたにして罵っています。ただし、私には そういう人たちを非難して マウント しようという気持ちは更々ない──まじりけのなくて [ 私欲がなく清らかなほど (笑)] 罵っています。そして、(私が過去に綴った 「データ 解析に関する FAQ」 の文を 「TM の会」 で会員たちといっしょに読み返して私が補足説明しながら) 私は私自身も罵倒しています──「なんだ この アホ は ムダ にえらそう」 とか 「こんな グダグダ とした文ではなくて、もっと単純な文に書き直すことができるだろうに、アホ!」 とか、「なんにも わかっちゃいない アホ だな」 というふうに私自身を酷評しています。奇を衒って私自身を罵っているのではなくて、過去の自分が情けないくらいに学習不足だったことを嘆いているのです (苦笑)。早稲田大学 エクステンションセンター で講師を務めた時にも、私が私自身を非難しているのを聴講生たちは 多々 聞いたでしょう──私は そのことを恥だとは 毛頭 思っていない、私は 「事実」 だけを伝えているつもりです。自分を賢く見えるように取り繕っても、いずれ 尻尾がでる。私は仕事では いわゆる 「数学基礎論」 の技術を使っていて、私が説いている モデル 技術を数学に照らして 「客観的に」 批評できるので、取り繕うことができない。だから、私は私を容赦なく批評できる。

 私は、自閉的性質が強くて 「自己中」 なのかもしれないけれど他人と比較することには ほとんど興味がない。私が自身を アホ だと感じる時は、取り組んでいる対象 (課題) に関して in firm control of my subject 状態にない時です。そういう時には、私は頭が悪いと つくづく思う。

 小林秀雄氏の引用文に関連して、英語の ジョーク をひとつ──

    Monkey Organization
    猿の組織

    An organization is like a tree full of moneys, all on different limb at
    different levels. Some monkeys are climbing up, some down. The
    monkeys on top look down and see a tree full of smiling faces.
    The monkeys on the bottom look up and see nothing but assholes.

    [ 訳 ] 組織というのは猿が いっぱい いる木に似ている──
    猿は すべて 上と下の それぞれの枝にいる。猿の何匹かは枝を
    登り、何匹かは降りる。一番上の枝にいる猿は満面に笑みを
    浮かべて木を見下ろしている。下のほうにいる猿は木を見上げる
    が尻の穴しか見えない。

 痛烈な皮肉ですね (笑)。Asshole は、文字通りの 「尻 (ケツ) の穴 [ anus、arse hole ]」 という意味と、「アホ、くそったれ (a stupid or unpleasant person)」 の多義になっています。有能な システム・エンジニア が プロジェクト・マネジャー になったら無能な管理者になってしまった、という悲劇 (喜劇?) は 多々 耳にするけれど、エンジニア の才量 (技術) と マネジャー の才量 (リーダーシップ) は 全然 違う才識であることくらい わかっているでしょうに。

 
 (2020年 2月15日)


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