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Be firm in your faith and resist him (the Devil),...(1 Peter 5-9)

 



 小林秀雄氏は、「山本有三の 『真実一路』 を廻って」 の中で次の文を綴っています。

     僕等が自分達の性格に関する他人の評言が気に食わぬの
    は自分を一番よく知っているのは自分だという自惚れに依る
    のでは恐らくないだろう、凡そ性格に関するはっきりした定義
    を恐れているのだ。自分はどの様な人間にせよかくかくの
    人間だとどうしようもなく決められるその事を、人性は何に
    もなして好まないのである。僕等は他人の性格に関しては、
    はっきりした知識を持った気でいる事が便利だが、自分自身
    の性格に関しては不得要領に構えているのが便利である。
    いや便利と言うより、己れの何物たるかをはっきりとは合点
    出来ない事が、僕等の生きるに必要な条件かも知れない。

 私は占い (星占い、血液型の性格判断など運命を予告あるいは決定する論) の類を信じない──「私の人生を他人に委ねて堪るか」 という思いが私にはある。事細かに定まった儀式のような シナリオ の未来を歩きたいと思う人など居やしまい──「己れの何物たるかをはっきりとは合点出来ない事が、僕等の生きるに必要な条件かも知れない」。どうなるかわからないという未来 (可能性) を歩いていかなければならないからこそ面白いのであって、シナリオ を書くのは自分自身であり、しかも書いた シナリオ どおりにはいかないのが人生ではないか。

 
 (2018年 7月15日)


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