2019年 6月15日 「3.4 内包と外延」 を読む × 閉じる


 本節は、第 9章 (実体主義と関係主義) の前説です。

 内包とは 「定義、意味」 のことを云い、外延とは (内包で生成される)「集合」 のことを云います。「3.1 複文と単文」 において、T之字表記を示しました。T之字表記の左側・右側は それぞれ 役割が違っています──左側には個体指定子を記述し、右側には (個体の)「性質 (あるいは条件)」を記述します。S-P 形式としてみれば、左側には主語を記述し右側には述語 (の連言)を記述します。

     ┌─────────────────┐
     │       営業所       │
     ├────────┬────────┤
     │営業所コード  │営業所名称   │
     │        │営業所所在地  │
     │        │  ・     │
     │        │  ・     │
     │        │  ・     │
     └────────┴────────┘
 この表記は内包的定義です。左側の個体指定子は 「どのような モノ に関する情報」 なのかを示し、右側で示される 「条件」 の連言は前節 3.3 で説明した多項述語を示しています。T之字で最初に記述される形式 [ すなわち、モノ の間に 「関係」 を生成していない状態 ] は、基本的に コッド 正規形の第二正規形です。TM は データ 正規形を最終目的にはしていない、データ 正規形の生成には コッド 正規形という すぐれた モデル が すでに存します──TM が目指したのは コッド 正規形を前提にして、「事業構造」 (正確には、管理過程から観た事業構造) を明らかにすることにあった。個体指定子は コッド 正規形の primary key であると云えば、そう言えるでしょうが、他の違う役割を担っています──すなわち、個体指定子は、「構造」 に積極的に関与するという役割を担っています。

 コッド 正規形は、世界の物事は すべて 記号化されていて、(或る対象範囲のなかにある) 記号列に対して関数従属性を使って decomposition して生成します。いっぽう、TM は entity を単位にしています。最初に生成される entity は コッド 正規形の第二正規形に ほぼ相当します──後の手続きで数学的集合 (セット) に整えますが、最初は 「直感的な」 認知で以て entity を生成します。すなわち、entity どうしが関与して 「構造」 を作るという前提に立っています。そのために、T之字表記は、次のような役割を担っています。

     ┌─────────────────┐
     │       集合名       │
     ├────────┬────────┤
     │並べる     │集める     │
     │        │        │
     │        │        │
     │        │        │
     │        │        │
     └────────┴────────┘
 T之字表記の左側 (個体指定子) は 「構造」 を作るための役割を担い、右側は集合 (セット) を作るための条件群を示しています。そして、右側は、コッド 正規形 (第二正規形) を前提にしていて、集合の構成法は TM では論点にしない──集合構成法はコッド 正規形が数学的 ソリューション を すでに提示しているので、それを超える データ 正規形生成法は出てこないでしょう。TM が論点にしたのはT之字表記の左側です。すなわち、固体指定子 (モノ の「情報」名) を どのように並べたら [ どのような関数 (特性関数) を使ったら ] 事業構造が明らかになるのか、ということを論点にしたのです。

 以上の記述から わかるように、TM は直感的な モノ (entity) の集まり (実体主義的概念、ただし最終的に数学的集合に整える) を並べること (関数を使う、関係主義的技術) で事業構造を明らかにする モデル 技術です。その詳細が第 9章 「実体主義と関係主義」 へと続く。 □

 




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