思想の花びら 2021年 1月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  想像力は、空想を生む肉体の運動がなければ空想裡になんら現実的なものをもつことができない。(略) 内に蔵した心配は、身体を動かしはしないが、烈しい努力と同様に人を疲らす。これがために生じた諸結果は、今度はさまざまな徴候をなって現われる。恐怖によって生じたさまざまな結果が、恐怖心を増大さす。思想は生命の首を絞める。(略) 考えないようにする、こういうことは、考えているよりはるかに容易な仕事だ。ことわっておくが、そんなことはできないと信じこめば、実際に不可能事になる。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  私は二十代にかいたものはむろん、つい昨日書いたものでも、過ぎ去つた文章は悉く意にみたない。何かを書くことは悦びではあるが、また悔恨の種になるものである。それだからこそ次から次へと執念ふかく書きつゞけるとも云へるわけだが、表現の苦心だけは一生かゝつても減らないと思ふ。小説家もさうである。十年二十年と小説をかいてゐると、誰でも一応は表現の技術を身につけるわけだが、そこで満足してゐると忽ち腕がおちてしまふ。語り難い難問題にいつもぶつかつて、一番表現しにくいところで表現しようと身もだえしてゐなければならない。

 


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