思想の花びら 2020年 4月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  だれでも自分のいちばんよく知っていることをいちばんよく疑うものだ。これをみて傍人は、彼の証明の弱さを感じたからだと言いがちだが、当人にしてみれば、反対に、証明の強さを感じたからこそだ。作った人はまた壊すことができる人だ。証明が、その細部にいたるまで、力強い充実した懐疑によって試みられたことは経験によって明らかだ。懐疑を恐れていては、証明の力も展びもないものだ。ユークリッド は、自明に対して疑いがいだけた人であり、非 ユークリッド 幾何学は、いっそう強固な言葉でもう一つ懐疑を表現した。僕は、この懐疑について疑いをいだく。こうして次々に思想は生れ変わるのである。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  芸術の世界は広大無辺である。各人の好みといふものがあり、そこに執着することはもとより大切だが、それだけが絶対だと独善的になつては危険である。東西古今にわたつて、どれだけ我我の知らない美があるかわからないし、これからまたどんな美が創造されるかも予想出来ない。一つのものに愛着するとともに、眼を広く開いてゐなくてはならない。

 


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