「TMの会」 プログラム このウインドウを閉じる
/ 2005年 8月17日 / 

 

 ● 提示されたテーマは ...

 今回をふくめて、次回以降、検討したいテーマとして、以下の諸点が提示されました。

  (1) 来月に出版される (佐藤正美の) 新刊では、どういう点を主題にしたのか。
  (2) 「多値」 と 「多義」 を、どのように、ルール化すればよいのか。
  (3) 新会計基準を、どのようにして、学習すればよいか。
  (4) TMを、ク゛ラフ 理論の観点に立って、検討してみる。
  (5) 「錯綜したコード体系」 を、どのようにして、分析すればよいか。

 いずれも、大切なテーマなので、順次、検討することにしました。

 
 ● 「TMの会」 が 「データ設計用語辞典」 を作成する ...

 「データ設計用語辞典」を、「TMの会」が出版することになりました。
 そこで、「データ設計用語辞典」作成委員会を設置して、委員会の メンハ゛ー が、執筆する体制にします。委員会は、応募制です。現時点 (8月17日) では、5人が応募しています。
 委員会 メンハ゛ー の人数として、10人以上を考えています。応募の締切は、8月27日としますので、多数の参加を期待しています。

 辞典の形式として、或る用語に対して、数行の書き下し文を添える 「ありきたりの」 用語集の形式ではなくて、データ設計の根底になっている基本概念を、丁寧に検討する形式にします。会員が、今後、データ設計の学習を進めるうえでも、辞典作成は、役立つと思いますので、会員は、ふるって応募してください。

 執筆体系 (語彙選択、章立て、文の書きかたなど) および執筆 スケシ゛ュール は、委員会の メンハ゛ー が出揃ったあとで、(tm-net を使って) 協議しましょう。

 
 ● 佐藤正美の新刊では、どういう点を主題にしたのか ...

 新刊の書名は、「T字形ER手法--関係モテ゛ル と オフ゛シ゛ェクト指向の統合をめざして」 です。執筆に取り組んだ直後には、副題として、以下の2つを考えていました。

  (1) 関係モテ゛ル と オフ゛シ゛ェクト指向の統合をめざして
  (2) 意味論と構文論の観点に立って

 新刊の主題は、(2) です。「モテ゛ル」 は--およそ、「モテ゛ル」 というのなら--、意味論と構文論を考慮していないければならないのですが、個人の視点・視野という特称性を前提にして記述した 「絵 (データ構造)」 を、あたかも、全称性を示す 「モテ゛ル」 のように謳っている錯覚が、昨今、まかり通っているので、そのような風潮に対する抵抗力として、(2) を主題にしました。TM (および、TM’) を、意味論の観点および構文論の観点から再検討してみました。新刊は、以下の体系です。

  (1) 理論編
  (2) 技術編
  (3) 実践編
  (4) 応用編

 理論編では、モテ゛ル の考えかた (意味論・構文論の考えかた、関係主義・実体主義の考えかた) を論点にしました (30ページほど)。技術編では、TMおよびTM’の技術を説明しました (70ページほど)。実践編では、TMおよびTM’に対する補助資料として、アトリヒ゛ュート・リスト、リレーションシッフ゜ の検証表 および キー の定義表を説明して、RDB の基本動作と (その動作を前提にして、高ハ゜フォーマンス を実現する)「INDEX-only」 を述べました (30ページほど)。応用編では、小生の (SDI の) ホームヘ゜ーシ゛ に連載している 「データ解析に関する FAQ」のなかから、31題を選んで、補筆修正して、実地に遭遇する典型的な モテ゛ル化を示しました (70ページほど)。

 TM’が扱っている 「概念的 スーハ゜ーセット」 は、クラス 概念に似ていますが、あくまで、概念の構成を整えるために導入されたので、数学的な クラス 概念ではないのですが、いちぶ、数学的な クラス 概念に転用した事例を示しました--というのは、「概念的 スーハ゜ーセット」を、そういうふうに使うこともできるから。
 さらに、応用編では、「集合を組とする オフ゛シ゛ェクト」という用語を使いました。対照表・対応表・再帰表は、「集合を組とする オフ゛シ゛ェクト」 の構成表です--いずれも、コッド正規形では、複合定義域とされて、非正規形です。それらを、「集合 オフ゛シ゛ェクト」 および 「組 オフ゛シ゛ェクト」 という概念を使って--これらの用語は、滝沢教授の書物を参考にしましたが--、意味論 (現実的事態との指示関係) の観点から検討しました。

 オフ゛シ゛ェクト指向 は、「抽象データ型」 を前提にした カフ゜セル化 を特徴としているとすれば、新刊のなかで使っている オフ゛シ゛ェクト という用語は、オフ゛シ゛ェクト指向のいう用語法とは違いますが、関係モテ゛ル が単純定義域を正規形として、複合定義域を非正規形とした点に対して、複合定義域も、(「認知」 の理解次第では、) 「ひとつの」 モノ として認知したほうが良いこと--たとえば、対照表が示す事態--を論点にしました。そのために、「意味論と構文論」 を論旨にしながらも、副題を、「関係モテ゛ル と オフ゛シ゛ェクト指向の統合をめざして」 とした次第です。

 なお、書名では、いまだ、T字形ER手法という呼称を使っていますが、新刊のなかでは、T字形ER手法という呼称を抑えて、TMおよびTM’という言いかたを多用しています。今後、T字形ER手法という呼称を、TM (および、TM’) という言いかたに移行していきたい、と思っています。

 
 ● 「多値」 と 「多義」 を、どのように、ルール化すればよいか ...

 新刊では、「多値」 を、1つの論点としました。ここでいう 「多値」 は、様相の多値ではなくて--すなわち、1つの instance が取り得る可能的値 (たとえば、yes、no および maybe とか) ではなくて--、instance が多意として、複数、成立している状態をいいます。

 「多値」は、「黒本」 と 「論考」 では、「HDR-DTL」 形態を除いて、ほとんど言及されていなかったけれど、新刊では、「多値」 を、「連言 (AND)」 と 「選言 (OR)」 の観点から検討して、「多義」 に対して違う意味として使っています。
 単純に言い切ってしまえば、「多値の AND」 の典型的な事態が 「HDR-DTL」 であり、「多値の OR」 が 「多義」 です。ただし、「多値の AND」 は、すべて、「HDR-DTL」 形態になるとは言い切れない。その点を、小生の ホームヘ゜ーシ゛ のなかで、検討しているので参照してください。

 「多値の AND」が、かならずしも、「HDR-DTL」 形態になるとは言い切れないので、「多値」 のルール化は、新刊では、示しませんでした。TMの体系を、新刊では、以下のように説明しています。

  (1) データの認知
  (2) データの類別
  (3) データの関係
  (4) データの周延
  (5) データの多義

 「データの多義」は、今後、「データの多値」 として--「多値」 のなかで、「多義」 を考えて--、整え直さなければならないかもしれない。

 
 ● 新会計基準を、どのようにして、学習すればよいか ...

 去る 6月末、新会社法が導入されました。過去10年ほど、いわゆる 「会計ヒ゛ック゛ハ゛ン」 と言われてきた (会計の) 変更がありました。10年前に--あるいは、それ以前に--会計理論・会計技術・会計制度を学習したのであれば、「いまの」 会計理論・会計技術・会計制度を知るために、再学習しなければならないでしょう。複式簿記や FIFO・LIFO や減価償却法を知っていることが、「会計」を--言い換えれば、「事業に役立つシステムを作る」ために知っておかなければならない会計知識を--習得していることにはならない。
 今回の 「会計ヒ゛ック゛ハ゛ン」 では、「会計取引の評価基準」そのものが変更になったのだから。そのために、会計制度や会計技術を、そのまま、丸暗記しても、現代会計を理解するのは、むずかしいでしょう。言い換えれば、会計理論も学習し直さなければならないでしょうね。

 「TMの会」 では、会計を学習するために、以下の 2点を説明します。

  (1) 「新しい会計」 の学習法
  (2) 「新しい会計」 の理論・技術・制度

 今回は、まず、「新しい会計」 の学習法を説明しました。
 10年前の会計と、いまの会計が、どのように変わったのか、という点を、概説して、新しい会計を学習する際、どのような観点を重視すればよいか、という点を説明しました。これらの説明は、tm-net のなかで、講義録として アッフ゜ロート゛ されていますので、講義録を読み返して、講義を復習してください。

 次回--および、次回以降--、新しい会計の理論・技術・制度を、個々に、具体的に説明していきます。

 

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