「TMの会」 プログラム このウインドウを閉じる
/ 2007年 4月26日 / 

 

 「中沢家」 の TMD (TM Diagram) を、前回から ひき続いて、推敲しました。

 
 前回、「社内版」 に関して、以下を考えて、3つ以上の代替案を考える宿題を出しました。

  (1) 「個体」 --たとえば、「図面」-- の性質として考える。
  (2) 「関係」 のなかで--すなわち、バージョン 管理として--考える。
    (2)-1. 社内版を主として、客先版を従として考える。
    (2)-2. 社内版を従として、客先版を主として考える。

 
 今回、宿題に対して、4つの案が提示されました。それらの案を検討しました (それぞれの TMD は、ここでは、省略します)。

 4つの案のなかで、3つは、「客先版」 と 「社内版」 を 図面に対する サブセット --すなわち、「図面」 の性質--としていました。

 TM の文法は、数学の 「解析」 を前提にして作られています。「解析」 とは、数学的な論法の一つであって、証明しなければならない対象 A が存在しているとき、A が成り立つためには、B1 が成り立たなければならないことを示し、さらに、B1 が成り立つためには、B2 が成り立たなければならないことを示すというふうに、以下のように、順次、対象を導出する手順です。

     A → B1 → B2 → ... → Bn.

 そして、A を、終いには、「既知の ことがら」 Bn に帰着する やりかた を 「解析」 と云います。この 「既知の ことがら」 (管理対象としての個体) が、TM では、「entity」 です--つまり、「事実的な F-真」 を示す (現実の事実を指示する) 物であったり、多くの人たちが 「合意している」 管理対象です。
 TMD の作成は、「解析」 の逆を辿ります。すなわち、「既知の ことがら (entity)」 を起点にして、「構造」 を、順次、組んでいきます。したがって、「なんらかの 『構造』 を作るためには、その前に、どのような モノ (entity とか対照表とか) が存在していなければならないか」 を つねに考えるようにして下さい。

 「客先版」 は、「取引先の図面」 に対して付与される番号です。そして、「図面」 が 「取引先用の」 図面であるか、それとも、「自作用の」 の図面であるかを判断するためには、「取引先」 が、まず、認知されていて、「取引先」 が提示した図面であることが判断されなければならない。「取引先」 が提示したのかどうかという判断するためには、なんらかの 「手続き (あるいは、事態)」 が先立っていなければならない。その 「手続き (あるいは、事態)」 が 「受注」 である--ちなみに、「受注」 は、TMD には記述されていなかった。

        ┌───────────────────┐
        │        受 注       E│
        ├─────────┬─────────┤
        │受注番号     │受注日      │
        │取引先コード(R)│         │
        │         │         │
        └─────────┴─────────┘

 しかも、「客先版」 には、かならず、「社内版」 が対応 (「1-対-1」 対応 ?) します。

         図番 001
            ┌────┬────┬────┬────┐                             
            │        │ 事態 -1│ 事態- 2│ 事態 -3│                             
            ├────┼────┼────┼────┤                             
            │ 客先版 │   001  │   002  │   002  │                             
            ├────┼────┼────┼────┤                             
            │ 社内版 │   001  │   002  │   003  │                             
            └────┴────┴────┴────┘                             

 事態-3 が起こるかどうかは、ユーザ に確認して下さい。
 「客先版」 と 「社内版」 は、排他的ではないので--同一の個体に対して、かならず、2つが組になって対応するので--、ひとつの認知番号に対して、客先版と社内版の サブセット にはならない。前回、「客先版」 を 「取引先. 図面. 対照表」 のなかの性質としていましたが、「社内版」 との対応を考慮して、「図面」 の VE としました。

 4つの案のなかで 1つの案は、「客先版」 を resource としていましたが、resource として認知する (管理する) 積極的な理由はない。というのは、「客先版」 は、単独の個体指示子 (認知番号) として作用しない--同一個体の状態が推移するので、状態の推移を時系列のなかで並べる コードです。

 以上の諸点を鑑みて、とりあえず、以下の 「構造」 として整えました。

 ┌───────────────────┐              ┌───────────────────┐
 │        受 注       E│              │        製造手配      E│
 ├─────────┬─────────┤              ├─────────┬─────────┤
 │受注番号     │受注日      │              │製番       │製造手配日    │
 │取引先コード(R)│         │              │         │         │
 │         │         │              │         │         │
 └─────────┴─────────┘              └─────────┴─────────┘
        ∨
        |                                 ┌─────────────┐
        ┼                                 │   図面. 客先版  VE│
 ┌──────┴──────┐     ┌─────────────┐      ├──────┬──────┤
 │     取引先    R│     │     図 面    R├┼───○<│図番(R) │客先版   │
 ├──────┬──────┤     ├──────┬──────│      |      |      |
 │取引先コード│取引先名称 │     │図番    │品名    │      └──────┴──────┘
 │      │      ├┼─○─<|      │      │
 │      │      │  │  │      │      │      ┌─────────────┐
 │      │      │  │  │      │      │      │   図面. 社内版  VE│
 │      │      │  │  │      │      ├┼────<├──────┬──────┤
 └──────┴──────┘  │  └──────┴──────┘      │図番(R) │社内版   │
                  │                       |      |更新日   |
                  │                       └──────┴──────┘
        ┌─────────┴─────────┐
        │    取引先. 図面. 対照表     │
        ├─────────┬─────────┤
        │取引先コード(R)│         │
        │図番(R)    │         │
        │         │         │
        └─────────┴─────────┘


 
 さて、この状態では、「図面 (の アトリビュート)」 は、最新の状態しか記録されないでしょうね。「図面 (の アトリビュート)」 の更新された状態も、すべて、記録するのならば、{図番+社内版} が ひとつの個体指示子として作用するので、以下の 「構造」 となるでしょう。

 ┌───────────────────┐              ┌───────────────────┐
 │        受 注       E│              │        製造手配      E│
 ├─────────┬─────────┤              ├─────────┬─────────┤
 │受注番号     │受注日      │              │製番       │製造手配日    │
 │取引先コード(R)│         │              │         │         │
 │         │         │              │         │         │
 └─────────┴─────────┘              └─────────┴─────────┘
        ∨
        |
        ┼ 
 ┌──────┴──────┐     ┌─────────────┐
 │     取引先    R│     │     図 面    R│
 ├──────┬──────┤     ├──────┬──────┤      ┌─────────────┐
 │取引先コード│取引先名称 │     │図番    │品名    │      │   図面. 更新日  VE│
 │      │      ├┼─○─<|社内版   │      ├┼────┼┼──────┬──────┤
 │      │      │  │  │      │      │      │図番(R) │更新日   │
 │      │      │  │  │      │      │      |社内版(R)|      |
 │      │      │  │  │      │      │      └──────┴──────┘
 └──────┴──────┘  │  └──────┴──────┘
                  │
                  │
        ┌─────────┴─────────┐
        │    取引先. 図面. 対照表     │
        ├─────────┬─────────┤
        │取引先コード(R)│客先版      │
        │図番(R)    │         │
        │社内版(R)   │         │
        └─────────┴─────────┘

 
 「取引先. 図面. 対照表」 のなかに、「社内版」 が関与するので、「客先版」 を対照表のなかに もどしました。

 さて、この時点で、以下の 2点を検討しなければならないでしょうね。

 (1) 「客先版」 には、「更新日 (通知日)」 を記録するのか。
 (2) 「受注」 は、かならず、「手配」 に先行するのか。

 (1) は、「社内版」 には、「更新日 (作成日をふくむ)」 が記録されているが、「客先版」 には、「日付」 を記録するのかという点が検討されなければならない。もし、「通知日」 が記録されるのであれば、上述した 「構造」 は修正しなければならない--「通知日」 が記録されるかどうかは、「中沢家」 が次回までに確認することにしました。

 (2) に関して、「受注」 は、基本的に、「手配」 に先立つが、「手配」 が 「受注」 の先立つこともあるとのこと。(2) の構造を宿題としました。

 
 以上の検討の道筋は、tm-net に アップロード されている講義録を参照して下さい。

 

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