2003年 4月16日 作成 限界利益と損益分岐点 >> 目次 (テーマごと)
2007年 7月16日 補遺  

 

 
1. 限界利益

 限界利益とは、製品の売価から変動費を控除した利益をいう。

 (1) 固定費は考慮しない (配賦しない)。
 (2) 総限界利益のなかから固定費総額を控除する。

 
2. 変動費率と限界利益率

 以下の略語を使う。

 (1) S 売上高
 (2) V 変動費
 (3) F 固定費
 (4) M 限界利益
 (5) P 純利益
 (6) m 限界利益率
 (7) v 変動費率

 
 以下の算式が成立する。

 (1) S − V − F = P
 (2) S − V = F + P = M
 (3) M ÷ S = m
 (4) V ÷ S = v

3. 損益分岐点

 変動費率から観れば、限界利益率は以下のように考えてもよい。

    限界利益 = 売上高 (1 − v)

 そして、「売上高 (1 − v) = 固定費」 となる点が損益分岐点である。
 損益が ゼロ になる売上高を損益分岐点 (break-even point) という。
 言い換えれば、売上高と費用が一致する。したがって、売上高が損益分岐点以上になれば利益が生じ、損益分岐点以下になれば損失が生じる。

 次回は、変動費率と固定費を計算する最小自乗法を述べる。



[ 補遺 ] (2007年 7月16日)

 たとえば、売上高 100万円で、変動費が 80万円なら、限界利益は 20万円となります。限界利益は、本 エッセー のなかで記述したように、固定費を控除する前の利益なので、経営の視点から見れば、限界利益で固定費を回収することになります。言い換えれば、「儲け」 を出すなら、限界利益の枠内で、固定費を回収しなければならない、ということです。限界利益と固定費が等しいときの売上高のことを 「損益分岐点」 と云います。

 「限界利益」 に似た利益概念として、「粗利」 という言いかたがありますが、「粗利」 と 「限界利益」 は違う概念です。「粗利」 は、売上高から売上原価を引いた利益概念ですが、製造業では、売上原価には、労務費などの固定費が配賦されているので、「限界利益」 と同じ概念ではありません。ただし、売上原価が完全に変動費のみで構成されていれば、「粗利」 と 「限界利益」 は同じ数値になるかもしれない--たとえば、仕入販売業など。




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