2003年11月16日 作成 経営戦略論と経営計画論 >> 目次 (テーマ ごと)
2008年 2月16日 補遺  

 

 
(1) 経営戦略論が、今までの経営計画論と違う点は、以下の 2点にある。

    環境適応の観点を提示している。

    単純な 「合理的判断」 の予測ではなくて、不確実な変数があることを提示している 。
    (制約された合理性)

   つまり、戦略論は、「一定の環境変数の限界のなかで合理的である」 ことを提示して、環境の変化に
   応じて、継続的に新たな判断をおこなわなければならない
ことを提示した。

 
(2) アンソフ (Ansoff, H.I.) によれば、マネジメント は、歴史的に観て、以下の 3つの段階を辿ってきた。
   [ Corporate Strategy, 1965 ]

    高い生産性を実現する (テイラー の科学的管理や メイヨー の人間関係論)。
    [ 5つの事業過程 (購買・生産・販売・労務・財務) のなかで生産過程に研究が集中した。]

    高い操業度を実現する (第二次大戦後の商品の大量化)。
    [ 組織過程を考慮した経営過程全体が研究対象となった。]

    外的・戦略的問題 (external or strategic problems) を研究対象にする。

 
(3) 戦略的という意味は、「問題志向的」 であるのではなくて、「機会志向的」 であることを特徴とする。

    管理過程では、「戦略的計画 (strategic planning)」 が導入されるようになった。

    生産過程では、「R&D」 を取り込んで、生産の概念が拡大した。





[ 補遺 ] (2008年 2月16日)

 本 エッセー は、前回の エッセー を継続して綴られました。本 エッセー で まとめたことは、いったん読み終えたならば、どってことない中味ですが、本 エッセー で私が みずから 確認したかった点は、経営学のなかで、「戦略」 という考えかたが どのようにして出てきて、どのような性質なのか、という点でした。

 私の仕事は、システム・エンジニア として、事業過程・管理過程のなかで使われている 「情報 (帳票、画面、レポート など)」 を対象にして、事業過程・管理過程のなかで 「『意味』 が どのようにして伝達されているか」 という点を分析して、データベース を 「構成」 することです。事業過程・管理過程を 「正確に」 写像するような 「構造」 を作るのだから、以下の 2点を検討することが、私の仕事の中核となります。

 (1) 「構造」 そのもの-の 強み・弱みを知る。
 (2) 「構造」 が環境に対して、適応できているかどうかを検討する。

 (1) が 「問題志向的」 で、(2) が 「機会志向的」 です。(2) が事業戦略にかかわります。

 「事業戦略」 そのものを、われわれ システム・エンジニア が立案するのではないのですが、ユーザ が提示した 「事業戦略」 を実現できる 「構造」 になっているかどうか という検討は、われわれ システム・エンジニア が応じなければならない職責でしょうね。そのためには、「事業過程・管理過程を 『正確に』 記述した」 構造を作って、かつ、「戦略」 という意識を持っていなければならないでしょう。システム・エンジニア が、どうして、「戦略」 という意識を持たなければならないのか という点を みずから 確認するために、私は、本 エッセー を綴ったのです。

 経営学の入門書を読んで、「戦略」 とか 「機会志向」 という ことば を知ったからといって、それらの概念が みずからの仕事のなかで具体的に実現できなければ、「ぎっしりと詰まった空虚」 な状態になって、システム・エンジニア を 「装う」 ことのみに長ける罠に陥るでしょう。あるいは、「事業戦略」 を システム・エンジニア が立案できるなどと自惚れてしまうでしょう。「戦略」 は、環境のなかで起こってきる 「質的変化」 を感知して、それに対応する──しかも、継続的に対応する──ことであって、「単純な 『合理的判断』」 で実現できる訳ではないという当たり前のことさえ忘れてしまった エンジニア が多いようです。





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