2004年 1月16日 作成 戦略と マーケティング 過程 >> 目次 (テーマ ごと)
2008年 4月16日 補遺  

 
1. 戦略と マーケティング 過程

 (1) 生産過程は統制可能である。 [ 技術過程として、経営のなかでおこなわれる。]
 (2) 販売過程は統制不可能である。 [ 実施は経営の外部で行われる。]

[ 参考 ]
正確に予測したり制御したりすることができない要因のことを 「不確定要因」 という。
組織と環境の関係のなかで、不確定要因には、以下の 2つがある。
 (1) 技術の不確定要因
 (2) 環境の不確定要因
組織は、機能別・階層別に規整された構成単位であるが、外部の環境に対して、オープン・システム として機能している。
組織構成単位間の相互依存関係に起因する不確定要因を 「技術の不確定要因」 という。
組織と環境との相互依存関係に起因する不確定要因を 「環境の不確定要因」 という。
「技術の不確定要因」 に対する対応が 「組織設計」 戦略である。
「環境の不確定要因」 に対する対応が「企業戦略 (「製品-市場」戦略)」 と 「環境戦略」 である。
環境戦略は、以下の 2つに類別される。
 (1) 競争戦略
 (2) 共同戦略

 
2. マーケティング は、以下のように定義されている [ AMA, 1985 ]。

  「マーケティング とは、
   個人の目的と組織の目的を満足する交換を創造するために、
   アイデア・商品・サービス に関する コンセプト の創造、価格、プロモーション、チャネル を
   計画し統制する プロセス を意味する」

[ 参考 ]
歴史上、初めて、「マーケティング」 という名称を使った書籍を著した人物は、バトラー (Butler, R.S.)である。
彼は、マーケティング の中心論点を以下の 3つにある、と論述した。[ Marketing Methods and Salesmanship, 1914 ]
 (1) 製品の研究
 (2) 市場の研究
 (3) 市場への到達方法の研究

 
3. マーケティング を経営の 「市場活動」 として解釈し、購買過程と販売過程を 「市場活動」 として考える。

 (1) 販売過程は投下資本の回収である。
 (2) 購買過程は資本の投下の過程である。(貨幣資本の生産資本への転化の過程である。)

 
4. マーケティング は、市場の対象に対する作用の観点からすれば、以下の 2つの作用に類別できる。

 (1) 消費者に対して、差別化 (製品差別化と市場差別化)
 (2) 販売業者に対して、系列化

 
5. エイベル=ハモンド (Abell, D.F.=J.S. Hammond) は、ドメイン (domain) という概念を提示した。
  [ Strategic Market Planning, 1982 ]

 (1) 企業が今日および将来にわたって確立し維持すべき領域のことをいう。
 (2) 日本語では、「生存領域」 と訳されている。
 (3) ドメイン は、以下の 3つの軸のなかで規整される。
    - 顧客集団 (who)
    - 顧客ニーズ (what)
    - 実現技術 (how)

 
6. マーケティング 機会を発見するために、以下の 3つの マーケティング 調査が実施される。

 (1) 消費者行動分析
 (2) 競争分析
 (3) 標的市場分析





[ 補遺 ] (2008年 4月16日)

 私が大学生 (商学部生) だった頃 (1970年代の半ばから末まで)、「マーケティング」 という用語は、広範に認知されていなくて、「セールス (販売)」 と混同されることが多かったようです。当時、私は、「マーケティング」 の講義をとったのですが、最初の講義で、担当教授 (宇野教授) が 「マーケティング の講義は、学生を セールスマン (いまで云う、セールス・パーソン) にするための講座だと思われているようですね」 と 「笑い話」 として おっしゃっていらっしゃいました──言い換えれば、たぶん、「深淵な学問とは、ほど遠い」 というふうに世間では思われていたことに対する皮肉であったのかもしれない。

 「販売」 は、マーケティング 諸機能のうちの一つであって、(「販売」 が商品を セールス するという日々の活動であることに対して、) マーケティング は、「セールス の しくみ」 を考える戦略的な企業活動です。ただ、当時 (1970年代) は、大量生産・大量消費の時代だったので、まだ、マーケティング という考えかたが重視されていなかったのかもしれないですね。マーケティング の重立った概念の一つである 「顧客 ニーズ (あるいは、消費者行動)」 という ことば が世上に出てきた時期は、1980年代だったように私は記憶しています。1975年頃から ライフスタイル が質的に変化して、「Post-Affluent Society (ポスト豊かな社会)」 (ヤンケロヴィッチ 氏が社会全体の トレンド に関する研究のなかで使った ことば)の世相になって、「自己充足」 が基本的な価値観になってきて、消費者行動 (ニーズ、購買動機、購買慣習) が分析されるようになったのでしょうね。

 マーケティング では、まず、「顧客 ニーズ」 を定立して、それを起点にして、マーケティング・ミックス を考えます。マーケティング・ミックス には、いわゆる 「4P」 説といわれている 4つの観点があります。

 (1) 製品 [ product ] (製品化計画、価格決定、包装など)
 (2) 価格 [ price ] (価格決定など)
 (3) 促進 [ promotion ] (広告、パブリシティ、人的販売など)
 (4) 場所 [ place ] (流通経路、立地条件、輸送問題、取引条件など)

 マーケティング の 「新しい問題」 として、以下の諸点が考慮されています。

 (1) サービス の マーケティング (商品から サービス へ)
 (2) グローバル 化 (国内から国際へ)
 (3) 多角化 (製品べつから企業全体 [ CI (corporate identity) ] へ)

 サービス は、生産と消費が同時に起こります。いっぽう、商品は、生産と消費が べつべつに起こりますので、「サービス の マーケティング」 では、商品を対象にした マーケティング とは違う マーケティング 活動を考えなければならないでしょうね。グローバル 化のなかで、「現地生産」 (外国での生産・販売) がおこなわれるようになって、社会的・文化的な観点を考慮しなければならないでしょうし、いっぽうで、企業の多角化が進んでいるので、製商品べつの マーケティング 計画とは違う計画・実施の統合 (シナジー 効果がでるように、マーケティング 計画の統合) を考えなければならないでしょう。

 昨年 (2007年) は、食品の 「賞味期限」 偽装事件が多く発覚しました。競争が激しくなれば、遺憾ながら、不正な条件を作ってしまうようですね。そういう 「不正」 を排除するための法的規制 (および、市場環境のほかに、「自然環境」 に対する規制 [ EA、Environment Assessment ]) は、近年、マーケティング 活動に多大に関与しています。





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