2002年 7月31日 作成 ヘッジ 取引 >> 目次に もどる
2006年11月16日 補遺  

 

1. ヘッジ 取引の目的

 ヘッジ とは、或る資産・負債に関して生じる損失の可能性を、それとは反対方向に変動する取引を使って減殺することをいう。したがって、ヘッジ は、以下の 2つから構成される。

  (1) ヘッジ 対象 (ヘッジ の対象となる資産・負債)
  (2) ヘッジ 手段 (デリバティブ 取引が使われる)

 典型的な ヘッジ 取引の例として、為替変動を ヘッジ 対象とすれば、為替予約が ヘッジ 手段となる
 ヘッジ 対象と ヘッジ 手段との紐付けには、以下の 3つの形態がある。

  (1) 個別 ヘッジ (原則的な形態)
  (2) 部分 ヘッジ、包括 ヘッジ (例外的な形態)
  (3) マクロヘッジ (特例の形態)

 
2. ヘッジ 取引の評価

 ヘッジ 取引は、財務会計では、ヘッジ 対象の損益と ヘッジ 手段の損益を同一の会計期間に認識する
 同一会計期間に認識するためには、ヘッジ 対象の観点から認識するのか、あるいは、ヘッジ 手段の観点から認識するのか、という 2つの観点があって、以下の 2つの計上方法がある。

  (1) 時価 ヘッジ (ヘッジ 対象の相場変動を当期の損益に反映する)
     [「その他有価証券」のときのみ認められている ]
  (2) 繰延 ヘッジ (ヘッジ 手段の損益を ヘッジ 対象の損益認識時点まで繰り延べる)

 以下は、ヘッジ 取引の簡単な仕訳例である。



 [ 2002年 2月 1日 ]

 2002年 6月限月の国債 (@100円/口、1,000口) をヘッジ目的で先物買建て、委託証拠金 \100,000 と委託手数料 \10,000 を証券会社に現金で支払った。


  (借) 先物取引差入保証金        100,000
      委託手数料               10,000

  (貸) 現 金                 110,000

 [ 2002年 3月31日 ]

 決算日に、この先物取引の時価が@110円であった。

  (借) 先物取引差金             10,000   (貸) 繰延 ヘッジ 利益           10,000

 翌日(2002年 4月 1日)、「洗い替え」。

  (借) 繰延 ヘッジ 利益           10,000   (貸) 先物取引差金             10,000

 [ 2002年 6月30日 ]

 この先物の時価が@120円の時点で反対売買して決済し、証拠金といっしょに現金で入金した。


  (借) 現 金                 120,000

  (貸) 先物利益                20,000
      先物取引差入保証金        100,000


[ 補遺 ] (2006年11月16日)

 ヘッジ 手段として デリバティブ 取引を使っているので、本文のなかで示した仕訳は、前回、デリバティブ 取引を説明する際に示した仕訳と同じになる。ただ、「繰延 ヘッジ」 として仕訳したにすぎない。




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