2004年 1月 1日 作成 競争戦略 >> 目次 (作成日順)
2008年 4月 1日 補遺  

 

 
1. 「市場の競争原理」 は、以下を前提にしている。

 (1) 市場への参入、市場での取引、市場からの退出は、「自己責任原則」 である。
 (2) 競争のなかで、「資源配分の合理性」 が成立する。
 (3) 継続的な イノベーション が生まれる。

 
2. 市場の競争環境は、常に変化している。

 (1) 産業構造の変化
 (2) 法的な規制・規制緩和
 (3) 社会的価値観の変化
 (4) 技術革新

 
3. 市場の競争環境の変化は、企業にとっては リスク である。
  企業は環境変化の リスク に適応して、競争に勝たなければ、存続することができない。

 
4. ポーター (Porter, M.E.) によれば、収益性は以下の 2つによって規整される。

 (1) 業界の魅力度
 (2) 業界内の競争的地位

 
6. (ポーター によれば、) 業界の収益性は、以下の 5つによって規整される。

 (1) 新規参入の可能性
 (2) 代替品の可能性
 (3) 買い手の交渉力
 (4) 売り手の交渉力
 (5) 業者間の敵対関係

 
6. (ポーター によれば、) 競争戦略は、
  「戦略 ターゲット の幅」 と 「競争優位」 という観点から判断して、以下の 3つに類別できる。

 (1) コスト・リーダーシップ 戦略
 (2) 差別化戦略
 (3) 集中戦略 (コスト 集中と差別化集中)

 
7. コスト・リーダーシップ 戦略は、(同一製品を) 競争企業に比べて低い コスト で生産して、(コスト を
使った) 優位性を獲得する戦略である。

 (1) 経験曲線効果を得る (ただし、市場占有率が高いことが前提となる)。
 (2) 事業過程 (購買・生産・販売・労務・財務)を合理化する。
 (3) 差別化を軽視する危険性がある。
 (4) 技術革新が起これば、今までの投資や熟練を反故する危険性がある。

 
8. 差別化戦略は 「独自性・特異性」 を使って優位性を獲得する戦略であるが、差別化として以下の手段がある。

 (1) 製品 (品質、性能、デザイン、ブランド など)
 (2) 販売 チャネル (広告、見本市・展示会、営業要員・営業所の数など)
 (3) 流通 チャネル (取引形態、マージン など)

 
9. 集中戦略は、市場を細分化 (セグメンテーション) して、特定の セグメント に対して資源を集中する戦略である。

 (1) 特定の セグメント として、特定の製品・市場・顧客などが選択される。
 (2) 特定の セグメント では、差別化が達成できる可能性が高い。





[ 補遺 ] (2008年 4月 1日)

 経営戦略は、以下の 2点を実現できなければならない。

 (1) 競争上の優位性
 (2) シナジー 効果 (synergy effect)

 シナジー 効果が有効に作用する形態は、「多角化経営」 であると言われています。
 多角化戦略では、前回の 「補遺」 で述べたように、水平的 (コラボレーション など)・垂直的 (SCM など)・集中的 (コア・コンピタンス など)・集成的多角化が図られ、企業合併は、シナジー 効果を期待して実施されることが多いようです。

 競争戦略では、以下の 2つの戦略が基本形となります。

 (1) コスト・リーダーシップ (低 コスト) 戦略
 (2) 差別化戦略

 さらに、この 2つの戦略に対して、マーケット・セグメンテーション を考慮した戦略が 「集中化戦略」 です。

 コスト・リーダーシップ 戦略と差別化戦略は、二律背反的性質が強いようです。というのは、コスト・リーダーシップ 戦略は、マーケット 対応戦略として、「無差別 マーケティング」 にならざるを得ないし、プロダクト の 「標準化・共通点」 を前提にして、事業過程の合理化を進める戦略ですが、いっぽう、差別化戦略は、マーケット 対応戦略では、「差別的 マーケティング」 を実施して、多品種少量化生産にならざるを得ないので、コスト が割高になります。

 コスト・リーダーシップ 戦略は、マーケット・シェア が高いことも前提になっていて、「同質囲い込み戦略」 の リーダー 戦略です。もし、チャレンジャー が 「差別化戦略」 を使った対抗戦略に打ってでるならば、マーケット 浸透価格政策として、「初期低価格」 政策をとって──したがって、「初期低価格」 政策は 「競争志向価格」 と言って良いでしょう──、或る程度の マーケット・シェア を獲得してから値段を次第に高くするという政策になるでしょうね。
 「価格」 のみに限っていえば──「価格」 政策のほかにも、広告などの プロモーション なども考慮しなければならないのですが──、マスコミ の報道から判断すれば、SoftBank 社が、通信事業の競争 (対 Docomo 社、対 au 社) のなかで、浸透価格政策として、「初期低価格」 政策 (SoftBank 社の 「ホワイト・プラン」) をとったと判断して良いでしょう。ちなみに、au 社は、当初、「集中化戦略」 をとって、「音楽を身近に感じている若者」 を対象にして 「LISMO」 を プロモーション したのではないでしょうか。SoftBank 社にしても au 社にしても、それぞれの競争戦略は 「ききめ」 があったようですね。さて、Docomo 社は、リーダー 戦略として、どういう戦略をとるのかしら、、、正直言って、私には、Docomo 社の訴求力 (訴求効果) が低いように感じますが。
 「価格政策」 に関しては、後日、「マーケティング・ミックス」──「価格 (price)」 という テーマ──のなかで まとめてみます。





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