2004年 7月16日 作成 生産の意味と生産管理の目的 >> 目次 (作成日順)
2008年10月16日 補遺  

 

 
1. 生産の意味と 「生産・在庫」 管理の目的

 生産 (工業生産) の形態は以下の 2つを前提とする。

 (1) 経済 (環境的公準)
 (2) 技術 (構造的公準)

 生産活動は経営活動の一環として行われる。したがって、「生産・在庫」 の管理は、

 (1) [ 環境的公準として ] マーケット に対する適用・有用性 (「サービス の向上」) と、
 (2) [ 構造的公準として ] 生産技術の合理化 (「在庫の削減」 と 「稼働率の向上」)

 を目的としている。

 
2. 生産過程は事業過程の 1つであるから、資本利益率(参考 1) を高めることを最終目的とする。

 (1) 売上利益率(参考 2) の改善
 (2) 資本回転率(参考 3) の改善

 
3. 生産過程は統制可能な プロセス である。生産活動は以下の 2点を目的とする。

 (1) 生産性 (「産出量 ÷ 投入量」 として計算される。)
 (2) 付加価値 (「売上高 − (外注費 + 購入費)」 として計算される。)

 
4. 生産管理の目的は以下の 4点に集約できる。

 (1) 多様化・短納期化への対応
 (2) 製造法の合理化
 (3) 在庫の削減
 (4) 設備稼働率の向上

 (1) および (2) は、売上利益率を改善し、(1) ならび (3) および (4) は、資本回転率を改善する。

 
(参考 1)  資本利益率 = 利益 ÷ 資本.

 なお、資本利益率は、以下のように構成される。

 資本利益率 = 売上利益率 × 資本回転率.

 
(参考 2)  売上利益率 = 利益 ÷ 売上高.

 
(参考 3)  資本回転率 = 売上高 ÷ 資本.

 





[ 補遺 ] (2008年10月16日)

 「生産管理」 の説明を始めるにあたって、「生産管理」 の体系を──本 ホームページ では、MRP を テーマ にしますが──示すことがから始めてもいいのですが、本 エッセー では、「生産管理」が 「経営の観点」 から見て 「経営数値」 に対して どのような影響を及ぼしているのかという点から始めてみました。というのは、「生産管理」 の書物では、往々にして、「生産管理」 の技術ばかりを説明していることが多いので、そういう説明のしかたに対する私の抵抗として、本 エッセー を認 (したた) めてみました。前回 まで説明してきた 「マーケティング」 は、対マーケット の行為なので、企業の統制を超えた点を多くふくんでいますが──すなわち、企業が マーケット を統制することはできないということですが──、「生産管理」 は、企業のなかでの行為なので、企業が みずからの計画で統制できます。企業経営の観点から見れば、「生産管理」 は 「資本利益率」 に当然ながら直結します──「収益」 (あるいは、売上高) は、対 マーケット のなかで実現されるので企業が統制できない対象ですが、「生産管理」 は 「売上原価」 を構成する一番の元です (だから、「製造原価」 の管理が 「生産管理」 のなかで大きな比重を占めているのは言うまでもないでしょう)。

 以前、私が使っていた パソコン の 増設 バッテリー が消耗したので、新しい 増設 バッテリー を購入しようと (その製造会社の) 備品 サポートセンター に電話したのですが、あいにく在庫がないということだったので、「では、いつ頃に入荷できますか」 と訊いたら、「わからない」 という返事でした (!) ──穿 (うが) った見かたをすれば、この企業では、製造計画が サポートセンター に知らされていないのかもしれない。「在庫」 をもたないというのは、それはそれでいいのですが、少なくとも、オプション 品が単独で市販品になっているのだから、「生産管理」 の目的の ひとつである 「サービス 向上」 の観点から判断して、「いつ入荷できるか」 が不明というのは──まして、製造会社の サポートセンター であれば──、製造計画が企業のなかで共有されていないことを露呈しているような状態であって、顧客は、そういう対応をされたら、パソコン を買い換えるときに、その企業の物を購入することは躊躇するでしょう。「サービス 向上」 という謳い文句が空々しく響きますね。実際、私は、パソコン を買い換えたときに、その製造会社の パソコン を選ばなかった。





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