2005年 2月16日 作成 製造基礎情報 (部品の基礎情報) >> 目次 (作成日順)
2009年 5月16日 補遺  

 

 
1. 製造基礎情報

 以下の情報を、製造基礎情報という。

 (1) 部品 (item、parts)
 (2) 部品表 (bills of material)
 (3) 設計変更 (engineering changes)
 (4) 作業区 (work center)
 (5) 標準工順 (routings)

 
2. 部品の基礎情報

 部品の基礎情報として、以下の データ を記録する (部品 マスター とよばれる ファイル に収録される)。

 (1) 部品番号、部品名称などの記述項目 (たとえば、leather seatとか)
 (2) 状態 (試作品、量産品、疑似品目、代替品目、陳腐化、削除済など)
 (3) 種類 (組立部品、加工部品、機械加工、原材料、購買部品、外注部品など)
 (4) 単位 (unit of measure)
 (5) 変換比率 (計量単位を変換するときに使う比率)
 (6) 代替部品番号
 (7) 設計図番号
 (8) 設計変更番号

 以上のほかに、製品との関係のなかで、以下のような種類として系統立てることが多い。
 (1) 専用部品
 (2) 共通部品
 (3) 標準部品

 また、組立用部品と補修用 (サービス 用) 部品を切り離すこともある。

 
3. 部品構成表

 それぞれの部品 (製品もふくむ) を生産するために必要な子部品の種類 (構成関係) と数量 (構成数量) を示す リスト のことをいう。構成を 「木」 構造を使って記述する ストラクチャ 型 (structure-type)、「表」 形式を使って示す サマリー 型 (summary-type) がある。B/M とか BOM などと略称される。部品展開の基礎資料となる。

┏━<<部品表の基礎情報>>━━━━━━━━━━━━━━……………………‥‥‥‥

┃ 部品番号(レベル 0): 100-000 名称: A 状態 設計図番号
┃ LEVEL 部品番号 名称 員数 スクラップ 比率 オフセット 単位
┃ 1     100-001  B   1
┃  2    100-003  C   11
┃ 1     100-002  D   1
┃  2     100-004  E   1
┃   3   100-005  F   2
┃    4  100-006  G   1.5
┃   3   100-007  H   2

┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥

[ 参考 ]
 部品表の最上階 (独立需要の対象が記述される階) を、レベル 0 という。
 員数とは、上位品目を作るための数をいう。たとえば、自動車 1台につき、タイヤ が 4つとか。
 スクラップ とは、製造工程のなかで起こる減耗・減損をいう。たとえば、6個払い出しても、2個が減損するとか。
 オフセット とは、納期を起点にして、リードタイム を バックワード・スケジュール (逆算) することをいう。

 
4. 設計部品表と製造部品表

 部品表には、設計部品表製造部品表がある。

 (1) 設計部品表
   (1)-1 担当部門 (設計部門)
   (1)-2 目的 (機能設計--必要な機能を、いかに満たすか)
   (1)-3 中身 (品目番号、品目名称などの情報)
   (1)-4 関連 (品目情報、製品構成情報)

 (2) 製造部品表
   (2)-1 担当部門 (製造部門)
   (2)-2 目的 (生産設計--いかに効率的に作るか)
   (2)-3 中身 (加工法、手順、補助材料などの情報)
   (2)-4 関連 (工程情報、購買情報)

 
5. 部品表の用途

 1つの部品構成は、いくつかの ユニット として、組み替えることが多い。
 たとえば、MPS を作成しやすいようするとか。
 ユニット 化された部品表には、以下のような種類がある。

  (1) モジューラ・ビル (Modular Bill) [ 途中組立品向け (自動車の エンジン など)]
  (2) プラニング・ビル (Planning Bill) [ 計画項目数の削減向け (キット など)]
  (3) ファントム・ビル (Phantom Bill) [ 一時的 (仮の) 部品組立品向け--開始日、終了日が示される。]

 
6. 部品表の見直し

 設計部品表が、そのまま、(マスター・スケジュール を作成するために) 役立つことは少ない。
 マスター・スケジュール を作成するためには、部品構成表を作り直さなければならないことが多い。
 マスター・スケジュール を作成するためには、以下のような項目を考慮して部品表を見直すことがある。

 (1) 一時的な品目 (「自己消費型の (self-consumed)」 サブ 組立品) の扱い
 (2) 設計 エンジニア が部品番号を附与しない品目の扱い
 (3) モジュール 構成になっている製品の扱い
 (4) 仮の部品番号の扱い

 
7. 一時的な品目 (「自己消費型の (self-consumed)」 サブ 組立品) の扱い

 「自己消費型の」 サブ 組立品は、「ライン 上で作られる(made on line)」 サブ 組立品ともいう。

 (1) MRP の対象として、部品番号を附与しなければならない。
 (2) ただし、計画 オーダー を出さない。上位品目の量が、そのまま、下位品目の量になる。
 (3) リードタイム を ゼロ とする。
 (4) ロット・サイズ 化はしない。(これを 「ロット・フォー・ロット (lot for lot)」 という。)

 
8. 設計 エンジニア が部品番号を附与しない品目の扱い

 設計 エンジニア が部品番号を付与しない品目として、たとえば、ダイキャスト 後の品物に彩色を施すことがある。

 (1) ダイキャスト 品に対しては部品番号が付与されている。
 (2) 彩色を施した品目に対しては部品番号が付与されていない。

 MRP の対象とするためには、色ごとの品目に対して部品番号を付与しなければならない。

 
9. モジュール 構成になっている製品の扱い

 モジュール 構成になっている製品では、最終製品は モジュール を結合して作られる(たとえば、自動車)。したがって、部品構成表は最終組立品に対して用意しない。ユニット あるいは モジュール を単位として──たとえば、エンジン とか トランスミッション とか──作っておけばよい。

 
10. 仮の部品番号の扱い

 マスター・スケジュール を効率的に作成するために、(設計や製造とは関係のない) 「仮の部品番号
(non-engineering number)」 を使うことがある。たとえば、サブ 組立品を結合するために使う ブラケット・
ナット・ボルト など。

 (1) 「仮の部品番号」 (キット 番号など) を使って (ひとまとめに扱い) 部品の種類を減少する。
 (2) キット 番号は、現実の個々の部品とは対応しない。
 (3) これを応用して、部品類をひとまとめにして、仮想番号を附与することもある。
    そうすれば、(親品目の) 製造計画が変更になっても、(個々の) 部品計画を変更しないでもよい。





[ 補遺 ] (2009年 5月16日)

 MRP (Manufacturing Resource Planning) は、以下の体系で構成されています。

 (1) 生産計画
 (2) 基準生産計画 (製造計画、マスター・スケジュール)
 (3) 資材所要量計画 (資材の計画、Material Requirements Planning)
 (4) 能力所要量計画 (生産力の計画、Capacity Requirements Planning)
 (5) 工程管理 (Shop Floor Control)
 (6) 需要予測
 (7) 購買管理
 (8) 在庫管理
 (9) 製造原価 (Product Cost)
 (10)原価会計 (Cost Accounting)

 そして、これらの モジュール ごとに コンピュータ・システム (サブシステム) を作るのが ふつうです。ただ、これらの モジュール のなかで共通して使われる基礎 データ を一箇所にあつめて その精度 (正確性) を配慮するために 「製造基礎情報」 を単独の モジュール として用意することが多い。「製造基礎情報」 は、本 エッセー のなかに記しましたが、以下の データ です。

 (1) 部品 (item、parts)
 (2) 部品表 (bills of material)
 (3) 設計変更 (engineering changes)
 (4) 作業区 (work center)
 (5) 標準工順 (routings)

 それらの データ のなかで、本 エッセー では、「部品」 について説明しました。
 「部品」 データ において争点になるのは、以下の 2点です。

 (1) 部品番号の桁数
 (2) 区分 コード

 部品番号の桁数が争点になるのは、部品番号に対して 「意味」 を付与して、桁数が長くなっている状態が多い点です。たとえば、部品番号が 34桁で、その内訳が以下のように構成されているとします。

 { 製品・半製品区分 コード (2桁)、連続番号らしき番号 (10桁)、追番 (4桁)、倉庫 コード (3桁)、・・・ }.

 「連続番号らしき番号」 とされている番号では、7桁目に或る flag が付値されていれば、その部品は 「社内消費向け」 の部品であることを示している、というような意味を与えられています。部品番号という 一見 単独の個体指定子が、実は、アルゴリズム を指示するような複合構成になっていて、個体指定子 (entity-setter) になっていない状態です。この複合構成は、1970年代に、いまだ RDB が存在しなかった頃には──言い換えれば、VSAM ファイルのような ファイル 編成を使っていた時代には──有効だったと思われますが、現代の事業環境では かえって足をひっぱることになるでしょう。こういう 「個体指定子の複合構成」 の問題点については、本 ホームページ 「データ 解析に関する FAQ」 を参照してください。

 「区分 コード」 の争点は、ひとつの entity (部品) のなかに複数の 「区分 コード」 が使われているときに、それらの 「区分 コード」 の値のあいだには AND 関係 (まじわり) が生じないように構成しなければならないという点です。たとえば、本 エッセー のなかで例示した 「部品の基礎情報」 には、「状態 (試作品、量産品、疑似品目、代替品目、陳腐化、削除済など)」 「種類 (組立部品、加工部品、機械加工、原材料、購買部品、外注部品など)」 が管理されていますが、それらの 状態・種類のなかで、AND 関係が生じてはいけない、ということ──具体的には、「状態」 において、量産品かつ代替品というような AND 関係や、「種類」 において、組立部品かつ購買部品というような AND 関係が生じてはならない、ということ。この点 (区分 コード の AND 関係) についても、本 ホームページ 「データ 解析に関する FAQ」 を参照してください。

 さらに、「状態」 と 「種類」 では、クラス の階 (包摂関係) が争点になります。すなわち、「状態」 と 「種類」 の ふたつのあいだには、以下の階構成を作ることができます。

 (1) 状態 (上位) → 種類 (下位)
 (2) 種類 (上位) → 状態 (下位)

 たとえば、「状態」 が 「試作品」 で、「試作品」 のなかで 「種類」 として 「組立部品」 を考えることもできれば、逆に、「種類」 が 「組立部品」 で、「組立部品」 のなかで 「状態」 として 「試作品」 を考えることもできます。しかし、集合の構成は、「メンバー と、その集合」 を ひとつの単位として考えるので、集合のあいだに階構成 (包摂関係) が生じる場合に、メンバー と集合を入れ替えて 「意味」 が通じるというのは変です──言い換えれば、メンバー が その集合を包摂するというのは変です。したがって、階構成のなかで、上下の階を入れ替えて 「意味」 が通じるなら、どちらかの 区分 コード が [ 場合によっては、ふたつとも ] その entity にあってはいけない、ということになります。この点 (複数の 「区分 コード」 における階構成) についても、本 ホームページ 「データ 解析に関する FAQ」 を参照してください。





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