2005年 6月16日 作成 資材所要量展開 (その 1) >> 目次 (作成日順)
2009年 9月16日 補遺  

 

 
1. 所要量展開

 以下の情報を使って、(従属需要部品の) 生産量・購入量および時期をきめる。

 (1) MPS
 (2) BOM
 (3) 手持ち在庫 (安全在庫、引当在庫をふくむ)
 (4) 受入確定量
 (5) リード・タイム
 (6) ロット・サイズ

 
2. BOM

    製品 アイテム(A)    [ リード・タイム 1週 ]
        ┣ 半製品(B)   [ リード・タイム 1週 ]
       ┃  ┣原材料(D)[ リード・タイム 1週、員数 1 ]
       ┃  ┗原材料(E)[ リード・タイム 1週、員数 2 ]
        ┗ 半製品(C)   [ リード・タイム 1週 ]
          ┣原材料(F)[ リード・タイム 2週、員数 1 ]
          ┗原材料(G)[ リード・タイム 1週、員数 1 ]

 
 [ 参考 ] ペギング (pegging) とは、或る部品の所要量が、どの高次の レベル の品目から派生しているか、を知ること。

 
3. 総所要量計算

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  製品 アイテム(A)を、50個、作る、とする。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (1)B = 1 ×(Aの所要量)= 1 × 50 = 50
 (2)C = 1 ×(Aの所要量)= 1 × 50 = 50
 (3)D = 1 ×(Bの所要量)= 1 × 50 = 50
 (4)E = 2 ×(Bの所要量)= 2 × 50 = 100
 (5)F = 1 ×(Cの所要量)= 1 × 50 = 50
 (6)G = 1 ×(Cの所要量)= 1 × 50 = 50
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 
4. リード・タイム・オフセット (バックワード・スケジュール)

             D
            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
                 |  B
                 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
          E       |      |
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       |
                        |  A
                        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             F          |
            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|      |
                 |  C   |
                 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             G   |
            ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

   △ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄△ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄△(完成日)
    t−4     t−3     t−2     t−1      t

 前述した部品構成を 「横倒し」 にして、完成日から、リードタイム を逆算している。

 
5. 在庫状態

  利用可能量 = 手持在庫量 − 安全在庫量 − 引当在庫量 + 受入確定量
 (利用可能量のことを、有効在庫とか、契約可能在庫ともいう。)

 
6. ロット・サイズ

 いくつかの技法がある。
 基本的には、以下の考えかたのいずれかを使う。

 (1) 正味所要量と同じ数量にする。
 (2) 数量を固定する。
 (3) 期間を固定する。
 (4) 費用を最小化する。(在庫費用と段取り費用を配慮する [ この量を EOQ という ])

 
 [ 参考 ] EOQ (Economic Order Quantity)

 (1) 「在庫費用 + 段取り費用」 の合計が最小になる単位。
 (2) 現象的には、在庫費用と発注費用が、ほぼ、同じになる単位。
    - ロット が大きくなれば、発注費用は減るが、在庫が増える。
    - ロット が小さくなれば、在庫は減るが、発注費用が増える。

 
 [ 注意 ] EOQ の欠点として、以下が指摘されている。

 (1) 在庫費用と発注費用は、線形的関係 (比例関係) ではない。
 (2) 個々の ロット の費用と、集成費用は、線形的関係 (比例関係) ではない。

 
 [ 参考 ] ロット・フォー・ロット

 「計画 オーダー を出さない自己消費型の」 サブ 組立品は、ロット・サイズ 化しない。
 これを、「ロット・フォー・ロット(lot for lot)」 という。





[ 補遺 ] (2009年 9月16日)

 本 エッセー では、狭義の MRP (Material Requirements Planning、資材所要量計画) の技術を概説してみました。MRP 独特の用語として、「ペギング」 「ロット・フォー・ロット」 を覚えておいてください。

 MRP では、「独立需要 (製品 アイテム)」 の数量がわかれば、「従属需要 (アイテム、資材)」 の量は、BOM (Bill of Material、部品構成表) を使って自動的に計算できます。その従属需要量が 「所要量 (必要量)」 です。その 「所要量」 を まかなう在庫が どのくらいあるかを調べて、在庫で まかないきれない量の製造を計画します──在庫には、本 エッセー で述べたように、安全在庫、引当量および (すでに、発注していて受け入れが確実な) 受入確定量を考慮し、製造では製造単位 (ロット・サイズ) を考慮します。

 EOQ は、MRP の学習参考書では、かならずと言っていいくらい記述されているのですが、実際の製造現場では、あまり使われていないようです。

 MRP では、本文で概説したように、以下の 2点が中核になっています。

 (1) BOM
 (2) 在庫

 つまり、BOM の精度と 「在庫」 の正確な数値が MRP を左右するということ。昔は──1970年代では──、BOM・在庫量の精度を 90%以上の高品質で実現している ユーザ を 「クラス A」 ユーザ という言いかたをしていたのですが、最近では、そういう 言いかたは ほとんど使われていないようです。でも、いつの時代でも、コンピュータ・システム では、「garbage-in, garbage-out」──ゴミ (いい加減な数値) を入れたら、いい加減な数値しか出ない──という箴言は生きているでしょうね。





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