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There is nothing in this world constant but inconsistency. (Jonathan Swift)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション constancy のなかで、以下の文が私を惹きました。

    Consistency is contrary to nature, contrary to
    life. The only completely consistent people
    are the dead.

    Aldous Huxley (1984-1964) Irish-born British novelist.
    Do What you Will    

 
 上の引用文を読んで、私は小林秀雄氏の次の文を思い起こしました
 (「物質への情熱」)。

    この男の頑固な良心的一概念、なるほど、この男のように必死
    に守れば概念も悲劇性を帯びるであろうが、概念はあくまでも
    概念だ。この一概念のために人間性を捨てて乾涸 (ひから) びる
    とは悲しい事だ。

 学べば学ぶほど乾涸らびた性質になってしまうというのは情けない事だと思う。そして、学べば学ぶほど本人いっぱし物事を見透かす眼力を養ったように思い込んで、事態を颯爽と簡潔にまとめて批評してみせてくれるけれど、現実的事態は一つの見かたで見透せるほど単純じゃないことくらい われわれは実生活の中で実感しているではないか。一貫性が 「真」 である状態は、「論理」 に依る形式的構成の中でのみ、そして その時のみでしょう。批評を聴く (あるいは、読む) 人たちは、批評家が的を撃ち抜く実弾を所持しているかどうかを感づいている。「ことば は言う人に依る」 とは、そういうことではないか。私が数学を批評しても誰もその批評を相手にしないでしょう (笑)──勿論、私は数学を批評するほどの稚気など更々持っていない。数学を学習した途上で感じた僻 (ひが) みなら わんさと自白できるけれど。

 一貫性とは、「論理」 に依る形式的構造の中でのみ、そして その時のみ実現できると云っても、そう簡単な事じゃない──私は、TM (事業分析の モデル 技術) を一貫した体系として調 (ととの) えるために五年くらいを費やしました。私の頭が御粗末だったので、それほどの年月を費やしたのかもしれないけれど、一年や二年で仕果 (しおお) せるような仕事じゃない。「ロジック では一貫性が大事だ」、ああ わかったよ、しかし、ザッと言わないくれ、「私は、手袋をはめた手で、仕事をいじられたかない」

 
 (2012年 2月 8日)

 

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