< anti-computer-20190215
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He that jokes cofesses. (Italian Proverb)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション Humour の中で、次の文が私を惹きました。

    A joke's a very serious thing.

    Charles Churchill (1731-64) British poet.
    The Ghost, Bk. W

 
    Total absence of humour renders life impossible.

    Colette (1873-1954) French novelist.
    Chance Acquaintances

 
    A comedian can only last till he either takes
    himself serious or his audience takes him
    serious.

    Will Rogers (1879-1935) US actor and humorist.
    Newspaper article, 1931

 
    It's hard to be funny when you have to be clean.

    Mae West (1892-1980) US actress.
    The Wit and Wisdom of Mae West (ed. J. Weintraub)

 
 「ユーモア のない 1日は寂しい」 と、島崎藤村が言ったとか。ユーモア とは何かについては、以前、「読書案内」 で綴ったので割愛しますが、ユーモア とは人生に真面目に向きあった大人 (おとな) が味わうことのできる 「濃縮された極上の諧謔 (洒落)」 でしょうね。

 私は ユーモア 集を読むのが大好きです──WWW 上で集めた英語の ユーモア を Facebook に 1日 1つずつ アップロード しています (それを読んだと思しき外国の人たちから友達申請がありました)。本 ホームページ の 「読書案内」 をご覧いただいてわかるとおり、(WWW 以外に) 私は ユーモア 集の書籍も多数集めて読んでいます。島崎藤村の言うように、「ユーモア のない 1日は寂しい」。

 真面目な人を立派だとは思うのですが、その人が ユーモア をわからないような石部金吉であれば私は つきあいたくはない。そして、下手な書籍・論文を読むよりも、気の利いた ユーモア を一つ読んだほうが、よっぽど思考を促される──下手な書籍・論文とは、他人が既に言ったことを単に焼き直して、先人の説に比べたら (後発なので) 論法は いっそう正確なのだけれど、窓のない部屋のように見通しが効かない [ 外部を展望できない ]。見通しの効かない部屋に閉じこめられた (locked up、shut up) ようで息苦しい。そういう状態では、書籍・論文を読んでも私には新たな着想は産れはしない。
 芥川龍之介氏は次の言葉を遺しています (「侏儒の言葉」)──

   庸才

  庸才の作品は大作にもせよ、必ず窓のない部屋に似ている。人生の
  展望は少しも利かない。

   機智

  機智とは三段論法を欠いた思想であり、彼等の所謂 「思想」 とは
  思想を欠いた三段論法である。

 そして、三段論法について、ユーモア 集に記載されていた次の ジョーク を読んだとき、私は大笑いしました [ その機智の鋭さに驚嘆しました、Logic で云うところの 「多義の虚偽 (fallacy of dictione) です ]──

  I am a nobody, nobody is perfect, therefore I am perfect.

 もう一つ多義の例──

  What do lawyers do after they die?
  They lie still.

 Lie still が多義になっている (笑)。
 これらの ジョーク を瞬時に わかるには、そうとうな社会学習を前提にして、かつ機転 [ 感性、知性 ] が要るでしょう。ユーモア を不謹慎である [ ふざけている ] と思うなかれ。

   ユーモア 集に収められていた次の文で この エッセー を締めくくります──

  A day without smailing is a day wasted.

 
(追記)
 本文のなかで綴った文 「他人が既に言ったことを単に焼き直して、先人の説に比べたら (後発なので) 論法は いっそう正確なのだけれど、窓のない部屋のように見通しが効かない」 ということに関連して、「無名草子」(鎌倉時代) のなかに私の所感と同じような批評を述べた文を見つけました──

  それよりのちの物語は、思へばいとやすかりぬべきものなり。かれ
  を才覚にて作らむに、「源氏」 にまさりたらむことを作りいだす人
  ありなむ。( [ 訳 ] 「源氏物語」 より後の物語は、「源氏物語」 を
  手本すれば簡単に作れるだろうが、「源氏物語」 以前にこれほど
  すばらしい作品はなかったのだからすごいと言っている。)

 「無名草子」 は 1200年頃に書かれた (物語・歌などの) 評論集です。約 820年も前に 私の所感と似たようなことが すでに綴られているを見つけて、「いと をかし」。

 
 (2019年 2月15日)

 

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