民俗学 (児童史) >> 目次 (テーマ ごと)



 「児童史」 を扱った概説書を紹介します。

 これらの書物を民俗学のなかで扱うのが適切なのかどうかはわからないのですが--「教育」 という独立した カテゴリー を作ったほうがいいのかもしれないのですが--、昭和 30年代の自らの 「幼児・児童」 体験を起点にして境域を拡げていったので、とりあえず、民俗学のなかで扱っておきます。

 



[ 読みかた ] (2007年12月 1日)

 児童福祉法によれば、「幼児」 とは、1歳から小学校に就学するまでの子どもを云い、「児童」 とは、満 18歳未満を云いますが、学校教育法では、満 6歳から満 12歳までを 「学齢児童」 と云っています。民俗学的に観れば、「お七夜」 「宮参り」 「七五三」 など、「誕生から 7歳まで」 の成長過程 (幼児) を祝う風習が大切にされてきて、そういう風習は、いまでも--そして、村社会にかぎらず、都会でも--継続されていますね。私も、愚息たち (三人) が誕生して小学校に就学するまで、それらの習わしに従いました。子どもが無事に育つことを願う親の気持ちは、いつの時代でも、同じなのかもしれない。

 児童の成長に関して、わが愚息たちを観ていて感じた点は、小学校 4年生・5年生の頃に体格も思考も際立って発達するようです。小学校 3年生までは、幼稚園の 「年長さん (5歳)」 が、ただ、大きくなったような感じで、興味の対象も即物的でしたが、小学校 4年生・5年生になると、興味の対象が拡がって、「身のまわり」 の事象・事物ばかりではなくて、「推測」 的な思考ができるようです。たとえば、長男が小学 3年生のときに、次男は小学 1年生で、三男は幼稚園の 「年少さん」 でしたが、三人の関係は 「(似たものどうしとしての) 親しさ」 でむすばれていたのですが、長男が小学 5年生になったとき--次男が小学 3年生で、三男が幼稚園の 「年長さん」 ですが--、長男は、三男を 「年下」 とみなして 「(三男のことを) かわいい」 と感じるようになっていました。いま、長男は高校 2年生で、次男が中学 3年生で、三男が小学 6年ですが、かれらのあいだには、年齢に呼応する 「成熟度」 の隔たりが--長男が小学 3年生の頃に観られた三人の隔たりに比べて--歴然として観られます。私は、かれら (かれらの成長) を観ながら、みずからの幼児・児童の頃を 「思い出して」 います。

 私が育った村では、児童の数が少なかったからかもしれないのですが、近所の子どもたちは、学年を超えて いっしょに遊んでいました--私が子どもの頃の遊びは、釘さし、ビー玉、いっちょ (「めんこ」 のこと)、ちゃんばらごっこ、缶蹴り、野球などでした。野球と言っても、今の時代のように用具がそろっている訳ではないし、半農半漁の寒村でしたから、鍬が壊れて刃が外れた柄を バット にしていました。そして、小学 5年生・小学 6年生が、下級生たちの 「ボス」 になって、集団を統率していました。私も、小学 5年生の頃、近所の小学 3年生たちと遊んでいて、「ボス」 を演じていました。私が いま住んでいる地区では、小学生たちが 「集団登校」 していて、6年生が 「班長」 になって、集団を先導しているのですが、下校してから、上級生が下級生といっしょになって遊ぶという光景は、ほとんど、眼にしないですね。

 学校の運動会は、「『村』 対抗の」 運動会でした--5つの村が 1つの小学校の学区になっていました。体操着・運動靴など購入できなかった時代だったので、生徒たちは、白い下着を運動服にして、素足のままでした。体育の水泳では、日本一大きな プール を使っていました--日本海です (笑)。学校には、プール はなくて、水泳は、近くの海 (直線距離で 1 キロメートル くらいだったかしら) に集団で出向きました--昼食は、海辺の松林で食べたのですが、梅干しの入った おにぎり や黄粉 (きなこ) をまぶした おにぎり と ソーセージ を丸かじりしたことを、いまでも、まざまざと思い出します。ちなみに、篠田監督の映画 「少年時代」 のなかで 「木造の」 小学校が舞台になっていますが--映画のなかで、「木造の」 小学校を 5校ほど使ったそうですが--、私が通った小学校 (横山小学校) も撮影舞台になっていました。私が通った小学校は、いまはもう、(過疎のために、) 廃校になってしまいました--校舎は取り壊され、正門だけが残っていました。

 「読書案内」 の 「アウシュヴィッツ」 のなかで、シオラン 氏 (哲学者) の以下の ことば を引用しました。

   かっては自分もひとりの子どもであったことを想い出す。それがすべてだ。

 われわれにとって、こども時代というのは、ひとつの 「神話」 なのかもしれない。
 そして、私は、子どもたちの事件・事故に対して、人一倍、注目してきました。





 ▼ [ 歴史、年表 ]

 ● 日本子育て物語 育児の社会史、上 笙一郎、筑摩書房

 ● 日本若者史、中山太郎、春陽堂版

 ● 新制準拠 統合近世教育史、小西重直・高橋俊乘 共編、永澤金港堂

 ● 目で見る教育 100年のあゆみ、文部省、東京美術

 ● 文学でつづる教育史、伊ヶ崎暁生 著、民衆社

 ● 日本童謡童画史、船木枳郎、文教堂出版

 ● 絵本観・玩具観の変遷、永田桂子 著、高文堂出版

 ● 近代日本児童生活史序説、野本三吉 著、社会評論社

 ● 学童集団疎開史 (子どもたちの戦闘配置)、逸見勝亮 著、大月書店

 ● 近代子ども史年表 明治・大正 編 (1868-1926)、下川耿史 編、河出書房新社

 ● 近代子ども史年表 昭和・平成 編 (1926-2000)、下川耿史 編、河出書房新社

 




 ▼ [ 史料、資料 ]

 ● 平和・人権・環境 教育国際資料集、堀尾輝久・河内徳子 編、青木書店

 ● 子育ての書 (1・2・3)、山住正己・中江和恵 編注、平凡社東洋文庫

 ● 近世子どもの絵本集 (江戸編・上方編)、岩波書店

 ● 浮世絵のなかの子どもたち、江戸子ども文化研究会、くもん出版

 ● 図説 近代百年の教育、唐澤富太郎 著、国土社

 ● 図説 明治百年の児童史、唐澤富太郎、講談社版

 ● 史料 日本の教育、神田 修・山住正己 編、学陽書房

 ● 文部省調査に基づける女子日常作法 (改修版)、中等教育学会 編、西東社出版部

 ● 青年之新修養、陸軍中将 田中義一校閲、青年社

 ● 國體の本義、文部省

 ● 大正・昭和 少年少女 雑誌名場面集、学研

 ● なつかしの小学一年生、熊谷元一、河出書房新社

 ● ビジュアル 昭和の子供たち、秋山正美 編、教育出版 センター

 ● 子どもの昭和史 (昭和 10年 - 昭和 20年)、平凡社 別冊太陽

 ● 子どもの昭和史 (昭和 20年 - 昭和 35年)、平凡社 別冊太陽

 ● 子どもの昭和史 (昭和 35年 - 昭和 48年)、平凡社 別冊太陽

 ● 子どもの昭和史 おまけとふろく大図鑑、平凡社 別冊太陽

 ● 20世紀 キッズ 子供たちの現場、シリーズ 20世紀の記憶、毎日新聞社

 ● 少年少女 ふろく コレクション、弥生美術館、藝神出版社

 ● 日本の中学生 国際比較でみる、千石 保・鐘ヶ江晴彦・佐藤郡衛、NHK ブックス

 ● いじめ問題 ハンドブック (分析・資料・年表)、高徳 忍 著、つげ書房新社

 ● 青少年非行・犯罪史 資料 (1・2・3)、赤塚行雄 編、刊々堂出版社

 




 ▼ [ 解説書 ]

 ● 明治国家の教育思想、本山幸彦 著、思文閣出版

 ● 明治文化史 3 教育道徳編、開国百年記念文化事業会 編、洋々社

 ● 近代の児童労働と夜間小学校、石井昭示、明石書店

 




 ▼ [ 辞典、事典 ]

 ● 日本史小百科 学校 (改訂新版)、海原 徹 著、東京堂出版

 ● 現代教育用語辞典、天城 勲・奥田真丈・吉本二郎 編、第一法規

 ● 教育思想事典、教育思想史学会 編、勁草書房

 ● 図説 日本民俗学全集 子ども歳時記編、藤沢衛彦 著、あかね書房

 


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