2001年 7月29日 作成 3階層の まとめかた >> 目次 (テーマごと)
2006年10月 1日 補遺  



 TH さん、あなたは ノート の取りかたに関して戸惑っていますね。
 「語彙編」 や 「文法編」 の ノート を作成するときには、「例文」 単位に データ を集めれば良かったので、「概念」 の構成 (構造) ということが論点にはならないから、ノート を順調に作成することができたのですが、「表現編」 や 「鑑賞編」 の ノート (あるいは、一覧表) は、「概念」 の構成が大きな論点となるから、ノート をまとめることがむずかしいのでしょう。
 「概念」の構成を扱うには、以下の 3つの段階を構成すればよいでしょう。

    大分類
    中分類
    小分類

 以上の 3段階の分類を べつの言いかたにすれば、以下のようになります。

    主要概念
    重要細目
    例文

 以上の 3つの分類を書物 (概念を記述した文章群) に適用すれば、以下のような構成になります。

    章
    節
    小見出し

 ここまで解説したら、もう、まとめかたの コツ がわかったでしょう(笑)。書物を執筆するためには、おおかた、1つの着想は 1つの段落として綴ることが (規範的な) 「文章の作成ルール」 になっているので、段落を 「一文」 にまとめることができる。しかも、主張となる文は、段落の最初か最後に記述されています。もし、最初か最後に、そういう主張文がなければ、段落のなかで、繰り返し使われている言葉が 「キーワード」 になりますから、その 「キーワード」 を使って、段落をまとめればいいでしょう。その 「一文」 が 「小見出し」 となります。したがって、まず、「節」 ごとに、そういう 「小見出し」 (一文) を作成してください。

  次に、「小見出し」 の一覧表が完成したら、「節」 の題名としてつけられている概念と、それらの一文を、ひとつひとつ、照らしてみればよいでしょう。そうすれば、「節」 の概念のなかに含まれない一文がいくつかあることがわかりますから、それらを外せば 、「節」 の概念を純粋に把握することができるでしょう。ただし、「節」 の概念から外れた一文は、往々にして、執筆した人が 「 故意に」 埋め込んだ 「秘密の」 主張であることがあるので、安直に捨てないようにして下さい。
 同じような操作を、「節」 と 「章」 についてもやればいい。そうすれば、整った ノート を作成できるでしょう。

 ただ、こういうふうな丁寧な ノート というのは、そうそう、多く作ることができない。だから、こういう ノート は、自らの思考の手本とする人物の著作に関して作成すればよいのであって、ノート は数少なくてもよい、と思う。
 ちなみに、僕は、自らの専門領域に関して、ノート を書物として出版してきたので、6冊ほどの丁寧な ノート を作成していることになるし、それ以外にも、「古文 (日本古典文学)」 と 「英語 (例文集)」 と 「歴史 (日本史)」 と 「宗教 (禅)」 の ノート を作成しています (「歴史」 の ノート は、歴史をどのように研究すればいいのか、という点について、僕の観点が曖昧になってきたので、休止していますし、「宗教 (正法眼蔵)」 の ノート は、--今まで読んできた書物のなかに下線を引いてあるので--これから作成します)。だから、それほど、ノート の数は多くない。

 さあ、TH さん、がんばって、後々にも役立つ ノート を作成して下さい。
 次回は、自らの思考の手本とする人物を探すには、どうすればいいか、という点について、お話しましょう。□

 



[ 補遺 ] (2006年10月 1日)

 3階層の まとめ が、どうして効果的なのか を私は上手に説明することができないのですが、以下の理由なのかもしれないと想像しています。

 (1) [ 個体と集合 ] 下位の 2階層までは、実 データ と (それらを まとめた) 集合概念
 (2) [ 集合の集合 ] 最上位の 3階層目は、2階層の集合に対する構造

 「事実に即して具体的に考える」 には、3階層までが階数として妥当なのかもしれないですね。それ以上の階数を導入すれば、「構造」 が そうとうに 「抽象的」 になるので、よほど、ロジカル に考えないと、「妥当な構造」 を作るのは--妥当性を実現するのは--、むずかしいのかもしれないですね。3階層までなら、「真な値」 を検証しやすいので--真理性を検証しやすいので--、まとめやすいのかもしれない。
 モデル (modeling) では、「構造の妥当性」 と 「値の真理性」 は、つねに実現されていなければならないから。

 さて、3階層の まとめ は、専門書・学術書を読むときには有効なのですが、一般向けの入門書を読むときには的外れになるでしょう。というのは、一般向けの入門書は、(専門的な正確性を犠牲にして、) 読みやすいように まとめてあるから。私は、或る領域を初めて学習する際、一般向けの入門書を読みますが、(ノート を作成しないで、) 入門書を 5冊ほど連続して読みます。1つの テーマ に関して、入門書を 5冊も読めば、その テーマ の 「おおまかな」 全体像を把握できます。そして、「おおまかな」 全体像を掴んでから、次に、専門書を読む段階になって、ノート を作成すればよいでしょう。




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  佐藤正美の問わず語り