2002年 5月15日 作成 日本史 (「100年物」) >> 目次 (作成日順)
2006年11月 1日 更新  


 今回は、「100年物」 を紹介する。

 小生は歴史の研究家ではないので、膨大な史料のなかから、良質の資料を選んで、しかじかの思想 (歴史認識あるいは歴史観) に照らしながら、1つの体系を組み立てることができない (そういう余裕がない)。
 前々回の 「読書案内」 (昭和史) の前置きのなかで述べたように、小生が歴史に興味を抱いた理由は、小生が生まれ育った時代の 「雰囲気」 を知りたかったからである。

 以下に記載されている新聞記事を主体にした書物は、あくまで、新聞の報道なのであるから、それらの書物は、時代の雰囲気を感じ取るには手頃な材料ではあるが、なんらかの興味ある テーマ を探すための起点であって、それらの書物を読むこと自体が読書の目的ではない点に注意していただきたい。



[ 読みかた ] (2006年11月 1日)

 「100年物」 は、いわゆる 「明治百年」 と云われるように、明治時代・大正時代・昭和時代の 3つを合計した期間に対応します。正確に言えば、それらの時代を合計すれば、120年くらいになるのですが、「明治百年」 は、昭和時代の 60% くらいまでに及びます。「明治百年」 目は、私が 17歳くらい (高校生) の頃です。

 「100年物」 を読んでいて、世相として感じる点は、日本の世相は、明治維新と第二次世界大戦の 2つを境にして、変貌したのかな、という点です。したがって、年号 (明治時代、大正時代、昭和時代) を度外視して時代を振り返れば、第二次世界大戦の前後で時代を区切るのが妥当かなと思っています。そして、昭和 20年 (1945年) を起点にして 「100年物」 を考るなら、時代区分は、世相の観点から判断すれば、1995年 (1990年代なかば) でしょうね--The Internet が普及してきて、the web が 1つの コミュニケーション 手段になった頃が転換点でしょう。

 「100年物」 に関して、新聞社の出版物なかでは、朝日新聞社の書物が入手しやすい。ただ、私は、1社 (1紙) の提示する情報のみを頼りにしたくないし、世相の観点から言えば、われわれ 「庶民」 が選んだ 「(年間の) 10大 ニュース」 を重視したい。政治・経済を中核にして まとめた 「100年物」 と、世相を中核にして まとめた 「100年物」 と対比してみれば、「歴史認識」 では、ズレ が出るようです。たとえば、昭和 64年は、1月 7日、天皇が崩御され、すぐさま、平成元年になりましたが、平成元年の 「10大 ニュース」 は、(「10大 ニュースに見る戦後 50年」、読売新聞社世論調査部編 によれば、) 以下となっています。

  ( 1) 昭和天皇崩御、平成元年 スタート (99.0%)
  ( 2) 消費税 スタート (92.0%)
  ( 3) 幼女誘拐殺人容疑者を逮捕 (84.3%)
  ( 4) 美空ひばり さん死去 (83.4%)
  ( 5) 参院選で与野党逆転、宇野内閣退陣 (72.6%)
  ( 6) リクルート 事件で江副 リ 社前会長逮捕 (70.4%)
  ( 7) 礼宮さまが ご婚約 (55.9%)
  ( 8) 竹ヤブ から 2億円 (54.3%)
  ( 9) 巨人、8年ぶり日本一 (46.8%)
  (10) 海部新政権が発足 (42.8%)

 ( ) のなかの数値は、アンケート (読者投票) 全体に占める割合です。平成元年の 「10大 ニュース」 では、「美空ひばり さん死去」 (83.4%) が、「参院選で与野党逆転」 (72.6%) や 「海部新政権発足」 (42.8%) よりも、庶民に対して衝撃を与えたということでしょう。

 美空ひばり さんは、戦後 (第二次大戦後) の歌謡界で、「女王」 として君臨して 「昭和の歌姫」 と云われていました。彼女は (--弟が起こした事件をめぐって-- NHK と喧嘩して、紅白歌合戦に出なかった時期がありますが、) しばらくして、紅白歌合戦に 「特別出演」 として出場したとき、舞台に姿を現したら、「会場の空気」 がいっぺんに変わったことが テレビ の ブラウン 管を通しても感じられました。それを観て、私は背筋がふるえた。すさまじいほどの存在感でした。私は、まいとし、紅白歌合戦を見ないのですが、彼女が 「特別出演」 したときには、ぜひ、観たいと思った。観たいと思った理由は、彼女が 「女王」 と云われていることに対して、「譜面を読めない歌手が 『女王』 だなんて」 と 私は反感を覚えていて--ちなみに、「ブルース の女王」 と云われていた 淡谷のりこ さんも美空ひばり さんを嫌っていましたが (笑)--、「どれほどの歌手なのか」 を観たかった。世評どおりに、すごい歌手でした。彼女の持ち歌 「悲しい酒」 (1966年) を、私は風呂にはいったとき、たまに口ずさみます。名曲だと思います。

 年表も、近年の出版物は、「政治・経済・世界・社会・文化・芸術・世相」 というふうな複眼的な記述を導入しています。「100年物」 を読むときにも、この複眼的な見かたを忘れてはならないでしょうね。
 私は、以下の 7冊を、まず、読んで、「明治 100年」 の大略を把握しました。

  (1) 朝日新聞 社会面で見る世相 75年 (1879年〜1954年)、朝日新聞社
  (2) 朝日新聞 100年の重要紙面、朝日新聞社
  (3) 日本の 100年 新聞でみる明治・大正・昭和、読売新聞社
  (4) 日本の百年 写真でみる風俗文化史、毎日新聞社
  (5) 日本百年の歩み (明治・大正・昭和年史)、朝日年鑑 40号記念別冊、朝日新聞社
  (6) 日本百年の記録 (上・下)、木下宗一 著、人物往来社
  (7) 新聞記録集成 明治・大正・昭和 大事件史、石田文四郎 編、錦正社

 





 ▼ 新聞記事

 ● 元旦号でみる朝日新聞 80年 (1879年〜1958年)、朝日新聞社

 ● 朝日新聞でみる世相 50年、朝日新聞社

 ● 朝日新聞 重要紙面の 75年 (明治 12年〜昭和 29年)、朝日新聞社

 ● 朝日新聞 社会面で見る世相 75年 (1879年〜1954年)、朝日新聞社

 ● 重要紙面でみる 朝日新聞 90年 (1879-1969)、朝日新聞社

 ● 朝日新聞 100年の重要紙面、朝日新聞社

 ● 朝日新聞 100年の記事に見る シリーズ(1〜 10)、朝日新聞社

 ● 朝日新聞 紙面でみる 120年(明治・大正・昭和・平成)、朝日新聞社

 ● 号外百年史、小野秀雄 編、読売新聞社

 ● 日本の 100年 新聞でみる明治・大正・昭和、読売新聞社

 ● 読売新聞 号外に見る戦後 50年、読売新聞社

 ● 日本経済新聞 80年の重要紙面 (明治 9年〜昭和 31年)、日本経済新聞社

 ● The Japan Times FRONT PAGE 1897-1997、The Japan Times

 


 ▼ 写真集・図録

 ● 百年前の日本、セイラム・ピーボディー 博物館蔵、モース・コレクション 写真編、小西四郎・岡 秀行 構成、小学館

 ● 目で見る議会政治百年史、衆議院・参議院、大蔵省印刷局

 ● 議会開設百年記念議会政治展示会 日本の議会 100年、国立国会図書館

 ● 図録 日本外交大観、朝日新聞社

 ● 写真図説 明治百年の歴史 (明治編)、講談社

 ● 写真図説 明治百年の歴史 (大正・昭和 編)、講談社

 ● 日本の百年 写真でみる風俗文化史、毎日新聞社

 ● 写真でみる 100年前の日本 (1) 暮らし、マール 社

 ● 写真でみる 100年前の日本 (2) 風景、マール 社

 ● 幕末・明治・大正 回顧 80年史 (全 12冊)、東洋文化協会

 ● 図説 近代百年の教育、唐澤富太郎 著、国土社

 ● 図説 明治百年の児童史、唐澤富太郎 著、講談社

 


 ▼ 史料

 ● 史料 明治百年、朝日新聞社

 ● 日本百年の歩み (明治・大正・昭和年史)、朝日年鑑 40号記念別冊、朝日新聞社

 ● 史料構成 近代日本政治史、安部博純・岡本 宏・藤村道生・毛利敏彦、南窓社

 


 ▼ 概説書

 ● 日本政治百年史、金森徳次郎・山浦貫一 共編、時事新報社

 ● 新生日本外交百年史、東京日日新聞社

 ● 日本外交百年小史、外務省監修、山田書院

 ● 日本世相百年史、東京日日新聞社・サン写真新聞社

 ● 近代日本世相史、全日本新聞同盟

 ● 明治・大正・昭和 日本百年史総監、日本重要文献保存会

 ● 日本百年の記録 (上・下)、木下宗一 著、人物往来社

 ● 日本百年の記録 (1〜3)、小西四郎、講談社

 ● 明治・大正・昭和 犯罪史正談、小泉輝三朗 著、批評社

 ● 新聞記録集成 明治・大正・昭和 大事件史、石田文四郎 編、錦正社

 ● 明治・大正・昭和・平成 事件犯罪大事典、東京法経学院出版

 ● 日本政治裁判史録 [ 明治、大正、昭和 ] (全 5巻)、我妻 栄 編集代表、第一法規

 


 ▼ その他

 ● 復録版 明治大雑誌、流動出版

 ● 復録版 大正大雑誌、流動出版

 ● 復録版 昭和大雑誌 (戦前篇)、流動出版

 ● 復録版 昭和大雑誌 (戦中篇)、流動出版

 ● 復録版 昭和大雑誌 (戦後篇)、流動出版

 ● 時事川柳百年、読売新聞社

 ● 諷刺 マンガ でまなぶ日本近現代史、渡辺賢二 著、地歴社

 ● 漫画に描かれた明治・大正・昭和、清水 勲、教育社

 




  << もどる HOME すすむ >>
  読書案内