2002年 9月 1日 作成 サブノート の作成例 >> 目次 (作成日順)
2007年10月16日 補遺  


 
 TH さん、きょうは、サブノート を作成するやりかたを具体的に、お話しましょう。
 新井清光 著 「財務会計論」 を例にして解説しましょう。

[ 謝意 ]
 弊社の ホームページ を読んでいただいた K. Watanabe さんから メール をいただき、新井清光 著 「財務会計論」 の サブノート の作りかたを語ってほしいとのことでした。弊社の ホームページ を読んでいただき、ありがとうございました。ご期待に沿えるように記述してみますが、小生の記述のなかで曖昧な点があれば、再度、メール をいただければ、誠心誠意、ご返事致します。今後とも、ご意見をいただければ幸いです。

 この書籍を小生が初めて読んだのは初版 (昭和 50年) が出版されたときですから、すでに、20数年前のことです。
 そのとき、10回ほど読んで、丁寧な サブノート を作成しました (ただ、当時作成した サブノート は紛失してしまって、いま、小生のてもとにはない)。その後、小生は、会計学の勉強から離れていたのですが、平成 6年頃から制度会計の法規が改訂され--たとえば、平成 6年には自己株式に関する商法改正、平成 7年には外貨建取引に関する改訂、さらに、平成 9年には連結財務諸表原則の改訂など--、システム・エンジニア としての仕事 (システム 作り)上、新たな知識を習得しなければならなくなったので、平成 10年に第 4版を購入して、サブノート を作成し直した、という次第です。

 第 4版以後も、いわゆる 「会計 ビッグバン」 と呼ばれているような 「会計制度の大変革」 が続いたので、一冊の入門書がすべての領域をまとめるというのは、およそ、できないことであって、第 4版以後に導入された制度会計の改訂について、小生は べつの (複数の) 文献を使って サブノート を作成しています。

[ 注意 ]
 新井清光 著 「財務会計論」 は、「原理・原則」 の記述を主眼にしているので、「会計的な見かた」 を習得するための 「原論」 として最適な文献ですが、キャッシュフロー 会計・リース 会計・(デリバティブ) ヘッジ 会計・年金会計・税効果会計などの個別的会計が、ほとんど記述されていないので、ほかの・しかるべき文献を読むことをお薦めします。「読書案内」 を参照していただければ幸いです。

 いま、てもとにある サブノート を調べてみたら、会計・経営・マーケティング・生産管理のそれぞれの サブノート のページ数が合計で 1,000ページ 近い量でした。この量が多いのか少ないのか、という判断は小生にはできないのですが、少なくとも、「要約した」 状態でも、会計・経営・生産管理の 3つの領域を対象とすれば、それくらいの量にはなるでしょうね。

 ただし、1,000ページ 近い量の半数 (500ページ) は図表です。小生は、サブノート を作成するときの コツ として、「見開き 1ページ 形式」 を使っています。つまり、左 ページ に文章を記述して、右 ページ には図表を描くという形式です。図表は、左 ページ の文章を図表化することを原則としているのですが、左 ページ のなかに記述できなかった補足情報なども記述するようにしています。

 左 ページ の文章量は、(拙著の 1ページ 当たりの文字数と同じにして)1行当たり 40文字にして 1ページ 当たり 25行を原則にしています。そして、右 ページ の図表は、罫線が多くなるので、(1行当たり 40文字は左 ページ と同じなのですが) 行数は 50行としています。左 ページ の文章は、以下のように、3段階の形式にして綴ります (「問わず語り」 50ページ)。

   1. 主要概念
    (1)重要細目
      (1)-1 具体例

 サブノート を作成する コツ は、記述形式を 「単文」 形式にする、という点でしょうね。
 そして、3段階形式は、以下のような記述形式にしたほうが、おおむね、まとめやすいでしょう。

   1. 主要概念 [ 単語 ]

    (1) 重要細目-1 は、以下のように 2つに分類される [ 単文 ]
       (1)-1 具体例-1 [ 単語または単文 ]
       (1)-2 具体例-2 [ 単語または単文 ]

    (2) 重要細目-2 は、以下のように 3つから構成される [ 単文 ]
       (2)-1 具体例-1 [ 単語または単文 ]
       (2)-2 具体例-2 [ 単語または単文 ]
       (2)-3 具体例-3 [ 単語または単文 ]

 「財務会計論」 の文体は 「凝縮された」 文体なので、サブノート を作成するのがむずかしい文献だと思います。
 「財務会計論」 の特徴になっている 「会計の理論的構造」 の章を対象にして、小生が作成した サブノート の例を以下に記載しておきます。サブノート 作成の コツ を感知していただければ幸いです。

 なお、文章を綴ったら、かならず、(文章で綴られた中身を一覧表示できるようにした) 図表を作成してください。

 
[ サブノート の例 ]

1 企業会計の理論的構造

(1) 企業会計の理論的構造は、以下の 3階層から構成される。
   (1)-1 会計公準 (あるいは、基礎的概念)
   (1)-2 会計原則 (あるいは、会計基準)
   (1)-3 会計手続

(2) 会計公準は、以下の 2つに類別される。
   (2)-1 構造的公準 (会計の構造)
   (2)-2 要請的公準 (会計の目的)

(3) 構造的公準には、以下の 3つがある。
   (3)-1 企業実体の公準  [ 計算単位 ]
   (3)-1 会計期間の公準  [ 計算期間 ]
   (3)-1 貨幣的測定の公準 [ 計算手段 ]

(4) 企業実体の公準は、(「所有と経営の分離」 を前提にして、) 経営の計算単位を示す概念である。
   計算単位には、以下の 2つがある。
   (4)-1 法的実体  (個別財務諸表を作成する単位である)
   (4)-2 経済的実体 (連結財務諸表を作成する単位である)

(5) 会計期間の公準は、(企業が継続することを前提にして、) 経営の計算期間を示す概念である。
   (5)-1 期間的に区切って計算して--これを 「期間計算」 という--、計算期間のことを 「会計年度」 という。
   (5)-2 期間計算は、「一年、半期、四半期」 の単位を使う。
   (5)-3 会計期間の公準は、継続企業 (going concern) を前提にしているので、「継続企業の公準」 と
   いわれることもある。

(6) 貨幣的測定の公準は、計算の手段 (尺度) を示す概念である。
   (6)-1 計算手段として、(物量数値を尺度にするのではなくて) 貨幣数値を尺度にする。
   (6)-2 貨幣を計算の手段とすることを示しているが、貨幣価値の認知は別の論点である。

(7) 貨幣価値を 「一定」 であるとすれば、名目資本維持計算になる。
   名目資本維持計算は取得原価主義会計である。

(8) 貨幣価値を 「変動」 するとすれば、実質 (あるいは、実体) 資本維持計算になる。
   (8)-1 実質資本維持計算は一般物価変動会計である。
   (8)-2 実体資本維持計算は個別価格変動会計である。

(9) 要請的公準は、環境と会計の相互関係のなかで成立する公準である。
   以下の 2点を重立った論点としている。
   (9)-1 [ 対象主体 ] だれのための会計なのか (会計主体論)
   (9)-2 [ 目的 ]   なにのための会計なのか (会計職能論)

(10) 要請的公準では、以下の 2点が論点になる。
   (10)-1 有用性
   (10)-2 公正性

(11) 有用性の公準は、「だれのための有用性」 であるか、という点が争点になる。
   (11)-1 債権者のための有用性であれば、貸借対照表を主体とした信用目的が中心となる。
   (11)-2 投資家のための有用性であれば、損益計算書を主体とした投資目的が中心となる。
   (11)-3 社会的責任のための有用性であれば、「社会的貸借対照表」 が論点になる。

(12) 現行の企業会計は、「投資家のための有用性」 を重視している。
   したがって、「分配可能利益」 の計算を会計の目的としている。

 [ 以下、略 ] □

 



[ 読みかた ] (2007年10月16日)

 本 エッセー では、具体例を示しているので、取り立てて、補遺はいらないでしょう。

 ちなみに、いくつかの領域 (会計学、経営学、マーケッティング、生産管理、英語、数学など) について、本 エッセー のなかに綴った やりかた で作成した サブノート を集めて出版した書物が拙著 「IT コンサルタント のスキル」 です。幸いにも、この書物は、ロングマン 社の日本語 コーパス に収録されました。この著作は、文章を箇条書きに羅列した文体ですが、ロングマン 社の コーパス に収録された理由は、たぶん、広範囲な学問領域を対象にしているので、欧米人が日本語の様々な語彙を学習するには手軽な書物なのでしょうね。




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  佐藤正美の問わず語り