2003年 1月 1日 作成 江戸時代 (幕府制度、中級編) >> 目次 (作成日順)
2007年 6月 1日 更新  



 江戸幕府の制度について、全般の概略を記述した史料・資料を記載します。
 裁判制度 (奉行制度)、農政および武士・商人・庶民などの生活については、それぞれ、後日、記載します。 



[ 読みかた ] (2007年 6月 1日)

 江戸時代 (1603年に徳川家康が征夷大将軍になって江戸で幕府を開いてから、1867年に徳川慶喜 [ 第 15代 将軍 ] が大政奉還するまでの 265年間) で いちばんの テーマ となるのは、「封建社会が どのようにして形成されたのか」 という点でしょうね。その テーマ を主要概念とすれば、その概念に関する重要細目として、「幕藩体制」 と 「鎖国」 を考えることができるでしょう。
 「幕藩体制」 「封建社会」 の具体的な例として、以下を列挙できるでしょう。

 (1) 大名の改易・所替、知行権と城下町
 (2) 参勤交代制、巡検使
 (3) 武家諸法度
 (4) 軍役の賦課
 (5) 検地と本百姓
 (6) 年貢の賦課
 (7) 身分的階層制 (士農工商)

 その社会制度のなかで、いっぽうで、町人のちからが高まって、元禄・化政を頂点とする町人文化が栄えたことも 「封建社会」 のなかの ひとつの現象として調べなければならない テーマ になるでしょうね。

 江戸幕府そのもの-の歴史を観れば、家康・秀忠 [ 第 2代将軍 ]・家光 [ 第 3代将軍 ] の時期に、諸法度が施行され、鎖国令などの基本的体制が整い、(家綱 [ 第 4代将軍 ]・綱吉 [ 第 5代将軍 ] の時期に、元禄文化が栄えて、)次第に、財政難に陥って、いわゆる「三大改革 (吉宗 [ 第 8代将軍 ] の享保改革、家斉 [ 第 11代将軍 ]・松平定信の寛政改革、そして、家慶 [ 第 12代将軍 ]・水野忠邦の天保改革) が おこなわれた。そのあとの歴史は、「鎖国」 が崩れてきて、対外的危機のなかで、倒幕運動が強まった。

 政治組織は、家光・家綱の時期に、ほぼ整ったようです。その時期に 「老中」 が設けられ、三奉行 (寺社奉行・町奉行・勘定奉行) が--京都では所司代が、大阪では城代が--置かれ、幕府直轄地には郡代・代官が配置された。軍備では、幕府から知行を得た旗本・御家人が従事した。
 全国の石高は 3000 万石だが、そのなかで幕府直轄地は 400万石で、さらに、旗本知行地が 300万石だった。幕府は、直轄地のほかに、政治上・経済上で大切な町・港湾 (江戸、大坂、京都、駿府、甲府、奈良、伏見、堺、長崎など)を直轄して、また、鉱山 (佐渡、石見、生野、伊豆) を管轄して金・銀・銅を独占した。

   「鎖国」 は、キリスト 教禁圧を名目とした鎖国令 (1633年-1639年) の外交政策と、それに続いて ペリー来航 (1853年) までの 215年間をいうようです。江戸時代が 265年間であったことと鑑みれば、江戸時代の 4/5 が国際的に孤立した状態だった。「鎖国」 を 文明の観点から 「孤立した後れの原因」 として考えるか、文化の観点から 「独自文化の開花土壌」として考えるかは興味深い観点ですが、倒幕運動以後 大正時代までの できごとを観れば、(文明のなかの 1つの領域である文化が独自に育っても、) 文明は 「孤立した後れ」になったというのが歴史の事実でしょうね。ただ、当時、西洋が進めていた植民地政策のなかで、もし、日本が 「鎖国」 をしなかったら、西洋の植民地になっていたのではないかという論点も極めて重大な論点でしょうね。

 「江戸時代の幕府制度」 のなかで私が調べたい点は、「封建社会が どのようにして形成されてきたのか」 という点です。そして、その社会 (あるいは、制度) のなかで生活した庶民の対応 (反応) の しかた です。庶民が政治に関与できなかった時代に、庶民生活と政治制度 (庶民生活に対して きまり を作って制限した制度) が どのような関係にあったのか を私は知りたい。私の興味は、寧ろ、庶民の生活に対して向けられているのですが、庶民の生活を包んでいた社会制度 (環境) を調べなければならないという観点で、政治制度を調べたい。

 と同時に、封建社会を作った政治制度を 「組織」 という観点から ながめて、武家が どのような制度のなかで生活していたのか ということも私は知りたい。





 ▼ [ 江戸幕府の制度 ]

 ● 御当家紀年録 (訳註 日本史料)、児玉幸多 編、集英社

 ● 御当代記 (将軍綱吉の時代)、戸田茂睡 著、塚本 学 校注、東洋文庫

 ● 史料 徳川幕府の制度、小野 清 著、高柳金芳 校注、新人物往来社

 ● 江戸幕府役職集成 (改訂増補)、笹間良彦 著、雄山閣

 ● 江戸時代役職事典 [ 改訂新版 ]、川口謙二・池田 孝・池田 政、東京美術 (東京美術選書 27)

 ● 参勤交代道中記 (加賀藩史料を読む)、忠田敏男、平凡社

 ● 徳川幕府縣治要略、安藤 博、青蛙選書

 ● 塩尻百巻史料事典、八切止夫 校訂、日本 シェル 出版

 ● 江戸幕府勘定所史料--会計便覧、村上 直・馬場憲一 編、吉川弘文館

 ● 徳川幕府の会計検査制度、中瀬勝太郎、築地書館

 ● 御触書寛保集成、石井良助・高柳眞三 編、岩波書店

 ● 御触書宝暦集成、石井良助・高柳眞三 編、岩波書店

 ● 御触書天明集成、石井良助・高柳眞三 編、岩波書店

 ● 御触書天保集成 (上・下)、石井良助・高柳眞三 編、岩波書店

 ● 享保通鑑 [ 日本史料選書 24 ]、辻 達也 校訂、近藤出版社

 ● 江戸町方制度、石井良助 編集、人物往来社

 ● 旧幕府引継書 江戸町方書上 [ 浅草 (上・下)]、林 陸朗・朝倉治彦・長谷川正次 編集、新人物往来社
  [「浅草」 編以外に「深川」 編もあるが、小生は所蔵していない。]

 ● 江戸幕府郡代代官史料集 [ 日本史料選書 21 ]、村上 直 校訂、近藤出版社

 ● 江戸時代の制度事典、大槇紫山 著、歴史図書社

 ● 玉露叢 (上・下) [ 江戸史料叢書 ]、山本武夫 校注、人物往来社

 ● 翁草 [ 近世史料叢書 全 4巻 ]、神沢貞幹 編述、池島義家 校訂、歴史図書社
  [ 現代語訳として、「翁草 (上・下) (原本現代語訳 55・56)」、浮橋康彦 訳、教育社 ]

 ● 木下延俊慶長日記、二木謙一・荘 美知子 校訂、新人物往来社

 




 ▼ [ 藩史 ]

 ● 新編 藩翰譜 (全 5巻)、新井白石、新人物往来社

 ● 藩史総覧、児玉幸多・北島正元 監修、新人物往来社

 ● 藩史事典、藤井貞文・林 陸朗 監修、秋田書店

 


  << もどる HOME すすむ >>
  読書案内