2004年10月 1日 作成 マスコミ 報道 >> 目次 (作成日順)
2009年 3月 1日 更新  


[ 読みかた ] (2009年 3月 1日)

 私は、「マスコミ」 が大嫌いです。勿論、われわれ大衆に対して、なんらかの伝達を実施するには、文字通りに 「マスコミ」 しか手段がないのですが、私が 「マスコミ」 を嫌う最大の理由は、送る側の装飾が コンテンツ に対して施されるという点です──ただでさえ、コンテンツ を作るときに、送る側の 「視点・解釈」 が入ってくるのに、さらに それを助長するような作為が施されていると、私は、もう 「生理的な嫌悪感」 を覚えます [ 私は、即、そういう情報を拒否します ]。私の そういう態度は極めて頑固なのかもしれないのですが、NHK の ニュース までも ワイドショー 化してきているのを観ていて辟易しています──ただ、深夜に再放送されている ドキュメント 番組は、報道したときから時が流れたあとで厳選されて再放送されているので、なかなか良い番組が多い [ ただし、報道の瞬時性という点から判断して、それらの番組の 「(報道としての) 価値」 は ゼロ なのですが、、、尤も、ドキュメンタリー として作られた番組は、その テーマ が数年に及んぶような話題が多いので──雑誌に喩えてみれば、季刊誌の性質が強いので──それらの番組を観たあとで、たいがい、テーマ について もう一度熟考しなければならないことを思い起こされます ]。

 私は 「マスコミ」 が大嫌いですが、いっぽうで、世捨て人でないかぎり 「マスコミ」 無しに生活できるとも思っていないので、「マスコミ」 というのは、どういう性質の物なのかを知りたいので──勿論、「マスコミ」 の 「負の」 面だけではなくて、「マスコミ」 を総体的に知りたいので──、本 ページ に記載した書物を読んできた次第です。
 「マスコミ」 には様々な形態 (media) があります。したがって、それらを一律に批評することはできないでしょうね。「マスコミ」 に対する批評に限らず、いかなる テーマ を対象にしていても、なんらかの批評をするのならば、少なくとも、その テーマ に関する書物 (ページ 数が200ページ 以上の書物) を 5冊読んで──しかも、1冊ごとの読みかたは、最低限 でも3回熟読して──いなければならないでしょう。

 「私は マスコミ が大嫌いだ」 と言いながら、いっぽうで、私自身が、ときたま、「マスコミ」 (コンピュータ 業界誌) に顔を出しています──ただし、私が 「マスコミ」 に顔を出すときには、厳しい記載条件を雑誌社にもとめたときか、あるいは、雑誌の テーマ に関して無条件で賛同したとき、そして、そのときに限られています。私は、若い頃 (30歳代)、「マスコミ」 に出たいという願望が強かったのですが、いざ実際に 「マスコミ」 に いくどか出てみたら、以前に抱いていた願望と実際の充足感のあいだには隔たりがあることを実感した次第です──というのは、「マスコミ」 で意見を述べるというのは、テレビ の ワイドショー で コメンテータ が わずか 30秒くらいで感想を述べている状態と同じであって、その程度の 「まとめ」 なら、その テーマ に関する authority でなくても、常識さえあれば だれでも言えることだと自覚しました。みずからの意見を詳細に述べるのであれば、書物か、あるいは ウェブ の ブログ のほうが適しているでしょう。ただし、若い人たちが業界誌に寄稿することを私は勧めたい。雑誌の出版社は、若い人たちの意見を記載することに対して ためらいがあるかもしれないのですが──というのは、若い人たちは、年齢からいって、実地の経験が少ないので (言い換えれば、成功事例が少ないので)──、authority の意見を要約して無難な誌面を作り続けていれば、読者に飽きられるでしょう。そして、誌面が そういう状態になったら、なんとか、目新しい テーマ を立てようとして 「報道を作ってしまう」 罠に陥る危険性が高い。そうなれば、読者のほうでも、それを感知して、記事を 「割り引いて」 読むようになるでしょう。そうなれば悪循環に陥って、雑誌のほうは、読者の興味を惹くような ヨリ刺激的な キーワード を使うようになって、いっぽうで、読者は、ますます、記事を 「眉唾もの」 として見るでしょうね。亀井勝一郎氏は、以下の アフォリズム を遺しています。

      感動を失ってただ刺激だけを求め、沈黙を失って饒舌となり、熟考力を失って速断し、
      自分で自分の言ったことを忘却する。言語生活が この四つの状態をあらわしたとき、
      (略) 大人なら精神錯乱の前兆である。

 現代の 「マスコミ」 のなかに、亀井勝一郎氏が述べた点を私は感じています。







 ● 現代 メディア を学ぶ、有山輝雄・津金澤聰廣 編、世界思想社

 ● 入門 マスコミ 言語論、稲垣吉彦、大修館書店

 ● マスコミ 報道の犯罪、浅野健一、講談社文庫

 ● 現場からみた放送学、松岡理綺雄 編、学文社

 ● テレビ (「やらせ」 と 「情報操作」)、渡辺武達、三省堂選書 184

 ● 現代の新聞、桂 敬一、岩波新書 112

 ● 現場からみた新聞学、天野勝文・村上孝止 編、学文社

 ● 新聞記者という仕事、広瀬道貞、ぺりかん社

 ● 誤報 (新聞報道の死角)、後藤文康、岩波新書 446

 ● 写真の ワナ (ビジュアル・イメージ の読み方)、新藤健一、情報 センター

 ● 書かれる立場と書く立場 (読売新聞の 「報道と人権」)、読売新聞社

 ● 社会的人権の思想、沼田稲次郎、新 NHK 市民大学叢書 1

 ● 現代社会と人権 (女性・障害・死刑・・・)、柳瀬睦男 他、新幹社

 ● 群衆心理、ギュスターヴ・ル・ボン 著、櫻井成夫 訳、講談社学術文庫 1092

 ● 表現の自由を脅すもの、ジョナサン・ローチ 著、飯坂良明 訳、角川選書 275




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