2002年 7月31日 対照表: (R) の複写 >> 目次 (テーマごと)
  ● QUESTION   対照表の (R) は、なぜ、後続の 「event」 のなかに流用 (複写) できるのか。
  ▼ ANSWER   対照表の (R) は、「event」 の identifier を代用している。
2007年 9月 1日 補遺  



  (R) は 「Re-used」 の略語であり、identifier が流用されたことを示している。
  したがって、流用された (R) が、再度、流用されることは 「原則として」 起こり得ない。

 (R) が、再度、流用される事象は、以下の 2つに限られている。
  (1) 対照表が event として作用する。
  (2)(起こる可能性は極めて低いが) 対応表が後続の event と対応関係にある。

 以下の例を考えてみる。
   受注 {受注番号、顧客番号 (R)、商品番号 (R)、受注日、 受注数、...}[ E ]
   出荷 {出荷番号、受注番号 (R)、出荷日、...}[ E ]
   請求 {請求番号、出荷番号 (R)、請求日、請求金額、...}[ E ]

 受注と出荷は 「1対1の対応」 が成立し、出荷と請求は 「1対1の対応」 が成立する、という前提にする。
 受注と出荷の対応関係では、受注番号は出荷のなかに流用される。
 出荷と請求の対応関係では、出荷番号は請求のなかに流用される。
 しかし、[ 出荷のなかの ] 受注番号 (R) が請求のなかに流用されることはない。
 (もし、請求が受注番号を使いたのであれば、請求は受注と対応関係を結ばなければならない。)

 対照表には、以下の 2つの性質がある。
 (1) 「event」 として作用する (性質として、DATE が帰属する)。
 (2) 「validation-rule」 として作用する (性質として、DATE が帰属しない)。

 「event」 は 対照表の部分集合である (「データ 解析に関する FAQ」 の 77ページ を参照されたい)。
 (厳密に言えば、「event」 は 「DATE を附与される」 対照表の部分集合である。)
 「event」 は、対照表の集合のなかで、認知番号 (identifier) を附与された事象である。

 (「event」 として作用する) 対照表は 「event」 と順序対を形成できる。
 (「データ 解析に関する FAQ」 の 141ページを参照されたい。)
 しかし、対照表が 「event」 として作用するとき、対照表には認知番号 (identifier) が附与されていない。
 とすれば、対照表が 「event」 と順序対を形成するなら、[ indentifer の代用として ] (R) を使わざるを得ない。これが、対照表の (R) が、再度、複写される理由である。

 以下の例を考えてみる。
   従業員. 部門. 対照表 {従業員番号 (R)、部門コード (R)、配属日、...}[ 対照表 ]
   社員研修 {研修番号、従業員番号 (R)、部門コード (R)、研修日、...}[ E ]
 [「配属」 された直後に、「研修」 に参加する、という前提である。]

 いっぽう、「validation-rule」 として作用する対照表の (R) が 「event」 のなかに複写されることはない(「データ 解析に関する FAQ」 の 141ページ を参照されたい)。「validation-rule」 として作用する対照表の (R) が、再度、複写されるのは、複数の対照表を統合するときに限られる。

 以下の例を考えてみる。
   事業所. 部. 対照表 {事業所コード (R)、部門コード (R)、...}[ 対照表 ]
   部. 課. 対照表 {部門コード (R)、課コード (R)、...}[ 対照表 ]

 したがって、
   事業所. 部. 課. 対照表 {事業所コード (R)、部門コード (R)、課コード (R)、...}[ 対照表 ]

 以上の点を逆の観点から言えば、前回の 「FAQ」 (141ページ) のなかで記述したように、「validation-rule」 の対照表が 「event」 と直接な対応関係を結ぶことがない、ということである。

 



[ 補遺 ] (2007年 9月 1日)

 本 エッセー が綴られた日付は、2002年 7月31日であった。そのあとで、2005年に、「赤本 (『データベース 設計論 -- T字形 ER [ 関係 モデル と オブジェクト 指向の統合をめざして ]』)」 を出版した。
 「赤本」 では、意味論を検討した。「赤本」 で検討した意味論は、論理的意味論である。「赤本」 では、論理的意味論として、以下の 2つの概念を TM (T字形 ER手法) のなかに導入した。

 (1) 事実的な 「F-真」 概念
 (2) 導出的な 「L-真」 概念

 関係文法に従って構成された対照表には、以下の 2つの 「真」 概念が付与される。

 (1) 「F-真」 の対照表は、「event (ときには、resource)」 を言及する。
 (2) 「L-真」 の対照表は、管理過程のなかで、制約・束縛を示す。

 「L-真」 の対照表は、従来、「validation-rule」 と言っていた対照表である。
 「F-真」 の対照表のみが、「原則として」 実装される--「原則として」 と言った理由は、「L-真」 の対照表は、ほんらい、DD (Data Dictionary) のなかに定義されるべきであるが、RDB に対して統制的な DD が マーケット にないので、やむを得ず、「L-真」 の対照表も テーブル として実装しているから。

 さて、対照表は、以下の 2つの観点で扱われる。

 (1) 構文論上、「resource」 の組 (「集合 オブジェクト」) である。
   したがって、文法上、対照表は、resource の文法を適用する。

 (2) 意味論上、「基本的に」、「event」 を言及する。
   ただし、resource を言及することもある。

 本 エッセー の記述は、構文論と意味論を ごっちゃにしてしまっている。
 対照表は、構文論上、「resource」 の文法が適用されると覚えれば良い--なぜなら、対照表は、「resource」 の束 (組) だから。




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