2003年 5月16日 有効日・適用日 >> 目次 (テーマ ごと)
  ● QUESTION   有効日とか適用日は、「event」 の日付として扱ってよいか。
  ▼ ANSWER   原則として、だめ。
2008年 6月16日 補遺  



 「event」 の定義規準である 「日付 (DATE)」 は、事象が起こった「過去の取引日」 のことをいう。

 したがって、「有効日」 や 「適用日」 などの予定日は、T字形 ER手法がいう 「日付」 ではない。
 それらは、名称とか数量のような データ 項目と同じ性質として扱われる。

 以下を例にする。

 (1) 部品番号を認知番号にして、「部品」 entity がある。
 (2) 部品に対して設計変更 (いわゆる「設変 (せっぺん)」) が起こる。
 (3) 設計変更は事象として記録される--設計変更番号を認知番号にして、「設計変更」 entity がある。

 以上を前提にすれば、以下のような データ 構造になる。

[ 具体例(1)]

 部品  {部品番号、部品名称、適用日、・・・}. [ R ]

 設計変更  {設計変更番号、部品番号 (R)、設変日}. [ E ]

 
 すなわち、「部品」 のなかの適用日は将来日として記述されていて、実際の設変が実施された日付は、「設計変更」 の 「設変日」 を使って記述される。
 上述した「適用日」 の考えかたについては、「履歴 データ の扱い」 (193 ページ) を参照されたい。

 
 ただし、以下のような構造になれば、「適用日」 は 「日付」 となる。

[ 具体例(2)]

 部品  {部品番号、部品名称、・・・}. [ R ]

 部品. 適用  {部品番号 (R)、適用日}. [ VE ]

 設計変更  {設計変更番号、部品番号 (R)、設変日}. [ E ]

 
 「部品. 適用」 のなかの適用日は実施された日付として扱われる。
 したがって、「設計変更」 のなかの設変日は適用日よりも過去の日付となる (「設変 → 適応」 の順序になる)。

 
[ 具体例(3)]

 部品  {部品番号、部品名称、・・・}. [ R ]

 部品. 部品. 再帰  {部品番号 (R)、部品番号 (R)、適用日}. [ 再帰 ]
 ──この再帰は、いわゆる「部品表」を記述する再帰ではなくて、設計変更の対象を記述する再帰である。

 設計変更  {設計変更番号、部品番号 (R)、設変日}. [ E ]

 
 この適用日も 「event」 を生成する日付であるが、具体例 (2) の適用日と具体例 (3) の適用日では、「意味」 が微妙に違っている。具体例 (2) は、変更された部品の適用日であるが、具体例 (3) は、同じ部品の設計変更ではなくて、代替部品を使った変更である可能性が高い。



[ 補遺 ] (2008年 6月16日)

 本 エッセー では、具体例を示しているので、取り立てて、補遺はいらないでしょう。

 TM (T字形 ER手法の改良版) でいう 「『event (事態)』 を認知するための 『日付』」 というのは、「過去形」 である、というふうに覚えておけば良いでしょう。すなわち、「日付」 は、事業過程・管理過程のなかで実際に起こった歴史的事実を指示する (記録する) 指標である、ということです。言い換えれば、「将来日」──たとえば、本 エッセー のなかで示した 「有効日」 や 「適用日」 など──は、記録の対象であっても、「event」 として認知されない、ということです。というのは、それらの日付は、あくまで、(なんらかの行為に関する) 計画を指示するのであって実績ではないので、監査証跡 (audit trail) にならないから。言い換えれば、「真理条件 (事実的な F-真)」 を問えないから、ということです。




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