2004年 6月16日 関係 (成立と不成立) [ 拙著の補足 ] >> 目次 (テーマ ごと)
  ● QUESTION   resource 間の関係のなかで、不成立があれば、対照表の サブセット を使えばよいか。
  ▼ ANSWER   基本的には、そう考えてよい。
2009年 7月 1日 補遺  



 たとえば、以下の情報を前提にする。

 {顧客番号、顧客名称、職業 コード、役職 コード}.

 
 この例は、拙著「論理 データベース 論考」 219ページ の例題を簡略にした。
 以上の情報から、以下の entity を作る。

 顧客 {顧客番号、顧客名称・・・}.
 職業 {職業 コード、・・・}.
 役職 {役職 コード、・・・}.

 
 以上の entity から、以下の構造を作る。

 顧客 {顧客番号、・・・}.
 職業 {職業 コード、・・・}.
 顧客. 職業. 対照表 {顧客番号 (R)、職業 コード (R)}.
 役職 {役職コード、・・・}.
 顧客. 職業. 役職. 対照表 {顧客番号 (R)、職業 コード (R)、役職 コード (R)}.

 顧客. 職業. 対照表は、途中の推論なので、遺さない、とする。
 したがって、最終的には、以下の構造となる。

 顧客 {顧客番号、・・・}.
 職業 {職業 コード、・・・}.
 役職 {役職 コード、・・・}.
 顧客. 職業. 役職. 対照表 {顧客番号 (R)、職業 コード (R)、役職 コード (R)}.

 
 さて、職業のなかには、役職 コード のない職業もある。たとえば、小説家とか。
 したがって、対照表には、null値が生じるので、以下のように、サブセット を作る。

  顧客. 職業. 役職. 対照表
        │
        × null (役職 コード)
        │
        ├{顧客番号 (R)、職業 コード (R)、役職 コード (R)}
        │
        └{顧客番号 (R)、職業 コード (R)}

 
 さらに、「専業主婦」 を職業として コード 化していないのであれば、職業 コード にも null が生じることもある。したがって、以下の構造となる。

  顧客. 職業. 役職. 対照表
        │
        × null (職業 コード、役職 コード)
        │
        ├{顧客番号 (R)}
        │
        ├{顧客番号 (R)、職業 コード (R)}
        │
        └{顧客番号 (R)、職業 コード (R)、役職 コード (R)}

 
 「論理 データベース 論考」 222ページ の試案では、役職 コード のない職業もあるので、職業と役職とを単純に結ぶことはできない、と判断して、対照表を作成していない。この判断は、事業のなかで、顧客として、だれを対象にしているか、という前提次第である。拙著の例題は、或る生命保険会社の実例を簡単な例題にして使った。したがって、顧客として、会社員のみを対象としている訳ではない。(会社員のほかに、) 専業主婦もいれば、農業に従事する人たちもいれば、自由業の人たちもいる。かつ、会社員であっても、役職の データ が null である人たちが多数いた。さらに、「不労所得」 (たとえば、マンション 賃貸収入とか) を得ている人たちもいる。そういう事業を前提にして、職業と役職とのあいだには、直接の関連はない、と記述したのであって、ふつうなら、職業と役職とのあいだに関連を考えるのが妥当だと思う。

 逆に言えば、まず、上述の対照表を作成して、それから、以下の点を確認すればよい。

 (1) 職業 コード が成立しないことは起こるか (たとえば、不労所得など)。
 (2) 役職 コード が成立しない職業はあるか (たとえば、自由業など)。
 (3) 役職が成立しても、職業は成立しないことはあるか (ちょっと、具体例が思い浮かばないが、、、)。

 もし、(1) と (2) が多いようであれば、職業 コード と役職 コード との間には関連を結ばないほうが良い。そういう事態であれば、役職 コード は、ほかの目的 (データ 使用の目的) のために使われていると思って良い──たとえば、その人 (高位の役職を得ている人) を起点にして、その人の部下たちを商品 セールス の対象とするとか。もし、そういう事態のなかで (会社員のみを対象にしていない事業のなかで)、役職は、ほかの使用目的がないのであれば、おそらく、無意味な データ である。

 



[ 補遺 ] (2009年 7月 1日)

 対照表は、「事態の成立・不成立」 を記述した真理値表であるということを理解していれば、本 エッセー に対して補遺はいらないでしょう。すなわち、対照表は、以下のように、主選言標準形です [ なお、文中、p および q を resource とし、T は充足された状態で 「真」 なことを示し、F は充足されていない状態 (すなわち、null) を示しています ]。

  (p ∧ q) = (T ∧ T)∨ (T ∧ F) ∨ (F ∧ T) ∨ (F ∧ F).

 対照表が多項関係の場合には、「リレーションシップ の検証表」 を使って 2項関係に直して験証すればいいでしょうね [ 本 ホームページ の 496ページ を参照されたい ]── resource 群のみで構成された 「リレーションシップ の検証表」 を使えばいい。





  << もどる HOME すすむ >>
  データ解析に関するFAQ