2005年 7月 1日 「多値の AND」 と 「多値の OR」 (その 2) >> 目次 (テーマ ごと)
  ● QUESTION   「多値の AND」 と 「多値の OR」を、どうして、意識しなければならないのか。
  ▼ ANSWER   「形式的構造」 が相違すれば、それが指示する 「事業形態」 も相違するから。
2010年 7月16日 補遺  



 「多値の OR」 関係と 「多値の AND」 関係を TM が気にする理由は、記法の相違が 「意味」 の相違を示すからである。逆に言えば、記法 (データ 構造の記述) を観て、「(事業の) 意味」 を理解できなければならない。

 アトリビュート の多義に関しては、F-真の観点に立って考えれば、データ 構造上、「OR」 関係しかない。
 たとえば、商品単価が、2つ (正価格および割引価格)、存在することを考えてみれば良い。
 すなわち、価格が、意味論上 (指示関係として)、多義になっている。

  商品
  {商品番号、商品名称、・・・}.

  商品. 単価種別
  {商品番号(R)、商品単価、単価種別 コード}.

 
 多値現象のなかで、意味論上、一考を促す事態が、(R)の「繰返し (repeating data element)」 である。
 たとえば、以下を考えてみる。

  受注 HDR
  {受注番号、運送業者番号 (R)、・・・}.

  受注 DTL
  {受注番号、商品番号 (R)、・・・}.

 運送業者として、1社あるいは 2社のいずれかの事態が起こる、とする。
 そうすれば、(もし、2社が受注に関与したときには、) 以下に示す 3つの構造では、「意味」 が相違する。

 (1) 多値の OR 関係 (多義)

  受注 HDR
  {受注番号、受注日、・・・}.

  受注 HDR. 運送業者種別
  {受注番号 (R)、運送業者番号 (R)、運送業者種別 コード}.

  受注 DTL
  {受注番号、商品番号 (R)、・・・}.

 
 (2) 多値の AND 関係 (HDR-DTL 構造として記述される事態)

  受注 HDR
  {受注番号、・・・}.

  受注 DTL
  {受注番号 (R)、運送業者番号 (R)、商品番号 (R)、・・・}.

 
 (3) 多値の AND 関係 (再帰として記述される事態)

  受注 HDR
  {受注番号、運送業者 (R)、・・・}.

  受注 DTL
  {受注番号 (R)、商品番号 (R)、・・・}.

  運送業者
  {運送業者番号、運送業者名称、・・・}.

  運送業者. 運送業者. 再帰表
  {運送業者番号 (R)、運送業者番号 (R)}.

 
 (1)は、たぶん、受注の時点で、運送業者として、「第一候補」 と 「第二候補」 があることを示している。実際の配送を、いずれの運送業者が請け負ったのか、ということは、後続 「event」 のなかで示されるはずである。(2) は、運送業者の 2社が、それぞれ、商品を分担し配送したことを示している。(3) は、運送業者のあいだには、「(運送管理の窓口となる) 統轄運送会社と (実際に、商品を配送した) 配送運送会社」 とか、「配送運送会社として、代替運送会社を考慮している」 ことが、あらかじめ、ルール 化されている状態を示している。

 「構造」 が相違すれば、それが指示している事態も相違する点に注意されたい。

 



[ 補遺 ] (2010年 7月16日)

 取り立てて補足説明はいらないでしょう。





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