2003年 8月16日 作成 トップマネジメント の職能 >> 目次 (テーマ ごと)
2007年11月16日 補遺  

 

 
1. 株式会社制度は 「三権分立」 型経営 システム である。

 (1) 株主総会 (general meeting) 経営判断をおこなう。
 (2) 取締役 (director) 経営判断の執行を管理する。
 (3) 監査役 (auditor) 会計監査と業務監査をおこなう。

 
2. トップマネジメント の職能には以下がある。

 (1) 受託職能 (trusteeship function)
 (2) 全般管理職能 (general-management or administrative funciton)
 (3) 部門管理職能 (departmental-management function)

 
3. トップマネジメント の組織的職能には以下の 3つの階層がある。

 (1) 取締役会 (受託職能を遂行する)
 (2) 社長 [ 代表取締役 ] (全般管理職能を遂行する)
 (3) 常務会 (部門管理職能を遂行する)

 
4. 経営判断 (意思決定) は、以下の 2つに分類できる。

 (1) 臨時的・評価的 (企業あるいは事業の設立・変更・拡張・廃業・解散など)
 (2) 経常的・継続的 (事業過程の運営)

[ 参考 ]
 事業過程については、(Advanced Learner's の) 「現代経営の基礎構造 (企業と事業)」 を参照されたい。

 
5. 組織的職能と経営判断には以下の関係が成立する。

 (1) 臨時的・評価的な経営判断は、取締役会がおこなう。
 (2) 経常的・継続的な経営判断は、常務会がおこなう。



[ 補遺 ] (2007年11月16日)

 取り立てて、説明はいらないでしょう。
 ただし、「会社法」 を、一度、丁寧に読んでください。

 過去 10数年に及んで いわゆる 「会計 ビッグバン」 とよばれてきた 「会計基準の変更 (『国際会計基準』 への調整)」 があって、「取引」 概念が変わってきました。そして、その会計原則の変更に対応するように、2005年 6月に、「会社法」 という法律が作られました--「会社」 概念が変わりました。さらに、証券取引法が改訂されて、いわゆる J-SOX 法 (金融商品取引法) が作られて、「内部統制 (財務報告に係わる内部統制)」 が導入されました。すなわち、「会社 (取引主体)」 と 「取引」 と 「内部統制」 という三位一体が出揃ったという次第です。

 「会社法」 の特徴として、以下の諸点を挙げることができるでしょう。

 (1) 有限会社法の廃止と、株式譲渡制限会社制度の改正
 (2) 定款自治
 (3) コーポレート・ファイナンス の自治拡大
 (4) 合同会社 (LLC) 制度
 (5) 会計参与制度
 (6) 組織再編成行為の自由化
 (7) 剰余金配分手続きの自由化

 特に、(2) と (6) は、本 エッセー と係わってきます。
 (2) では--「公開会社 (株式譲渡制限をしていない会社)」 で 「大会社」 は、機関設計の自由を認められていませんが、それ以外の会社では--機関設計が定款自治に任せられています。ただし、「非公開会社」 で 「大会社」 は、会計監査人を設置しなければならないし、「公開会社」 で 「中小会社」 は、取締役会・監査役を設置しなければならない。すなわち、日本の会社のほとんどを占めている 「『非公開会社』 で 『中小会社』」 は、機関設計を定款でさだめることができる、ということです。

 ┌────────┬────────────┬──────────────┐
 │    規模基準│    大会社     │     中小会社     │
 │閉鎖基準    │            │              │
 ├────────┼────────────┼──────────────┤
 │ 非譲渡制限  │機関設計の自由を認めない│取締役会・監査役の設置強制 │
 │(公開会社)  │            │              │
 ├────────┼────────────┼──────────────┤
 │ 譲渡制限   │会計監査人の設置強制  │機関設計を定款自治で    │
 │(非公開会社) │            │              │
 └────────┴────────────┴──────────────┘

 
 (6)では、株式と資本金とのあいだの直接的関係が切れて、さらに、「株式を使った組織再編成」 が (従来に比べて、) 簡略にできるようになりました--たとえば、株式分割・株式交換・株式移転・会社分割など。

 取締役の任期は、「公開会社・大会社」 では、1年 (あるいは、2年) で、「非公開会社」 では、10年ですが、取締役の解任決議は、(従来、特別決議でしたが、) 普通決議になりました。




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