2005年 3月 1日 作成 製造基礎情報 (工程・工順の基礎情報) >> 目次 (テーマ ごと)
2009年 6月 1日 補遺  

 
1. 作業区 (ワークセンター のこと)

 個々の ジョブ (製品あるいは部品) を生産するための一連の オペレーション (加工作業や組立作業) を実施する生産機能ごとの集まりをいう。ワークステーション とか、ジョブショップ とか、工程ともいう。ふつうは、旋盤、フライス 盤、平面研削盤などが、ワークセンター とされる。工程管理の対象として、以下の 2つがある。

 (1) 製造命令 (オーダー)
 (2) 製造作業の実行主体 (ワークセンター

 作業区 (ワークセンター) は、以下の 2つから構成された作業場所のことをいう。

 (1) 設備 (機械)
 (2) 作業者

 
2. 作業区の基礎情報

 したがって、作業区では、製造作業の種類や、その実行性能が定義される。
 (1) 部品加工では、設備の性能が、作業区の能力に対して影響する。
 (2) 製品組立では、作業者の技能が、作業区の能力に対して影響する。

 作業区の基礎情報として、以下を定義する。
 (1) 能力を定義する (段取りごとの使用可能時間を記述する)
 (2) 効率を定義する (効率 ファクター は、使用可能な能力に対する割合とする)

┏━<<作業区の基礎情報>>━━━━━━━━━━━━━━……………………‥‥‥‥

┃ ( 1) 作業区番号、記述 (切断、粗削り、仕上削り、検査など)
┃ ( 2) 代替作業区番号、場所 (セクション など)
┃ ( 3) 機械の数
┃ ( 4) 人の数
┃ ( 5) 段取りの回数
┃ ( 6) 段取り時間
┃ ( 7) 待ち時間
┃ ( 8) 移動時間
┃ ( 9) 効率 ファクター
┃ (10) 基準日程、標準時間 (effective schedule hours)

┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥

[ 参考 ]
 段取りを、シフト (shift) とも云う。
 なお、効率の計算については、後日、「工程管理」 のなかで、述べる。

 
3. 基準日数の概念

 
                       製造期間
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   △着手日                                       △完成日
  |<_停滞_>|<________加工_______>|<_停滞_>|
            |<段取り>|<_主体作業_>|<段取り>|

 
3. 標準工順

 製品を生産するにあたり、その製品の設計情報を前提にして、必要作業、工程順序、作業順序、作業条件を定義する。前述したように、工作機械などは作業区 (工程) と云われ、原材料・部品が製品として完成するまで経由する工程の連なりが工程順序 (工順) と云われる。ふつう、工順 (工程順序) は、原材料・部品の形状・寸法と、完成品の形状・寸法・精度などを対比して、加工技術の観点 (作業指示、段取り指示、仕様、許容誤差および工治具情報など) から記述される。
 なお、工順は、ルーチング (routing) とか、手番(手配番号)とも云われる。

┏━<<標準工順の基礎情報>>━━━━━━━━━━━━━……………………‥‥‥‥

┃ (1) 部品番号
┃ (2) 作業番号
┃ (3) 作業区 コード
┃ (4) 工程名称
┃ (5) 段取り時間
┃ (6) 作業実行 ファクター
┃ (7) ロット・サイズ
┃ (8) 作業後停滞(post op. hrs)
┃ (9) 作業 スケジュール

┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥

▼ 以下のように、1つの部品に対して、複数の (一連の) 作業が記述される。

   工程番号 作業区 工程名称 段取り時間 1個当たり...
    10     0124   切断      5     0.10
    20     1103   粗削り     1.5    0.30
    30     1206   仕上り削り   3.3    0.50

 
5. 作業実行 ファクター

 作業の実行時間が、以下のいずれかを使って記述される。

 (1) 時間あたりの個数 (大量生産用)
 (2) 1個あたりの時間 (時間を費やす複雑な作業向け)
 (3) ロット・サイズ に関係のない時間 (熱加工や板金作業など)

 
6. 作業 スケジュール

 作業 スケジュール として、以下の 3つの形態がある。

 (1) 順次完了型 (end-to-end) 作業
 (2) 一部重複型 (overlapping) 作業
 (3) 同時進行型 (concurrent) 作業 (個数を基礎にするか、時間を基礎にする)

 順次完了型は、前工程が完了してから、次工程がはじまる。
 一部重複型は、前工程が終わらないうちに、次工程がはじまる。
 同時進行型は、並行作業をいう。





[ 補遺 ] (2009年 6月 1日)

 ジョブショップ (ワークセンター) の概念については、以前に まとめた 「ジョブショップ (スケジューリング と バランシング)」 (2004年12月 1日付け) を参照してください。その まとめ を併読すれば、本 エッセー には取り立てて補足はいらないでしょう。

 なお、「作業 スケジュール」 の形態は、文章のみではわかりにくいかもしれないので、以下に図示しておきます。

 (1) 順次完了型 (end-to-end)

    ──→|──→

 (2) 一部重複型 (overlapping)

    ──→
      ──→

 (3) 同時進行型 (concurrent)

    ──→
    ────→





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