2005年11月 1日 作成 工程管理 (リードタイム) >> 目次 (テーマ ごと)
2010年 2月 1日 補遺  

 

 
━■ 基礎概念 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 リードタイム

 (1) 製造 リードタイム
 (2) 待ち行列
 (3) リードタイム の インフレーション
 (4) バックログ

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1. 発注点方式と MRP

 (1) 発注点方式では、リードタイム 中の需要を予測して安全在庫を加える。

 (2) MRP では、「いつ」 需要が発注するかをきめて、リードタイム を見込んで
    バックオフ (back off、時間的に遡る) して、「いつ」 発注するかをきめる。

 
2. 製造 リードタイム

 製造 リードタイム とは、製造 オーダー が工場に出された瞬間から、それが完成するまでの経過時間である。以下の項目から構成される。

 (1) 段取時間 (set-up time)
 (2) 加工時間 (running time)
 (3) 移動時間 (move time)
 (4) 待ち時間 (wait time)
 (5) 待ち行列時間 (queue time)

 
3. 待ち行列と リードタイム

 仕掛品は床面積の余裕があるかぎり広がる傾向がある。待ち行列の在庫を多大に抱えている。

 (1) 在庫が増えれば、待ち行列の時間が多めになる。

 (2) 待ち行列の時間が多めになれば、リードタイム が多めになる。

 (3) リードタイム が多めになれば、MRP (の スケジュール) の機能は作用しない。

 
4. リードタイム の インフレーション

 インプット・コントロール については、リードタイム の インフレーション が論点になる。

 (1) リードタイム がもう少しあれば スケジュール 通りに実納することができる、と考えやすい
   (が間違いである)。

 (2) 計画 リードタイム が長くなればなるほど、オーダー は早めに出され、工場内の バックログ が
   大きくなる。(リードタイム を長くすれば、かならず、バックログ は増える。)

 (3) リードタイム が長くなればなるほど、将来のことを予測しなくてはならなってしまう。

 
5. リードタイム と バックログ

 (1) リードタイム は仕掛量とほぼ等しい。
    (もし、6週間分の仕掛かりがあれば、リードタイム も 6週間と見てよい。)

 (2) 仕掛量は、インプット の流入速度の バラツキ を吸収する程度の量となる。
    (コンテナ 数にして、最大量が 125で最小量が 75なら、50が待ち行列量である。)



[ 補遺 ] (2010年 2月 1日)

 「リードタイム の インフレーション」 というのは、リードタイム が 「継続的に膨脹してゆき (長くなってゆき)、価値が下落する」 こと。この点を オリヴァ・ワイト 氏は 1970年代に指摘していました。そして、この点に関して、かれは寸鉄人を刺すような以下の名言を遺しています。

  (1) 発注点法は、リードタイム を 「一定として」 構成された モデル である。

  (2) 在庫は、リードタイム の逆関数である。

 (1) に関して、リードタイム の ブレ (揺らぎ) に対応するために、「最長 リードタイム」 「平均 リードタイム」 という項目を用意した企業が多かった。ただ、「最長 リードタイム」 とか 「平均 リードタイム」 は、当然ながら、スケジューリング の モデル である MRP と矛盾します。オリヴァ・ワイト 氏は、「(理論的に) 最短 リードタイム」 を使って計画するように忠言していて、もし、「最短 リードタイム」 が実現されないようなら、再 スケジュール すればいいと助言していました。

 (2) については、もし、リードタイム が 2週間であれば、2週間以上の在庫が発生するということ。

 以上の 2点は、製造 リードタイム だけではなくて、購買/発注 リードタイム にも適用できるでしょう。当時から 40年たった今では、SCM (Supply-Chain Management) が導入されて、エシェロン 在庫の削減 (一拠点の在庫削減ではなくて、多段階の在庫削減──言い換えれば、「製・卸・販」 の プロセス 全体のなかで在庫を削減すること) が目的とされています。ただし、エシェロン 在庫を削減するためには、マスター・スケジュール (製造計画) が 「共有されて」 いることが前提でしょうね。したがって、スケジュール 上、リードタイム が 「正確に」 記述されていなければならないでしょう──言い換えれば、「リードタイム の インフレーション」 がない、ということが前提でしょう。

 本 エッセー は、オリヴァ・ワイト 氏が 1970年代に助言したことを まとめただけの エッセー ですが、リードタイム は、「内示から発注まで 1日/2日 以内」 を実現するというのが過去 10年来 目標とされてきたようです。





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