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2006年 6月16日 補遺  

 
 金融商品を評価するための 「公正な価額」 は、以下の 2つに類別できる。

  (1) 市場価格
  (2) 割引現価

 割引現価 (あるいは、DCF--Discounted Cash Flow) は、計算構造の観点からすれば、複利計算の資本回収計数と同じである。複利とは、n 期間の利子は元本に対してのみ支払われるのではなくて、(n − 1) 期までの累計利子に対しても支払われる利率のことをいう。たとえば、元本を 100万円として、年利率を 10%とすれば、初年度末の元本と利子の総額は、110万円となる。

 [ 1,000,000 + 1,000,000 × 0.1 = 1,100,000 ]

 そして、次年度末には、元利 (元本と利子) は、121万円となる。

 [ 1,100,000 + 1,100,000 × 0.1 = 1,210,000 ]

 つまり、一括払複利計算は、以下の計算式になる。
 n 期間後の元利合計 = 現在価値 × (1 + 利子率).

 複利計算を説明するために、以下の略語を使う。
 (1) i = 利率
 (2) n = 年数
 (3) P = 現在価値
 (4) S = n 期間後の元利合計
 (5) R = 毎期の元本合計 (一定額)

 重立った複利計算を以下に示す。
 (1) P から S を計算する (P ---> S) ことを 「一括払複利計数」 という。
 (2) S から P を計算する (S ---> P) ことを 「一括払現価計数」 という。
 (3) P から R を計算する (P ---> R) ことを 「資本回収計数」 という。
 (4) R から P を計算する (R ---> P) ことを 「現価計数」 という。
 (5) R から S を計算する (R ---> S) ことを 「複利計数」 という。
 (6) S から R を計算する (S ---> R) ことを 「減債基金計数」 という。

 以上の計算のなかで、DCF を計算するときに使う計数は (3) と (4) である。
 なお、複利を計算するときには、「金利表」 (「利率-年数」 ごとの計数一覧表) を使えば便利である。
 以下に簡単な例題(と金利表)を示す。

 (1) 1,000万円を 5年間で回収するには、毎年、いくらずつ回収すればよいか。年利 10%とする。
 (2) 今後 10年間、毎年、200万円ずつ得るためには、いくら積み立てておけばよいか。年利 6%とする。

 まず、(1) は、現在価値 P (1,000万円) がわかっていて、毎年の元利合計 R を計算する問題である
 (P ---> R)。利率 10%、期間 5年。つまり、R = 1,000 (P ---> R)10

 そこで、以下の 「金利表」 を使って、計数を求める。



i=10% 資本回収計数 (P ---> R)
n = 1  
2  
3  
4  
5  0.2638
6  
:  

 
 資本回収計数は (i = 10%、n = 5 では) 0.2638 なので、計算式は以下のようになる。
  R = 1,000 (P ---> R)10 = 1,000 × 0.2638 = 263.8 (万円).

 (2) は、毎期の元本合計 R (200万円) がわかっていて、現在価値 P を計算する問題である
 (R ---> P)。利率 6%、期間 10年。つまり、P = 200 (R ---> P)10

 そこで、以下の 「金利表」 を使って、計数を求める。



i=6% 現価計数 (R ---> P)
n = 1  
2  
:  
:  
9  
10   7.360
:  

 
 現価計数は (i = 6%、n = 10 では) 7.360 なので、計算式は以下のようになる。
  P = 200 (R ---> P)10 = 200 × 7.360 = 1,472 (万円).

 さて、複利計算のやりかたを理解できたでしょうか。
 この複利計算は、「Advanced Learner's」 のなかで、年金会計と リース 会計を解説するときに使うので、覚えておいてください。次回は、「資産会計」 を説明します。□

 



[ 補遺 ] (2006年 6月16日)

 本節は、複利計算の技術を述べているので、取り立てて 補足説明はいらないでしょう。

 Microsoft EXCEL には、複利計算の ソフトウェア が搭載されているそうですが--私は、Microsoft EXCEL を使ったことがないので、そうであると断言できないのですが--、複利計算の構造は理解しておいて下さい。そして、金利表を使えるようになって下さい (私には、金利表を使うほうが いちばんに計算しやすい)。




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