2003年 9月 1日 作成 コーポレート・ガバナンス >> 目次 (作成日順)
2007年12月 1日 補遺  

 

 
 コーポレート・ガバナンス とは、経営執行をだれがどのようにして監視するか、という論点である。

日本では、商法上、監査役制度がある。

 日本の トップマネジメント の職能は、前回、記述した。
 日本では、商法上、監査役制度がある (米国型統治形態には、監査役制度ない)。
 日本では、取締役制度と重役制度が混ざっていて--監査役会・取締役会・常務会の構成になっていることが多いが--、取締役が 「出世 コース」 の最終点のようになっている。大企業であれば、取締役の人数が 30人ほどに及ぶことが多い。取締役のなかで、代表権をもつ取締役のことを代表取締役と呼ぶが、代表取締役は複数になることもある (たとえば、代表取締役社長や代表取締役専務など)。

 
欧米では、外部取締役が取締役の過半数を占め、委員会が設置されている。

 欧米の コーポレート・ガバナンス には、以下の特徴がある。

 (1) 取締役会の人数は 10人前後である。
 (2) 取締役会の半数 (または、過半数) は、外部取締役が占めている。
 (3) 外部取締役を委員長とする様々な委員会が設置されている。
     たとえば、監査委員会、取締役候補指名委員会、役員報酬委員会など。
 (4) 取締役 (管理職能) と執行役員 (執行職能) が区別されている。

 米国型統治では、CEO (Chief Executive Officer) とか COO (Chief Operating Officer)という呼称が使われ--取締役会・委員会・CEO・執行役員という構成になっているが--、会長が CEO になって、社長が COO であることが多い。CEO は最高経営責任者であり、COO は執行役員である。

 
日本の改正商法では、委員会等設置企業が認められた。

 日本では、商法改正 (2002年 5月22日) のなかで、外部取締役が取締役会の半数以上であれば、監査役を設置しなくてもよいとされ、米国型企業統治の選択的導入が認められた。外部取締役が委員会を設置する企業形態のことを 「委員会等設置企業」 という。
 ちなみに、監査役は、1993年の法改正で制度化されていた。

 
決算書が正しいことを保証する責任は経営者にある。

 公認会計士による外部監査の対象となっている企業は、「経営者の確認書」 という文書を公認会計士に提出することになっている。決算書の責任は経営者にあり、監査対象となる文書を提出したことを確認する文書である。したがって、決算書が正しいことを保証する責任は経営者にある。言い換えれば、会計情報を判断できないということは、経営者の弱点になる。



[ 補遺 ] (2007年12月 1日)

 前回 (「トップマネジメント の職能」 に対する [ 補遺 ] のなかで)、「会社法」 を読むように勧めました。本 エッセー のなかで記述されている商法特別法 (「委員会等設置企業」 に関する法律) は、「会社法」 のなかに吸収されました。「会社法」 では、「委員会等設置企業」 という言いかたは、「等」 が除去されて 「委員会設置企業」 という言いかたに変更されました。

 さて、コーポレート・ガバナンス に関して、以下の 3つの資料を読んで下さい。

 (1) 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」 (金融庁)
 (2) 「コーポレートガバナンス 及び リスク 管理・内部統制に関する開示・評価の枠組みについて
     --構築及び開示のための指針--(案)」 (経済産業省)
 (3) 同、「参考資料集」

 いずれの資料も、ウェッブ で入手できます (pdf 形式です)。
 (1) が--ないし、それを取り込んだ 「金融商品取引法」 が--、いわゆる 「J-SOX」 法とよばれています。(1) を読むときの注意点は、前半に記述されている 「COSO フレームワーク を手本にした」 モデル 観など流し読みして良いから、後半に展開されている 「内部統制報告書」 に関する記述を丁寧に読んで下さい--コンピュータ 業界では、前半ばかりを報道されていましたが、的外れでしょうね。なお、(1) に対して、「実務指針」 も リリース されたので、それらも読んで下さい。それらも ウェッブ で入手できます。




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