2003年 9月16日 作成 組織化の原理 >> 目次 (作成日順)
2007年12月16日 補遺  

 
組織化の基本原理は、以下の 3点である。

  (1) 専門化
  (2) 統合化
  (3) 階層化

 この 3点を実現した組織が、もっとも合理的・有効的な構造である。

 
階層化の基本形態には、以下の 2つがある。

  (1) ライン 組織 (直系組織) [ 一人の上司と複数の部下という構成 ]
  (2) スタッフ 組織 (ファンクショナル 組織) [ 一人の部下と複数の上司という構成 ]

 なお、ライン 組織と スタッフ 組織の混成形態を ライン・アンド・スタッフ 組織という。

 
組織は、合理性を追求すれば、官僚制になる。

 官僚制は、組織化の基本原理を実現する合理的な組織形態である。
 しかし、ときには、「官僚制の逆機能」 が起こる。すなわち、効率的であるが効果的ではない、という事態に陥る危険性がある。「効果」 という判断基準は、制度そのもの-のなかにはない。それは、環境と対比して計測される。効果的ではないが、効率的であること--効果を考慮しないで、効率を追求すること--を 「訓練された無能」 という。

 なお、専門性・合理性を追求するために、職能部門制経営組織 (functional division organization) を導入することが多い。たとえば、製造部門や販売部門など。

 
経営組織は コミュニケーション・システム である。

 経営組織は、複数の単位組織から構成され、管理者を コミュニケーション・センター とする コミュニケーション・システム (ピラミッド 型の階層構造) を形成する。コミュニケーション・システム とは、すなわち、公式的な調整 システム のことである。



[ 補遺 ] (2007年12月16日)

 「組織論」 には、以下の 2つの領域があるそうです。

  (1) ミクロ 組織論
  (2) マクロ 組織論

 (1) は、研究目的を 「(組織構成員の) 動機づけ」 に置いていて、リーダーシップ などを変数にした モデル 構成を考えていて、(2) は、「組織体の構造」 を主体とした モデル 構成を考えているそうです。

 (1) は、組織心理学といってもいいし、実際、歴史的には、「適性検査、疲労の研究、作業動作研究」 などの産業心理学的研究として始まっって、その後 1920年代に、メーヨー や レスリスバーガー などが中心になって ホーソーン 工場実験が行われ、組織のなかの インフォーマル・グループ の重要性が注目されるようになりました。そして、人間関係論が成立し、社会心理学的 アプローチ が導入されました。さらに、マズロー の 「欲求階層説」 を基礎として、マグレガー、ハーズバーグ、アージリス らが、自己実現欲求を充足する組織理論を示して、リカート の説も入れて、新人間関係論とよばれているそうです。

 (2) は、ウェーバー の官僚制論を起点として、社会学の観点から研究されてきて、「目標、価値、役割、情報伝達、意思決定、権力関係」 などを分析して、組織構成が構成員の行動を規定するという考えかたを前提にしているようです。そして、マートン、セルズニック、グールドナー、ブラウ らの社会学者が、合理的な組織形態と考えられていた 「官僚制」 の逆機能を明らかにしました。ただ、これらの研究は、「クローズド・システム」 としての組織を対象にしていて、環境要因を重視しなかったので、その後に、 バーンズ、ストーカー、ウッドワード、ローレンス、 ローシュ らが、環境との相互関係にある 「オープン・システム」 として組織を考えて、組織が環境へ適応する形態を、実証研究として、分析しました。このような理論を コンティンジェンシー 理論 (条件理論) といいます。

 ミクロ 組織論と マクロ 組織論を統合しようという試みとして、バーナード の 「協働システム」や、サイモン の 「管理人 モデル」 などの一般理論があります。サイモン は、「管理人 モデル (満足基準の原理)」 を提示して、意思決定論・経営戦略論の基礎理論を最初に示した人物です。経済学でいう 「経済人 モデル」 は、「合理的判断」 の 「最適基準」 に基づいた意思決定をおこなうとされていますが、現実には、判断は、完全に合理的であることはできないので、「満足できる」 判断であるとみなされなければならない──これを 「満足基準」 といいます。サイモン の考えかたは、以後、アンソフ の理論に継承されました。

 経営学では、「制約された合理性」 が研究対象となって、環境適応の観点から、経営判断は継続的に おこなわれることが明らかにされて、経営戦略に関する研究が進められてきました。





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