2005年 9月16日 作成 工程管理 (ディスパッチ・リスト) >> 目次 (作成日順)
2009年12月16日 補遺  

 

 
━■ 基礎概念 ■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(1) 負荷情報
(2) 優先規則
(3) クリティカル 比率
(4) ディスパッチ・リスト
(5) 進捗状態

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1. ワークセンター の負荷情報

┏━<<ワークセンター負荷情報>>━━━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥
┃
┃ ワークセンター(たとえば、FAB)、名称などの記述項目
┃                                                      負荷比率
┃ 週 開始日 作業日 能力工数 効率 リリース工数 計画工数    0%   100%
┃ 01 05/01/17  5     122   0.85      34.5      34.5    ******************
┃ 02 05/01/25  4     102   0.85      16.0      16.0   ******
┃
┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥
┏━<<ワークセンター作業情報>>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃
┃ ワークセンター(たとえば、FAB)、名称などの記述項目
┃ 部品番号 オーダー番号 週    ロット番号 作業番号 開始日  完了日
┃ 1000-0628  REP050110  05/01/17     001        0100   05/01/20  05/01/22
┃ 1000-1101  ME1057            001        0100   05/01/20  05/01/22
┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥
┃
┃
┃ 前ワークセンター 次ワークセンター 計画工数
┃ FAB010            LAST OPR           17.0
┃ FAB012            LAST OPR           10.0
┃
┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥
┏━<<作業の詳細情報>>━━━━━━━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥
┃
┃ オーダー部品番号(たとえば、1000-0628) オーダー番号(...) ロット番号(...)
┃  開始日: 05/01/20        現ワークセンター(たとえば、FAB) オープン数量
┃ 終了日: 05/01/22        現作業番号(たとえば、0100)
┃ 
┃ 作業番号 ワークセンター番号 作業記述 状態
┃
┃ 開始日              実行時間            移動時間
┃  完了日              overlapp            待ち時間
┃  段取り時間          post-op 時間        最大ロット
┃
┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥
[ 参考 ]
 代替ワークセンターおよび代替作業を用意する。

 
2. 優先規則

(1) 作業の順序は、以下の諸点を考慮して、判断される (いずれかのやりかたを使う)。

 (1) クリティカル 比率
 (2) 予備時間 (slack time)
 (3) 作業開始日の順番

 
(2) クリティカル 比率は、以下のように計算される。

 (オーダー の納期日 − 現在日) ÷ (オーダー の納期日 − 作業開始日)

 
(3) 予備時間は、以下のように計算される。

 {(オーダー 納期日 − 現在日)×(標準労働時間/日)
  −(これからやらなければならない作業の時間)}÷ (これからやらなければならない作業の数)

 
3. ディスパッチ・リスト

 それぞれの ワークセンター に対して、製造 スケジュール と作業負荷を調整したら、
 以下の点を、ディスパッチ・リスト として、指示する。

 (1) 実行作業 (what operations are to be performed)
 (2) 作業の順序 (and in what order)

 

┏━<<ディスパッチ・リストの情報>>━━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥
┃
┃ ワークセンター(たとえば、FAB)、名称などの記述項目
┃  能力工数(時間): 20.50  移動: 0  待ち: 0  工程内待ち: 0
┃ 組立部品番号 オーダー番号 記述 開始日   完了日 段取り時間 実行時間
┃ 1000-0628  REP050110  検査 05/01/20   05/01/22      .00    16.0
┃ 1000-1101  REP050117  検査 05/01/17   05/01/23      .00    50.0
┃
┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥

 
4. 進捗状態

 (1) どの製造 オーダー が、着手されているのか。
 (2) それらは、どの程度の作業負荷なのか。
 (3) それらが、どの工順のなかで、どこに投入されているのか。
 (4) それらは、納期に対して、どのような進捗状態にあるのか。

 

┏━<<工程の状態情報>>━━━━━━━━━━━━━━━━━………………‥‥‥‥
┃
┃ オーダー部品番号: 1000-0628 開始日:05/01/17 オーダー数量: 20
┃  オーダー番号: M1274      納期日:05/01/20 スクラップ数: 0
┃ ロット番号:                   リカバリー数: 0
┃ ワークセンター 作業番号 実際段取り時間 実際実行時間   完了数 状態 理由
┃  2000-0111   0010-010    .40      35.00     200     C
┃  2000-0112   0020-010    .00      00.00      0    Q    1
┃
┗━━━━━━━━━…………………‥‥‥
(Operation Delay by Order)


[ 補遺 ] (2009年12月16日)

 スケジューリング は、とても難しい領域です。スケジューリング は、或る意味では、シミュレーション の ひとつの形態として考えることができます。逆に言えば、シミュレーション の技術を スケジューリング の領域に適用できるのではないか、ということ。実際、1960年代には、配送の最適化問題や所要量計算の数学的表現が検討されていましたし、スケジューリング において、ジョンソン の モデル が示されました。ジョンソン の モデル は、n ジョブ 2 作業の フローショップ には適用できるけれど、作業数が増えたら──作業数が 3 以上になったら──計算が膨大になってしまい、効率的な アルゴリズム は存在しないことが証明されました。ちなみに、効率的な アルゴリズム が存在しないことを 「NP-hard」 とか 「NP-complete」 と云います。

 ディスパッチ (dispatching)──その意味は 「to send off to some place or for some purpose, to get (something) done promptly」 のことであって、日本語では、ふつう、「差し立て」 と翻訳されています── の ルール には、以下が使われてます。

 (1) 加工時間を考慮した ルール

    SPT (shortest processing time、加工時間最小)
    LWR (least work remaining、残り加工時間最小)

 (2) 納期を考慮した ルール

    EDD (earliest due date、納期までの時間最小)
    SLACK (slack time、納期余裕時間最小)
    SLACK/OPN (slack per operation、納期余裕時間/残り工程数 最小)

 (3) 加工時間・納期を考慮しない ルール

    FIFO (first in first out、待ちに最初に入った ジョブ)
    RANDOM (random selection)

 (4) 加重 ルール

    SPT と SLACK/OPT との重み付け

 本 エッセー では、「納期を考慮した ルール」 を述べています。





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