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Music is a beautiful opiate, if you don't take it too seriously. (Henry Miller)

 

 Bloomsbury Thematic Dictionary of Quotations セクション Music の中で、次の文が私を惹きました。

    Music helps not the toothache.

    Proverb

 
    The hills are alive with the sound of music
    With the songs they have song
    For a thousand years

    Oscar Hammerstein (1895-1960) US lyricist.
    The Sound of Music, title song

 
    But I can't listen to music too often. It
    affects your nerves, makes you want tosay
    stupid, nice things, and stroke the heads of
    people who could create such beauty while
    living in this vile hell.

    Lenin (Vladimir Ilich Ulyanov; 1870-1924) Russian
    revolutionary leader.
    Lenin and the Russian Revolution, (Christopher Hill)

 
    The sonatas of Mozart are unique; they are
    too easy for children, and too difficult for
    artists.

    Artur Schnabel (1882-1951) Austrian concert pianist.
    An Encyclopedia of Quotations about Music, (Nat Shapiro)

 
    I don't write modern music. I only write
    good music.

    Igor Stravinsky (1882-1971) Russian-born US composer.
    To journalists on his first visit to America, 1925

 
 この引用句辞典の Music には 56篇が収録されています、他の見出し項目に収録されている引用文の数に比べて、かなり数が多いです。それだけ音楽が人々 (あるいは、この辞書の編集者) にとって興味が高いということでしょうね。私も音楽が大好きです──まいにち、なんらかの音楽 (クラシック 音楽、歌謡曲、グループ・サウンズ、洋物 ポップス、映画音楽、懐かしの テレビ 主題歌、童謡・唱歌、民謡など) を聴いています、音楽のない生活を考えられない。

 今回は、引用文には 逐一 日本語訳をつけないので、原文をそのまま味わってください。

 私は、種々様々な音楽を聴いていますが、それらの音楽のなかで、特に クラシック 音楽・歌謡曲を聴くことが多い。クラシック 音楽については、本 ホームページ の 「読書案内」 のなかで、かつて 「クラシック 音楽鑑賞」 と題して、私の蔵書および私の音楽についての感想を記述しています (2003年、2008年の記述です)──その感想は、当時から今に至るまで、ほとんど変わっていない。

 私は、高校生の頃まで、音楽を取り立てて好きという訳ではなかった。寧ろ、学校の音楽の授業は好きではなかった。私が初めて レコード を買ったのは、映画 「サウンド・オブ・ミュージック」 のサントラ盤でした (この映画の虜になって、10数回 映画館に足を運んだ)。中学生の頃には、グループ・サウンズ が流行って、私も GS に夢中になって、レコード を買い集めました。高校生 (正確には、大学受験に不合格になった浪人時代)までは クラシック 音楽を家で聴くというようなことはなかった──浪人時代に (今となっては、はっきりした理由を思い出せないのですが) 初めて クラシック 音楽の レコード を買いました、ベートーヴェン 「運命」 と シューベルト 「未完成」 の カップリング された LP レコード でした (渡邉暁雄さんの指揮でした、オーケストラ は どこの楽団だったか忘れました、新日本 フィル?)。その レコード を聴いて私が味わった感動を、或る知人 (クラシック 音楽に詳しい同年代の人) に話したら、彼曰く 「この程度の演奏は、取り立てて すぐれている訳でもないので、騒ぐほどでもない」と。音楽を なまじっか詳しい愛好家は、私のような シロート を蔑んで不寛容になるようですね (苦笑)。

 このとき、シューベルト の交響曲が私を強く揺さぶった。大学生になってからは、文学・哲学が私の興味を占めて、音楽を ほとんど聴かなくなったけれど、当時 私は遠距離恋愛 (「熱い悲しい思い出」) の渦中にいて、悲恋を唄った (あるいは、哀愁が漂う) フォーク・ソング や歌謡曲を聴いていました。
 私が育った青年期 昭和時代の歌謡曲 (たとえば、「白い冬」) には、その当時の自分の 「熱く悲しい思い出」 が溶けて凍結されている。そして、その歌を聴けば、固められ閉じこめられていた当時の思い出が やがて一つ一つ いよいよ深く、いよいよ近く、湖に石を投げて波紋が広がるように次から次へと現れる。そして、私は遥かな昔に戻ったかのように思い出に包まれて、現実の世のなかで隔離されたように さびしく独り浮かんでいる、、、生々しい (でも、もう戻ることのできない) 思い出のなかで。

 私が再び クラシック 音楽を聴くようになった切っ掛けは、かつて綴っているので読み返していただければ、当時の私の胸中が想像できるでしょう──私自身、当時の胸中を思い起こせば、己れを愛おしくなる。この時の出来事は、その後の私の人生に対して大きな転換点となりました。この出来事がなければ、私は音楽というものを今ほど好きにはならなかったでしょう。芸術というのは、ひとつの魂が他の魂に話かける情熱の形ですが、音楽はそれを リズム・旋律・和声を使って音 (空気の波動) の ポエジー として構成している [ 制御している ] のでしょうね。音楽の専門家ではない私のような程度の鑑賞者は、音楽が訴求する情念をそのまま享受すればいいのではないか──どのような書物の中で読んだ文なのか出典を思い出せないのですが、私は次の ことば が好きです、「私の音楽を分析するな、愛せよ!」。

 
 (2023年 9月 1日)

 

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