2006年 8月 1日 応用編-13 再び、「在庫」 の表現 >> 目次に もどる
2011年 7月 1日 補遺  


 本節では、「在庫」 の サブセット (残高、受払 [ 入庫と出庫 ]) を記述している。本節の記述は、入庫伝票・出庫伝票を使っていないという前提に立って、「在庫」 を サブセット 化している。もし、入庫伝票・出庫伝票を使っているなら、(本節で述べているように) 「入庫」 と 「出庫」 は 「event」 として認知され、対照表として記述された 「在庫」 は在庫残高を示す。
 「在庫」 に関しては、以下のような概念があるので、それぞれの企業が どのような伝票を使って 「在庫」 を管理しているかを見極めて、「(在庫の) 構造」 を作らなければならない。

  (1) 入荷
  (2) 入庫
  (3) 在庫
  (4) 移動 (倉庫間移動)
  (5) 調整 (減耗損、評価損)
  (6) 出庫
  (7) 出荷

 ちなみに、会計上、収益の計上基準として、(「引渡基準」 に替わる) 「出荷基準」 が認められているので、「出荷伝票」 を使っているはずである。

 
 「黒本」 を出版してから、T字形 ER手法に対して、さらに検討を進め、 「論考」 と 「赤本」 を出版した。「赤本」 では、T字形 ER手法のなかに、「(事実的な) F-真」・「(導出的な) L-真」 概念を導入して、T字形 ER手法を、構文論・意味論の観点から再検討して、TM (および、TM') という呼称に変えた。それらの 「真」 概念から云えば、対照表として記述される 「在庫」 は、「基本的に」、「倉庫」・「棚」・「商品」 という resource 群から導き出される 「L-真」 概念である。「在庫」 とされている 「商品」 は、意味論上 (指示規則上)、「商品」 であって、「在庫」 という 「もの」 概念はない。

 しかし、いっぽうで、対照表として記述されている 「在庫」 の性質として 「日付」 を考えれば、「棚卸し (あるいは、監査上、実査立会)」 という 「event」 を言及する 「F-真」 にもなる点に注意されたい。 □

 



[ 補遺 ] (2011年 7月 1日)

 「在庫」 をもとめる演算は、TM の文法でいえば、f ( ( 倉庫, 棚 ), 商品 ) です。

 「赤本」 の 2刷りでは、「在庫」 の演算を f ( (倉庫, 棚 ), ( 棚, 商品 ) ) というふうに作図していますが、間違いです (申し訳ない)── 3刷りで訂正しました。 ( 棚, 商品 ) の演算は無意味です、意味論上では倉庫のなかに設置された棚 f ( 倉庫, 棚 ) に対して商品を置く f ( ( 倉庫, 棚 ), 商品 ) と考えるのが logical でしょう。

 さて、「在庫」 を サブセット 化する場合──あるいは、クラス 図を構成する場合──、「入庫」 「出庫」 および 「在庫 (残高)」 は、単純な切断の構成にはならない [ 3つの集合を単純に同じ次元で並列できない ]。「残高」 は、「入庫」 「出庫」 から導出される項なので、「事実 (F-真)」 ではない。したがって、モデル の原則では、「残高」 として ひとつの データ 域を立てるのは規則違反になりますが、もし、「残高」 を実査した日 (棚卸日) が記録されるのであれば、本 エッセー で述べたように、「F-真」 として データ 域を立てなければならない。

 「在庫」 は、本 エッセー で述べたように、いくつかの項から構成されるので、「在庫」 型などという パターン で割り切れるほど簡単じゃない──それぞれの企業が 「在庫」 管理の特性を持っています。







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