2019年 7月 1日 「4.1 集合と、その メンバー (集合的と周延的)」 を読む >> 目次に もどる


 集合 (セット) を前提にして モノ の集まりを考えるとき、「メンバー と、その集合」 を単位にします。集合に関する性質のことを 「集合的な性質」 と云い、メンバー に関する性質のことを 「周延的な性質」 と云います。そして、集合について なんらかのことが語られるとき、「集合的」 に語られると云い、集合の メンバー について語られるとき、「周延的」 に語られると云います。

 内包が正しい外延 (集合) を形成することを 「周延する (distribute)」 と云い、周延した正しい集合のことを 「クラス」 と云います──具体的な例については 「いざない」 を読んでください (pp. 92-93)。

 私は 「赤本」(「データベース 設計論--T字形 ER」) を執筆したとき、「周延」 という語に重点を置いて論じていましたが──「赤本」 42ページ と 88ページ をみてください──、その後では ほとんど述べなくなった。たとえば、「いざない」 では、本節でしか述べていない──しかも、本節では、「周延」 を 「虚偽 (あるいは、誤謬)」 に関連して述べているだけです。形式論理学では、命題で述べられている概念 [ 主語および述語 ] が周延しているか・していないか は論の構成上 [ たとえば、三段論法での主語・述語の周延状態 ] 核となる論点ですが、主語および述語を 「集合」 に翻訳して考えてみれば、周延しているかどうかは たやすく わかることです。集合を考えるとき、次の点を外さなければ、自ずと周延します (ただし、数学上の 「無限」 は除く)──

  モノ の集まりの範囲が限定されている。{ x ∈ a | f (x) }。

 したがって、メンバー を枚挙でき、誰が与件の集合を扱っても、その メンバー の数 [ 濃度、基数 ] は同じになります。たとえば 「20歳以上の日本人の集まり」 は集合ではあるけれど、「美人の集まり」 は集合ではないということ──すなわち、その集合に入っているか入っていないかの見分けができるということ。「美人」 という集まりは、めいめいの人によって メンバー に入れるか入れないかの判断が違うので、めいめいの考える メンバー の数は違ってくる、これが周延していない状態です。 □

 




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