2019年11月15日 「5.1.2 双対の原理」 を読む >> 目次に もどる


 「双対 (dual)」 とは、「置換できる」 という意味です。論理法則は 「∧ と ∨」 「恒真 (I) と恒偽 (O)」 について双対です、一般的に言えば、次の法則が成り立ちます──

    ¬{ f (∧, ∨, p, ¬p, q, ¬q, I, ¬I, O, ¬O,・・・)}≡ f{(∨, ∧, ¬p, p, ¬q, q, ¬I, I, ¬O, O,・・・)}.

 簡単に言えば、或る命題に対して論理否定を使ってつくられる新しい命題 (双対命題) は その一方が成立すれば他方も成立するということ、したがって その一方を証明すれば他方を証明する必要はない。その典型的な具体例として、射影幾何学の 「パポス (Pappos) の定理」(および その双対) が引用されることが多い [「数学小辞典」(共立出版) や 「現代 数学教育事典」(明治図書) でも 「双対」 の説明で使われています ]。その定理と双対では、「直線」 と 「点」 を入れ替えて 「解釈」 しても成立する。ということは、構文論が論理的に無矛盾であっても意味論を考えなければならないということ。

 「パポス の定理」 が数学基礎論の 「モデル 論」 と どういう関係にあるのかについて (私は数学者ではないので わからないけれど) 少なくとも 「モデル 論」 で云う 「記号列の関係 (構文論) と その解釈 (意味論)」 の典型例として使っても間違いにはならないでしょう。その 「モデル 論」(モデル の考えかた) を整えた人物が レーヴェンハイム 氏と スコーレム 氏です (「レーヴェンハイム・スコーレム の定理」 と一般的に云われています、後日 その説明をします)。 □

 




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