2019年12月15日 「5.1.4 『先行・後続』 関係と 『因果』 関係」 を読む >> 目次に もどる


 前節では 「対偶」 について述べました、それを受けて本節では 「先行・後続」 関係と 「因果」 関係を扱っています。前節と本節の大本 (おおもと) になっている概念は、「必然性」 という概念です。そして、「必然性」 ということを論じれば、優に一つの学術論文を書くほどに難しい論点です。

 「必然性」 とは、ふたつの事象 (事象 A と事象 B) のあいだで、事象 A ⇒ 事象 B [ 同一の原因と云われる事象には、同一の結果と云われる事象 B が導かれる ] という因果律が成り立つことを云います。したがって、「必然性」 は 「すべての可能的な論理空間で真 (恒真) であること」(あるいは、「可能的に偽でないこと」) と定義できるでしょう。そして、因果律が成り立つ具体的な現象例が因果法則であり、因果法則が成り立つときに ふたつの事象は因果関係あると云います。しかし、「因果法則」 については、「近似性」 とか 「ホーリズム (全体論、Holismus)」 や量子力学なども考慮しなければならず、数学者・物理学者ではない一介の システム・エンジニアたる私の力量を超えているので、本節では論理 (Logic) を モデル 技術として使う際の帰納的接近法のみを扱っています。

 仮定-演繹的である [ パターン を前提にする ] ことは あくまで仮説であって、それだけでは 「 観察断定 を含意しない。それは、「事前確率」 において、似たような経験は似たような結果につながると期待するに止 (とど) まる。したがって、前述した因果律に付与されている 「必然性」(可能的に偽でないこと) に反する──すなわち、反例を提示することができる。そもそも 結果を期待し それが外れたら論駁されるというのが仮説なのである。

 事業過程は一連の運動 (運動循環) の構成ですが、それらの それぞれの運動のあいだには因果関係 [ 因果法則 ] はない──あくまで、「先行・後続」 関係である。それぞれの運動を並べるための特性関数を考えるとき、たとえば それぞれの運動に対して自然数を 順次 付与する── f (a, b,・・・, n) の項に対して、それぞれ 自然数 1, 2,・・・ を対応させる、それぞれの運動のあいだの「必然性」(因果法則) というのは この並びが不変であるということであって、並びの逆転 (先行・後続の逆転) は起こり得ない。しかし、 f (a, b,・・・, n) について、f (b, a,・・・, n, m) も可能的に成り立つのであれば、因果律を認めることはできない。すなわち、この特性関数を成り立たせる [ 事象の並びを確証する ] のは、「原因-結果」 ではなくて、それぞれの事象を並べるための (自然数を代用し、かつ自然数と同じ働きをする) なんらかの数値 [ 大小関係をあらわす数値 ] なのである──その数値が事象の起こった 「時刻」 である。そして、その 「時刻」 が事象の F-真 (事実的な真) を請けあうのである。

 
 クワイン (W.V. Quine) 氏が彼の著作 「哲学事典 (〜とは何であるかを考える)」(吉田夏彦・野崎昭弘 訳、白揚社) のなかで使っている用語。この語が哲学者たちのあいだで使われている学術語であるのかどうかを私は知らない。TM の用語で云えば、「F-真 (事実的な真、現実的事態との一致)」 ということ。 □

 




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