2020年12月 1日 「8.1.2 「空」 は部分集合」 を読む >> 目次に もどる


 集合論では、空集合は一者(存在)としてみなされていることは前回述べました。その集合は 「論理」 上では どのように扱われるのかを論じたのが本節です──ちなみに、「論理」 は集合論に翻訳できます。論理規則のなかで、仮言命題 (p ⇒ q) のことを内包命題と云うこともありますが、「内包」 とは集合において 「x ∈ A ならば x ∈ B」 となるとき、A は B の部分集合 (p ⊂ q) であることを云います。つまり、p ⇒ q は、p ⊂ q と同値です。

 空集合は部分集合である、というのは x ∈ A の A が φ (空集合) [ x ∈ φ ] であって φ ⊂ B になることを云います。その詳しい証明は、「いざない」 (175ページ) を読んでください──難しい証明ではないので、簡単に読むことができます。この証明が示していることは、「空集合は、任意の集合の部分集合である」 ということは 論理規則と一致しているということです。

 アリストテレス は 「妥当な」 推論形式をまとめたのですが、アリストテレス の論理学では、推論規則において S ≠ φ (主語が空集合でない) という前提で推論形式を扱っている点に注意してください (そのことは当然のことであって、集合論が現れたのは カントール 以後ですから)。現代では、集合論において、S ⊂ P には、S = φ もふくまれます。 □

 




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