思想の花びら 2021年 7月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  涙の羞恥というものがあって、礼儀の上から言っても人前ではあまり泣かぬものとされている。これはあたりまえで、人前であまり泣くのは、相手が隠したがっているかもしれぬ苦しみを無遠慮に尋ねだすことだからだ。だから喪中の婦人は面衣をまとう。(略) 涙についていろいろ述べていると読者の胸裡に、こんどは正気の不幸という一種の不幸がうかびあがるだろう。そういう不幸は、思慮ある哲学者の扱わぬものだとはすでに述べたはずだ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  外国文学を専門としながら、キリスト 教に無関心でいられるということも考えてみれば奇妙な現象だ。「西洋」 を学んだ様々の専門家が、互に共通の広場をもたない一つの理由も、個々の部分は学んだが、背景となる二大源泉思想 (キリスト 教と ギリシャ 精神) に無関心であったからではなかろうか。

 


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