2007年10月16日 「理論編-3 構文論 (語彙、文生成規則)」 を読む >> 目次に もどる
2012年10月 1日 補遺  


 「理論編-2」 で、カルナップ 氏の論理的意味論を示したので、それに対応するように、本編では、ヘンペル 氏が示した 「経験論的な言語 L」 (物言語) の考えかたを構文論の観点から まとめました。「言語 L が経験論的言語である」 と云われるのは、以下の条件を満たすときです。

 (1) 言語 L の語彙

  (1)-1 ロジック の語句 (論理定項および クラス 概念)

  (1)-2 観察述語

  (1)-3 以上の語彙を前提にして定義できる任意の表現

 (2) 言語 L の文形成規則 (ロジック の公理系、たとえば PM など)

 
 「観察述語」 の前提として、ヘンペル 氏は、「観察可能な特徴」 という概念を導入しました。「観察可能な特徴」 とは、物理的対象の性質・関係が、適当な条件の下で、与えられた事態の中に現れるか現れないか、という点を直接の観察によって確かめられることを云います。そして、「観察述語」 は、「観察可能な特徴」 を指示する語句のことです。

 さて、TM (T字形 ER手法) は、ヘンペル 氏が示した 「経験論的な言語 L」 の構成に従って整えられました。ただし、文の生成規則は、PM に代表される ロジック の公理系を使わないで、ホワイトヘッド 氏の哲学を援用して、TM 独自の関係文法 (4つの生成規則) を作りました。TM では、「観察述語」 は、事業過程を管理する 「情報」 のなかで使われている語です。

 TM が 「物言語」 の構成を守って作られていることを示すために、ヘンペル 氏の説を まとめた次第です。 □

 



[ 補遺 ] (2012年10月 1日)

 本 エッセー の中の文 「TM 独自の関係文法 (4つの生成規則)」 は語弊があるかもしれない。「関係」 は、「関数」 として記述できるのですが、TM は 「関係」 の性質 (対称性と非対称性) を吟味して、「関数」 の項を 2つの クラス に切断しました──すなわち、全順序 (大小で並ぶ linear order) となる項と半順序となる項を分割しました。全順序となる項を 「event」 と云い、半順序となる項を 「resource」 と云います──私は、「resource」 という呼称を かつて付けたのですが、今では納得していないので変更しようと考えています。「resource」 は 「event」 に関与する事物です──オントロジー (「存在論」、形而上学の一領域) のほうでは、continuant と呼んでいる様ですが、私は オントロジー に信を置いていないので、あくまで 「event 以外 (event の補集合)」 として考えたい。そして、TM の説明の中から キー および entity 概念を排除する事を考えています──現時点で、それができる事を証明済みですので、TM2.0 として次の体系を近々公表します。

 (1) 主題と条件
 (2) 「関係」 の性質 (対称性と非対称性)
 (3) 関係と関数 (全順序と半順序)
 (4) 集合 (セット)
 (5) 多値関数
 (6) クラス

 したがって、従来 (TM1.3 まで)、「みなし entity」 と 「(概念的) スーパーセット」 として説明していた技術を クラス 概念に統一します──「みなし entity」 と 「(概念的) スーパーセット」 という言いかたを排除します。
 TM2.0 は、離散数学の通論 (あるいは、数学基礎論の モデル 論) の技術に殆ど近くなります。それらの数学的技術 (数学的接近法) と工学的接近法 (キー の使用) との統合 (調整) は、従来通りに、「アトリビュート・リスト」 および 「キー の定義表」 で実施します。





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